〜 酒類業の振興を図るため、様々な取組を実施 〜

 国税庁は、酒税の適正・公平な課税の実現はもとより、酒類業の健全な発達に向けて、積極的な取組を実施しています。
 酒類業は、歴史的・文化的に重要な地場産業を形成してきたほか、近年では、地方創生やクールジャパンとして新たな価値を創出しており、その発展は地域経済や日本経済の活性化等に寄与するものです。
 こうした観点から、国税庁においては、酒類業の事業所管官庁として、個々の酒類業者や業界団体等のニーズや課題等の把握に努めるとともに、関係省庁・機関等と連携・協調しつつ、酒類業の振興のための取組を強化していきます。
 一方、酒類は致酔性、習慣性を有するなど、社会的に配慮を要する物品であることから、社会的要請に応えるための取組にも適切に対応しています。

1 酒類業界の状況

(1)国内市場の状況

 酒類の課税移出数量は平成11(1999)年度をピークとして減少してきています。各酒類の課税移出数量の構成比率の推移を見ると、近年、その構成が大きく変化していることが分かります。
 特にビールの課税移出数量が大きく減少していますが、これは、ビールから低価格の発泡酒やチューハイ、ビールに類似した酒類(いわゆる「新ジャンル飲料」)に消費が移行していることが一因と考えられます。

課税移出数量の推移

課税移出数量の推移
(出典:国税庁統計年報)

 酒類業界の大半は中小企業ですが、商品の差別化、高付加価値化、海外展開等に取り組み、成長している事業者も少なくありません。最近では、異業種やスタートアップ(新規事業の立ち上げ)、更には外国人が我が国の酒類業界に参入する動きも見られます。

(2)日本産酒類の輸出の状況

 海外に目を向けると、日本産酒類は、近年、国際的なコンクールで受賞するなど、世界的な評価が高まっています。
 このような中、日本産酒類の輸出金額は、令和2(2020)年は約710億円(対前年7.5%増)となり、9年連続で過去最高を記録しました。

最近の日本産酒類の輸出動向

最近の日本産酒類の輸出動向
(出典:財務省貿易統計)

(3)新型コロナウイルス感染症の影響

 新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、特に令和2(2020)年4月以降は、国内では、飲食店を中心に酒類消費が一段と減少しました。一方、輸出については、欧米を中心に一時大幅に落ち込んだものの、同年8月以降回復し、同年の合計輸出金額はプラスに転じました。

酒類の国内消費動向(令和2(2020)年)(単位:前年同期比増減率、%)
  1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
家庭
消費
+5.2 +12.5 +9.5 +22.5 +26.9 +17.4 +12.2 +11.7 +5.9 +22.1 +14.2 +8.2 +13.6
飲食店
消費
+16.1 +12.3 ▲51.9 ▲90.0 ▲88.0 ▲62.5 ▲52.6 ▲63.6 ▲53.3 ▲35.9 ▲57.2 ▲81.7 ▲52.7
家庭+
飲食店
消費
+9.5 +12.5 ▲13.6 ▲17.1 ▲9.0 ▲6.3 ▲7.0 ▲10.2 ▲9.5 +2.9 ▲10.2 ▲24.1 ▲8.1
(出典:総務省統計局「家計調査」(2020年)(「2人以上世帯」の1世帯当たり平均消費支出金額【名目】))