3 消費税不正還付への対応

〜 消費税制度に対する信頼を守っていくために 〜

 国の租税収入のうち、最も金額が大きい税目は消費税です。
 多くの納税者の方々が正しく申告・納税をする一方、消費税の制度を悪用し、取引をしたように見せかけるなど虚偽の内容を申告して、消費税の還付を不正に受けようとする事案が後を絶ちません。このような消費税の不正還付事案は、消費税制度に対する納税者の信頼を著しく害するものであり、国税当局では重点課題と位置付けて対策に取り組んでいます。

(1)消費税還付申告税額の現状

 消費税還付申告税額は近年増加傾向が続いており、個人及び法人が提出した令和5(2023)年度の消費税還付申告税額の合計額は7兆円を超えています。

消費税還付申告税額の推移

消費税還付申告税額の推移のグラフ

(2)消費税不正還付に対する取組

〜 不正な還付申告は見逃さない 〜

 消費税不正還付を抑止するには、不審な申告を見逃さない、悪質な納税者を放置しないことが重要です。
 国税庁では、消費税制度を悪用した事例に対して、申告から行政指導・調査から徴収まで各段階に応じた適切な対応を行えるよう、関係部署が連携して@還付申告書の厳格な審査の実施、A悪質な手法等に着目した積極的な調査の実施(事例の分析・データ活用)、B組織体制の充実(専門部署の設置・拡充)、C広報活動を通じた未然防止の取組など、組織を挙げて取り組んでいます。

イ 還付審査の充実

 消費税の還付申告の中には、不正還付事例以外にも、法令の適用誤りなどによるものも含まれています。そのため、国税当局としては、各種情報に照らして確認の必要がある場合は、還付金の支払を一旦保留し、必要な書類の提出をお願いしたり、実地調査を行うことで、還付申告の原因や還付税額の確認をしています。これらの結果、還付税額に誤りがあれば適切に是正する一方で、誤りがないと判断した場合には速やかに還付を行っています。

ロ 実地調査の充実

 不正還付の手口は、時代の変化とともに複雑・巧妙化しています。国税庁では、必要なマンパワーを確保した上で、様々な資料の収集・分析を行い、必要な対象を見極め、厳正な調査を実施しています。その結果、令和5(2023)年7月から令和6(2024)年6月までに消費税還付申告者(個人・法人)に対して6,335件の実地調査を実施し、その追徴税額は、約405億円となっています。
 また、特に悪質な不正受還付事案に対しては、査察調査をった上で検察官に告発し、その刑事責任を追及しています。
 令和6(2024)年4月から令和7(2025)年3月までに、

・ 高級腕時計の輸出販売を装うため、インターネットで購入した安価な腕時計を用意し高価な腕時計を購入したとする領収証等を作成して、架空の課税仕入れ及び架空の輸出免税売上げを計上していた事案
・ 不正加担者に実際の工事代金を水増しした内容虚偽の工事請負契約書及び請求書を作成させ、課税仕入れを過大に計上することで、不正に消費税の還付を受けようとした事案
 などの不正受還付事案17件を告発しており、これらの事案で不正に還付を受け、又は受けようとした金額は、合計で3億400万円に上っています。
 なお、査察調査により告発した事案のうち、令和6(2024)年4月から令和7(2025)年3月までに、一審判決が言い渡された不正受還付事案には全て有罪判決が出されており、そのうち最も重い実刑判決は、懲役2年6でした(他の犯罪との併合事件を除く)。
消費税不正受還付事案の告発件数及び不正受還付額
年度 令和4 令和5 令和6
告発件数 16件 16件 17件
不正受還付額 1,347百万円 454百万円 304百万円
  • ※1 告発件数は、ほ犯との併合事案を含みます。
  • ※2 不正受還付額は、加算税を除き、未遂の還付額を含みます。

【参考】消費税不正還付の主な手口
〜 不正の手口は多種多様 〜

(イ) 架空の国内仕入れ及び架空の海外売上げを計上する事例

 事業者が国内で商品を取引する際には、消費税が課されますが(課税取引)、国外に商品を販売(輸出)した場合には、消費税が免除されます(免税取引)。事業者は売上げに係る消費税から仕入れに係る消費税を差し引いて申告を行いますが、差引後の金額がマイナスとなった場合は、消費税の還付を受けることができます。この仕組みを悪用し、国内で仕入れた商品を国外へ輸出したかのように虚偽の申告をして不正に還付金を受けようとしていた事例が把握されています。

(ロ) 免税購入物品の国内転売事例

 免税店では、一定の外国人旅行者等(免税購入対象者)に対して、所定の手続を行うことにより、商品を輸出する場合と同様に、消費税を免除して販売することができます(輸出物品販売制度)。この場合、外国人旅行者等は免税価格で購入した商品を国外に持ち出す必要がありますが、近年、国内事業者(ブローカー)等の指示の、多量・多額の免税購入をった上で、国外に持ち出さずに国内転売することで不正に利益を得るなどの事例やこれを免税店が主導するといった悪質な事例が把握されています。

《コラム4》輸出物品販売制度の見直し(リファンド方式への見直し)

 多額・多量の免税購入物品が国外に持ち出されず国内での横流しが疑われる事例が多発し、出国時に免税購入物品を所持していない外国人旅行者等を捕捉し即時徴収を試みても、その多くが滞納となるなど、輸出物品販売制度の不正利用は看過できない状況となっています。

 このような実態を踏まえ、輸出物品販売制度の不正利用を排除し、免税店が不正の排除のために負担を負うことのない制度とするため、令和8(2026)年111日から、免税店において税込価格(課税)でった免税対象物品の譲渡(販売)について、外国人旅行者等の購入日から90 日以内の出国時にその免税対象物品を持ち出すことが税関で確認された場合に免税販売が成立する制度とされ、この確認後に免税店を経営する事業者から外国人旅行者等に消費税相当額を返金する「リファンド方式」に見直しが行われます。
リファンド方式特設サイト

 詳しくは、国税庁ホームページ内の「リファンド方式特設サイト」に掲載しているリーフレットやQ&Aをご参照ください。

ハ 組織体制の充実

 消費税不正還付事案への対応として、国税局統括国税査官や税務署消費税専門官など、消費税調査を専門に担当する部署等の設置や定員を増員し、積極的に調査を実施しています。また、専門的な知識やノウハウを持つこれらの国税局職員や税務署消費税専門官が一般の税務署職員と連携し還付審査や消費税調査を実施することで、国税組織全体の調査能力向上にも取り組んでいます。
 さらに、税関との間で人事交流を行い、国税・税関双方の人材育成にも取り組んでいます。

ニ 広報活動を通じた未然防止

 国税庁では、厳格な還付審査や調査・徴収を行いつつ、国税庁ホームページ内のインターネット番組「Web-TAX-T」に「消費税の不正還付を許さない!」を日本語、英語、中国語の字幕付きで掲載するなど、広報・啓発活動に取り組み、不正還付の未然防止に努めています。

Web-TAX-T「消費税の不正還付を許さない!」

■ Web-TAX-TV「 消費税の不正還付を許さない!」画像

 1件の消費税還付申告書の申告内容に疑問を抱いた国税調査官が税務調査に着手し、消費税不正還付を解明するまでを分かりやすいドラマ仕立てで配信しています。是非ご覧ください。

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