第1節 管理運営事務

1 概要

(1) 管理運営部門の設置(内部事務の一元化)
 平成21年7月から各税務署に管理運営部門が設置され、それまで管理部門で行っていた債権管理事務と課税部門で税目別に行っていた内部事務を集約して一体的に処理する「内部事務の一元化」が実施された。
 管理運営部門においては、①納税者の基本情報の登録・異動等の事務、②税務署に提出される申告書等の入力事務、③徴収決定・収納整理、還付金の支払などの債権管理事務を処理するほか、窓口での提出書類の受付、現金領収、証明書の発行、税務相談なども一本化され、ワンストップで対応することとなった。
(2) 管理運営部門の事務運営
 平成21事務年度の管理運営部門の創設当初においては、一元的な事務処理を円滑に定着させるため、平成21年9月から新たな事務処理の流れに対応したKSKシステムの運用を開始するとともに、平成22年7月からは管理運営部門に配置された職員が各種事務を経験できるよう担当事務のローテーション(OJT)などの施策を実施した。
 内部事務の一元化は、集約した各種事務の発生時期・処理期限や作業量等を踏まえた計画の策定、進捗管理を行い、税目横断的な共同処理、事務の繁閑調整・平準化により効率的な事務運営を目指すものである。
 このような考え方に基づき、平成23年7月から部門内での共同事務処理、平成24年5月から複数部門設置署における部門間の繁閑調整を本格的に実施した。
 平成25事務年度以降は、共同処理や繁閑調整を基本とする事務処理体制が定着したことを踏まえ、主要な業務に関して処理効率に係る指標を設定し、これを事務計画の策定や事務実績の分析に活用するとともに、PDCAサイクルの考え方に基づき事務運営の状況を分析し、必要な改善を加えることにより、適正かつ効率的な事務処理の更なる推進に取り組んでいる。
 また、職員からの提案を積極的に採用し、事務処理手順の見直しや事務改善にも継続して取り組んでいる。

2 債権管理事務

(1) 債権管理事務の内容
 債権管理事務の主な内容は、納税申告書の提出等により定まった税金の納付状況を個別に管理する徴収決定・収納事務と、納め過ぎとなった税金を納税者に返還する還付金事務である。
 徴収決定・収納事務は、納税者からの納税申告書の提出や税務署長による申告税額の更正等により納付することとなった税金の額を確認して「徴収決定済額」として管理し、また、これらの税金が実際に納付された場合に「収納済額」として整理することで、納税者ごとにその納付状況を管理するとともに、未納の納税者に対して督促状により納付を促すことを主な内容とする事務である。
 税金の納付は、金銭により日本銀行やその代理店となっている金融機関(銀行、郵便局等)又は所轄税務署において行うことが原則であるが、相続税・贈与税については、納期限までに納付できない場合の延納が認められ、相続税については、延納によっても金銭納付が困難で、一定の要件を満たす場合には不動産や有価証券などの相続財産により、物納することが認められる。また、印紙税、登録免許税、自動車重量税といった税目については、印紙による納付が認められている。納められた税金は、直ちに国の歳入となるのではなく、一旦「国税収納金整理資金」に受け入れられ、その資金から還付金等を支払った残額が歳入として一般会計等に組み入れられることになっている。
 還付金事務は、納税者が税金を納め過ぎた場合、その超過部分の金額(還付金)を納税者に返還するための事務である。その返還に当たっては、①金融機関(銀行・郵便局)の預貯金口座へ振り込む方法、②郵便局等の窓口で受け取る方法により支払うこととしている。
(2) 納付手段の多様化
 国税の納付手段については、振替納税(昭和42年6月導入)、インターネットバンキング等による電子納税(平成16年6月導入)、コンビニ(バーコード)納付(平成20年1月導入)のほか、次の納付手段を順次導入し、納税者利便性の向上を図るとともに、収納に関する事務効率を図っている。
イ ダイレクト納付(平成21年9月導入)
 ダイレクト納付とは、あらかじめ預貯金口座の情報を記載した利用届出書を提出することで、e-Taxを利用して申告した後、簡単な操作で預貯金口座からの振替により納付できる手続である。
 ダイレクト納付のメリットとして、税務署や金融機関に出向くことなく、自宅やオフィスなどから納付が可能となるほか、①インターネットバンキング契約が不要であること、②あらかじめ納付日を指定しておくことが可能であること、③税理士が代理で電子申告等を行った際に、納税者に代わって納付手続を行うことが可能であることなどがあげられる。
ロ クレジットカード納付(平成29年1月導入)
 クレジットカード納付は、パソコンやスマートフォン等からインターネットを利用して、専用のWeb画面(国税クレジットカードお支払サイト)において、必要な情報を入力することにより、納付できる手続である。
 平成29年6月以降、源泉所得税(自主納付分)の納付についても、e-Taxで徴収高計算書データを送信することにより、クレジットカード納付が可能となっている。
ハ QRコードを利用したコンビニ納付(平成31年1月導入)
 QRコードを利用したコンビニ納付は、自宅等で納付に必要な情報をQRコードとして出力し、コンビニエンスストアのキオスク端末に読み取らせることで、レジで納付できる手続である。
 また、QRコード(PDF)をスマホに表示させることにより、手続を行うことも可能である。
 これにより、税務署に出向いて納付書を入手しなくても、コンビニでの納付が可能となっている。
(3) 還付金事務の合理化
 還付金の支払は、各税務署が取引店として指定されている日本銀行(本支店及び代理店)に書面により振込依頼を行う方法により行ってきたが、大量の還付申告書等を効率的かつ迅速に処理するとの観点から、国税還付金振込明細票の電子化や、日本銀行への振込依頼の集中化・オンライン化などにより還付金事務の合理化を進めてきた結果、支払手続の大半がオンラインにより処理されるようになった。
 また、平成22年9月から、還付金事務の不正処理の防止策を強化するため、国庫金を直接取り扱う事務処理において指静脈認証方式による生体認証を導入した。

