【答え】

2 燃料用のアルコール

【解説】

当時の日本においては、石油をはじめとする燃料は欠かすことのできない重要な戦略物資でしたが、大半を輸入に頼っていました。昭和12(1937)年4月に燃料の絶対的な不足を補うために、政府はアルコール分90度以上を対象としたアルコール専売制度を始めました。このアルコール専売は大蔵省専売局が担当し、専売局工場や一部の酒造業者でアルコール製造が行われました。
 このアルコール専売制度において、アルコールが法律で定められた通りの用途で使用されたかを確認する使用済検査などの業務を税務署が行うことになりました。専売局はアルコールに関する十分な人的資源と経験がないという問題点を抱えており、その対策として酒税行政に長年携わってきた税務署に業務の一部を任せるという方法が採用されました。
 こうして製造されたアルコールは当初ガソリンに規定量を添加する形で使用されましたが、燃料事情が悪化すると徐々に添加する量は増えていき、最終的にはガソリンの代用として広く使用されるようになりました。
 この専売制度は、昭和17(1942)年に大蔵省から商工省に所管が変わり、税務署が担当していた業務も昭和18(1943)年に移管されました。

(2024年6月 研究調査員 菅沼 明弘)