NETWORK租税史料
 令和5(2023)年12月31日に俳優の中村メイコさんがお亡くなりになりました。中村さんはテレビ草創期から長きにわたってご活躍されるとともに、国税庁が提供する税金に関するテレビ番組を長年にわたり担当されました。その一つが「メイコとあなたの税ミナール」です。今回は、国税庁がかつて提供していたテレビ広報番組に関する史料をご紹介します。
 国税庁は昭和46(1971)年から「くらしと税金」というタイトルの番組の提供を東京と大阪の2局で開始しました。この番組が昭和50(1975)年10月から全国放送されることとなり、そのタイミングで中村さんがレポーターに起用され、番組名も「メイコのくらしと税金」となりました。
 この番組は後に「メイコの知っておきたい税情報」、「メイコとあなたの税ミナール」と名称を変え、中村さんが降板する平成8(1996)年まで約21年もの間続きました。写真1は平成2(1990)年に作成された番組紹介のチラシです。中村さんとともに共演者の三遊亭楽太郎(のち6代目円楽)さんが写っています。
 この「メイコとあなたの税ミナール」という番組名は全国の国税職員から公募したもので、当時国税庁が発行していた部内紙「週刊 国税広報」(昭和62年6月22日号)内に番組名の募集記事が残されています(写真2)。記事では出演していた中村さんが「この番組では、税の意義や役割、税の仕組みなどを、わかりやすくお届けできるよう努めています。税の情報番組ですが、ふさわしい番組名を、職員の皆様につけていただきたいと思います。」とコメントを残しています。
 昭和62(1987)年当時、国税庁は中村さんと楽太郎さんが出演するテレビ番組と牟田悌三さんと長谷川直子さんの出演するラジオ番組の2本を提供しており、テレビとラジオ両方の番組名を一緒に募集しました。この募集には333通の応募があり、その中から「メイコとあなたの税ミナール」、「牟田悌三・あなたのための税金相談」という番組名が決まりました。「メイコとあなたの税ミナール」というタイトルには2名の応募があり、番組名に採用された職員には記念品が進呈されました。
 「メイコとあなたの税ミナール」にはかつて新宿区若松町に所在した税務大学校租税史料室が紹介された回もあり、研究調査員が租税史料を説明する様子が放送されました。
 その回で番組の台本やビデオが租税史料として残されることを知った中村さんが「保存されると思ってこれからも気合を入れてまいります」と発言する場面がありました。中村さんのコメント通り、現在租税史料室には番組のビデオテープやポスターなど様々な史料が残されています。写真3は租税史料室が紹介された平成6(1994)年5月放送分の台本です。15分という比較的短い番組のためか、大幅にセリフがカットされていることが分かります。
 また、中村さんと一緒に番組に出演していた楽太郎さんは昭和55(1980)年から税務大学校で講演を行っていたほか、税に関する著作も複数発表されました。
 中村さん、楽太郎さんをはじめ、テレビ局のスタッフや税務職員など様々な人々が作り上げたこれらテレビ番組の一部は現在も租税史料室で閲覧することができます。

(2024年7月 研究調査員 菅沼 明弘)