第2節 徴収事務

1 概要

 平成21年度以降の徴収事務は、滞納残高が平成11年度以降減少している状況下において、滞納残高の圧縮のみに着目するのではなく、大口・悪質滞納事案や処理困難事案が多く含まれると考えられる累積・長期滞納の整理促進を図っていきながら、バランスのよい滞納整理を実施してきた。
 具体的には、①大口・悪質滞納事案に対する厳正かつ毅然とした対応、②処理困難事案に対する適切な事務量の投下、③消費税滞納の残高圧縮に向けた確実な処理、の3点を掲げるとともに、滞納整理事務量の確保、少額事案に対する効果的・効率的処理、個別的進行管理の充実など、効果的・効率的な事務運営に努めた。

2 租税滞納の状況

(1) 平成21~30年度の動向
イ 新規発生滞納額の推移
 新規発生滞納額(地方消費税を除く。以下この節において同じ。)については、ピークとなった平成10年度以降おおむね減少傾向で推移しており、平成25年度には5,477億円まで減少した。平成26、27年度は、消費税率引上げなどによる徴収決定済額(地方消費税を除く。以下この節において同じ。)の増加に伴い、新規発生滞納額は一時的に増加したが、平成28年度からは再び減少に転じており、平成30年度は6,143億円、ピーク時の平成10年度(1兆6,383億円)の37.5%まで減少した。
 また、新規発生滞納額の徴収決定済額に占める割合(滞納発生割合)も、平成21年度の1.8%から低下傾向で推移しており、平成30年度には1.0%と、国税庁発足(昭和24年度)以来最低水準まで低下した。
ロ 整理済額の推移
 整理済額(地方消費税を除く。以下この節において同じ。)については、平成21年度は8,061億円であったが、滞納残高や新規発生滞納額の減少に伴って減少傾向にあり、平成30年度は6,555億円であった。
 また、整理済額が要整理滞納額に占める整理割合については、平成21年度の35.0%から、平成23年度には32.8%まで低下したものの、平成24年度から上昇に転じ、平成30年度は44.7%となった。
ハ 滞納残高の推移
 滞納残高については、滞納の未然防止及び整理促進に努めた結果、平成11年度以降20年連続で減少し続け、平成30年度の滞納残高は、8,118億円と、滞納残高のピークとなった平成10年度(2兆8,149億円)と比較すると28.8%まで減少した。
(2) 税目別滞納の状況
 滞納残高の約9割は、所得税(源泉所得税・申告所得税)、法人税及び消費税が占めている。滞納残高に占めるこれらの税目の割合は、所得税が最も高くなっている。滞納発生割合については、この10年間の状況をみると、源泉所得税が0.2%程度と一番低く、次いで、法人税が0.5%程度、消費税が2~4%と続き、申告所得税が最も高く3~5%で推移している。
 消費税については、平成元年の導入後から滞納残高が増加し続け、平成9年1月参議院本会議において、「消費税に対する国民の信頼を損なわないよう、滞納の未然防止及び滞納整理の促進に一層努力すべきである。」とする、いわゆる警告決議が全会一致で行われたことから、より効果的かつきめ細かな未然防止策を講じるとともに、消費税滞納事案の優先的な処理に取り組んだ。
 こうした取組の結果、消費税の滞納残高は、平成12年度に制度導入後初めて前年度より圧縮を図ることができ、その後も滞納残高は19年連続で減少し続け、平成30年度には2,904億円と、ピーク時の平成11年(6,323億円)と比べて、45.9%まで減少した。

