【答え】

5 統計事務

【解説】

税務講習会は、基本的に年1回程度開催され、最初の講習会は、明治34(1901)年の統計事務で、翌年の明治35(1902)年は押印事務、翌々年の明治36(1903)年には土地測量法が開かれました。
 当時の税務署の事務は、直税(直接税)、間税(間接税)、庶務の三つに分かれていました。
 問いに記載した選択肢1の酒造りは間税(酒税等)、2の土地測量法は直税(地租)、3の砂糖製造は間税(砂糖消費税)、4の織物製造は間税(織物消費税)、5の統計事務は庶務の担当でした。
 我が国の財政基盤や歳入の現状を把握するために統計事務は必要であり、大蔵省主税局において統計書が作成されました。統計事務は比較的単純な計算が主でしたが、全国レベルで統計データを結合することは、一定のルールが必要だったため、税務講習会の科目とされたのです。
 また、明治36(1903)年に開かれた土地測量法は、明治17(1884)年に公布された地租条例の当初から地租に関する重要な事務とされてきました。例えば、地種・地目の変換、分筆・合筆、被災等による土地異動があった場合、権利者は、測量図を添えて土地異動を申請する必要がありました。申請を受けた税務署は、地租の基本帳簿である土地台帳を修正するため、現地で土地測量を行い、申請書の内容を確認しました。
 明治37(1904)年以降、税務講習会は、日露戦争等の影響で中断され、大正7(1918)年から再開されました。再開後の最初の税務講習会は、法人所得の計算などに関する事務でしたが、翌年の講習は直税事務全体に拡充され、大正12(1923)年の関東大震災による中断を経て、大正14(1925)年に再開されると、講習のコースが直税、間税、庶務の三つに拡大されました。このように拡大された税務講習会は、昭和10(1935)年まで継続して実施されました。
 その後、昭和16(1941)年には、常設の講習施設である大蔵省税務講習所(現税務大学校)が大蔵省の庁舎内に設置されました。

(2024年8月 研究調査員 舟橋 明宏)