【答え】

3.ラム酒

【解説】

ラム酒とは、主に糖蜜やサトウキビの搾り汁などを原料として作られるお酒です。
 日本の欧米流の近代的機械精糖業は、明治29年に日本精製糖株式会社が設立してから本格化しました。明治32年には、日本精製糖株式会社の鈴木藤三郎が、砂糖精製の副産物としてできる糖蜜からラム酒を製造することに成功しました。当初は酒税が非課税だったラム酒は価格が安い上に、当時人体に有害と考えられていたフーゼル油を含まないという宣伝から大々的に売れ、類似品や模造品も多く作られました。税務当局は他の酒類との権衡上、また、ラム酒の製造過程の調査結果から、国産ラム酒に課税することを決定しました。
 しかし、当時の酒造税法や混成酒税法(焼酎や味醂に添加物を加えた銘酒という酒類を主な課税対象としていた税法)などでは、新しく流行したラム酒に対応がしきれませんでした。税務当局は、糖蜜を発酵させて蒸留したものは酒造税法中の酒精として、この酒精に香気物などを添加したものは混成酒として課税しようとしましたが、それ以外の製造法によるラム酒が出てくるなど混乱が生じたため、新たに「酒精及酒精含有飲料税法」という税法を作って対応しようとしました。
 これにより、国産ラム酒は、原料や製造法に関係なく酒税を課税することになりました。

(2023年6月 研究調査員 今村千文)