滞納整理状況の推移

(単位:百万円、%)
区分 徴収決定済額 要整理滞納額 整理済滞納額 整理割合 滞納残高
期首滞納 新規発生 発生割合 合計
平成21 41,945,945 1,553,821 747,757 1.8 2,301,578 806,050 35.0 1,495,528
22 42,546,613 1,495,528 683,642 1.6 2,179,170 759,066 34.8 1,420,104
23 42,795,361 1,420,104 607,309 1.4 2,027,413 665,676 32.8 1,361,737
24 44,450,732 1,361,737 593,486 1.3 1,955,223 685,046 35.0 1,270,177
25 47,719,169 1,270,177 547,651 1.1 1,817,828 676,461 37.2 1,141,367
26 53,520,119 1,141,367 591,354 1.1 1,732,721 668,090 38.6 1,064,631
27 58,152,282 1,064,631 687,132 1.2 1,751,763 774,350 44.2 977,413
28 57,651,641 977,413 622,098 1.1 1,599,511 702,439 43.9 897,072
29 60,820,320 897,072 615,478 1.0 1,512,550 659,490 43.6 853,060
30 62,483,848 853,060 614,251 1.0 1,467,311 655,523 44.7 811,788

(注)地方消費税を除く。

税目別の滞納残高の推移

税目別の滞納残高の推移

(注) 1 地方消費税を除く。
   2 ( )書は、滞納残高に占める各税目の割合である。
   3 各々の計数で四捨五入しているため、合計が一致しない場合がある。

3 徴収事務の事務運営

(1) 滞納の未然防止及び整理促進に関する取組
イ 滞納の未然防止
 滞納残高の圧縮のためには滞納の未然防止が極めて重要であることから、平成21年1月に通達(未然防止通達)を発遣し、賦課・徴収の緊密な連携の下、国税組織全体で滞納の未然防止に取り組んだ。
 具体的には、調査時における予納の利用勧奨や納期限前後の納付指導について、賦課部門の協力を受けながら積極的に取り組んだ。
 また、平成27年からは、国税庁の外部委託により一括して発送する「期限前納付指導はがき」を活用した文書による期限前納付指導、集中電話催告センター室における電話による期限前納付指導を実施しており、新規発生滞納の抑制に大きな効果を挙げている。
 これらの取組に加え、令和元年10月の消費税率の引上げを踏まえた新たな施策などについて、平成31年4月に未然防止通達を改正しており、①賦課・徴収の一層の緊密な連携の維持・強化、②税理士会や個々の税理士に対する関与先納税者への納付指導の協力要請、③関係民間団体や各種業界団体に対する期限内納付の広報・周知、④滞納者に対する納付指導などの滞納の未然防止施策を積極的に実施している。
ロ 滞納の整理促進
 滞納処分の執行は、滞納者の権利・利益に特に強い影響を及ぼすことから、滞納整理に当たっては、滞納者個々の実情に即しつつ、法令等に基づき適切に対応することを基本としている。
 このため、滞納者との納付折衝の際には、まずは、納税についての誠実な意思の有無を確認した上で、納付能力調査を中心として滞納者の実情等を十分把握して処理方針を決定するとともに、滞納者にとって特に重要と認められる財産の差押えを行う場合などには、組織として、滞納者の生活の維持や事業の継続に与える影響等や事後の対応等を十分検討した上で、滞納整理を実施することとしている。
 このような基本的な考え方に基づき、①大口・悪質事案に対する厳正かつ毅然とした対応、②処理困難事案に対する質的整理の実施、③消費税事案の滞納残高圧縮に向けた確実な処理に留意して、適正な滞納整理事務を推進している。
(2) ICT及びデータ活用の推進
イ 徴収システムの導入
 徴収システムは、システムによる的確な進行管理や各種情報の管理・把握・分析など、ICTの活用による滞納整理の一層の充実・高度化を図ることを目的として、①進行管理の充実、②滞納整理事務の支援、③業務の効率化、④業務の一層の適正化の4点を基本方針とし、基幹システムであったKSK(徴収)システムの後継システムとして開発され、平成24年1月から運用している。
 徴収システムの事案管理機能や業務分析資料の活用により、徴収事務の充実・高度化が図られており、今後も徴収システムの機能や豊富なデータを活用した更なる徴収事務の高度化を推進していく。
ロ PDCAサイクルによる事務運営
 徴収システムの様々な機能や統計的手法による客観的なデータを活用した合理的な事務計画の策定、事案区分に応じた事務量配分、実施結果の分析・評価など、PDCAサイクルを活用した効果的・効率的な事務運営に取り組んでいる。
 その実施に当たっては、平成26事務年度から先行的に20署において運用を開始し、平成28事務年度に先行実施署を42署に拡大した上で、平成30事務年度から本格的に取り組んでいる。
ハ 集中電話催告センター室の効果的な運用
 集中電話催告センター室は、平成14年度に東京国税局に導入し、平成16年度までに順次全国税局・沖縄国税事務所に拡大した。同室では、集中電話催告システムにより、新規に発生した滞納事案について集中的に電話催告を行い、効果的・効率的に滞納を整理しており、滞納の整理促進に大きく貢献している。
 平成30事務年度における同室での整理状況について、人員では、催告の対象となった82.4万者のうち、約70.1万者(85.1%)が完結又は短期間の納付誓約を得るに至っており、税額では、2,718億円(地方消費税を含む。)を処理している。
 その他、国税局及び税務署で発送していた定期催告書について、形式を封書から圧着はがきに変更するとともに、催告書の作成・送付作業を集中電話催告センター室に集中化して実施する、定期催告事務の集中化を平成29年から実施している。
集中電話催告センター室の滞納整理状況(平成30事務年度) 集中電話催告センター室の滞納整理状況(平成30事務年度)

(注) 端数処理により合計は一致しない。

(3) 執行体制の最適化
 署徴収部署の小規模な体制や、現下の厳しい定員事情等を踏まえ、平成27事務年度から、滞納整理事務の集中化の試行を4局6ブロック(対象署11署)で開始したほか、評価・公売事務、猶予・審理事務、滞納処分の停止・事後監査事務などの専門的又は画一的な事務の集中化や高度な事案の相談・審理の局間支援の試行に取り組むこととした。これらの施策については、一定の効果が確認されたことから順次本格実施している。
 なお、滞納整理事務の集中化については、平成29事務年度から本格実施しており、平成30事務年度には11局52ブロック(対象署77署)で実施しており、今後も引き続き、集中化の拡充に取り組んでいる。

滞納整理事務の集中化の実施署数

事務年度 27 28 29 30
実施局 4 10 10 11
中心署 6 16 38 52
対象署 11 29 52 77

(4) 専門的分野への取組強化
 徴収事務においては、滞納の整理促進だけでなく、時宜に応じた社会的要請にも適切に対応していく必要があることから、国際的な徴収回避への対応や滞納処分免脱罪の告発など、専門的分野への取組も強化することによって、納税者コンプライアンスの向上を図っている。
イ 国際徴収への取組
 近年の国際的租税回避に対する関心の高まりや、租税条約に基づく徴収共助等のネットワークの拡充状況等を踏まえ、海外への財産の移転などによる租税徴収の回避に対しては、条約に基づく徴収共助により対応することとしている。
 滞納整理においては、共通報告基準(CRS:Common Reporting Standard)を含む資料情報の積極的な活用及び課税部等との連携・協調を図ることなどにより、滞納者の国外財産情報を的確に把握するとともに、情報交換や徴収共助の制度を積極的に活用し、国際徴収に取り組むこととしている。
ロ 年金保険料の滞納処分の委任
 年金保険料等の徴収体制の強化を図るため、平成22年1月に改正厚生年金保険法等が施行され、年金保険料等に係る悪質な滞納者に関し、厚生労働大臣が財務大臣に年金保険料等の強制徴収権限を委任することができることとされた。
 国税庁では、①厚生労働大臣から委任を受けた場合には直ちに対応できる体制の整備、②日本年金機構と国税局との定期的な打合せの実施、③日本年金機構が主催する徴収実務に関する研修への講師派遣を実施するなど、連携強化に積極的に取り組んできたところであり、これまで厚生労働大臣から委任を受けた滞納事案は280件となっている。
 今後も、厚生労働大臣から委任される年金保険料等の徴収事務について、委任制度が効果的に活用されるよう、厚生労働省及び日本年金機構と緊密に連携するとともに、委任を受けた事案については、ノウハウと専門性を生かし、年金保険料等の的確な徴収に努めていく。
(5) その他の取組
イ 猶予制度への取組
 平成26年度税制改正において、納税者の負担の軽減を図るとともに、早期かつ的確な納付の履行を確保する観点から、従来の税務署長の職権による換価の猶予に加えて、滞納者からの申請に基づく換価の猶予(国税を一時に納付することにより事業の継続又は生活の維持を困難にするおそれがあると認められる場合に、差押財産の換価(売却)が猶予される制度)の規定が創設された。
 この猶予制度の周知とともに、滞納者個々の実情把握、法令等の要件に該当する場合の適切な適用、適用後の履行監視の確実な実施に取り組んでいる。
ロ 公売事案の処理促進
 滞納整理中の事案の中には、差押え中の財産が数多くあることから、滞納の整理促進のため、法令等の整備や執行体制の見直し等を行うなど公売事案の処理促進を図っている。
 平成19年にはインターネット上の民間オークションサイトを利用し、買受希望者の利便性に優れた競り売り方式のインターネット公売を開始。
 平成24年3月から、国税庁ホームページのWeb-TAX-TVにおいて「あなたもはじめてみませんか、インターネット公売」を配信し、インターネット公売を広く周知して参加の促進を図っている。
 また、平成26年4月に公売財産の見積価額の定め方、差押財産の一括換価を可能とする規定などが創設されたほか、公売事案の滞納処分の引継ぎ等の規定が設けられた。
 平成28事務年度には、評価・公売事務を国税局に集中化し、適法性・妥当性を確保しつつ評価・公売事務の効率化を図った。
 更に、平成30年度税制改正において、参加差押えをした税務署長による換価執行制度が創設され、滞納事案の処理促進が図られている。
(6) 法令、通達の整備改善
イ 国税徴収法基本通達の改正
 国税徴収法基本通達は、昭和35年の制定後、昭和41年に国税通則法の制定に伴い全文を改正し、その後も、税制改正や関係法令の改正等に併せて改正を行い、平成19年に破産法等の整備や裁判例の集積等を受けて全面的な見直しを行った。
 平成21年以降も、徴収共助導入への対応、公売手続や猶予制度の見直し等の税制改正その他関係法令の改正等に併せて8度にわたり改正を行った。
ロ 徴収事務提要の改正
 徴収システムの導入に伴い、国税局及び税務署の徴収担当部署における徴収システムによる事務処理手続を定め、徴収事務の適切な事務運営を実施する観点から、平成25年4月に徴収事務提要の全面的な見直しを行った。
ハ 換価事務提要の改正
 換価事務提要は、公売や配当などの換価に関する事務の取扱いを定めており、平成26年に見積価額の定め方や複数財産の一括換価などについて、平成30年には、換価執行制度の創設を受け、所要の手続を整備し、見直しを行った。
ニ 徴収共助事務提要の制定及び改正
 平成25年10月、徴収共助等の国際的な枠組みを活用した海外関連滞納の徴収に的確に対応するため、徴収共助等に関する手続及び事務運営を定めるものとして徴収共助事務提要を制定し、以後毎年、所要の改正を行っている。