課税部長
課税部長の村上であります。
第1回、第2回の審議会の場でも確定申告のお話はさせていただいたかと思いますが、本年も既に還付申告の受付が始まっておりますので、本年の確定申告に対する我々の取組について簡単に御説明をさせていただきたいと思います。
資料は既にお出ししているかと思いますが、今年の確定申告で一番大きな特徴は、ここにございますように申告書の様式を変えたということでございます。これは昭和38年以来40年ぶりの抜本的な改正であります。
我々といたしましては、申告書を自分で書いて出していただくという自書申告を進めているわけでありますが、納税者の方々から、自分で書くためには、分かりやすく、書きやすい申告書という大変強いニーズがございましたので、いろいろ各方面の御意見を聞きながら申告書の改訂作業を進めてまいりました。本年からこの新しい申告書を使用させていただくわけであります。
申告書自体は易しくしたつもりでありますが、少なくとも昨年の申告書と変わっておりますので、多くの納税者の方は恐らく昨年の申告書を保存しておられて、それを見ながら新しい申告書に転記されるというケースも多かろうと思いますので、配付資料の2ページにもちょっとありますが、昨年の申告書から今年の申告書にどう転記したらいいのか、いわゆる新旧対照表なのですが、そういったものも作らせていただいております。
さらに、確定申告書の手引きというのを、カラー刷りで今お手もとにお配りしておりますが、従来はやや硬い、役所の通達を羅列したような文書であったのでありますが、できるだけ知恵を絞って、書きやすいような手引きにさせていただいたつもりであります。
そういった努力をすることによって、納税者の皆様方に自分で書いていただけるように努めてもらいたいと思っておりますが、さらに加えまして、やはりそうは言いましても、いろいろ長年、マン・ツー・マンで相談をしてきたという経緯もございますので、自書申告の定着に向けての環境整備の一環としていろいろな施策を別途講じました。
既に会議の始まる前に委員の先生方何人か体験していただいたかと思いますが、タッチパネル、銀行でいうATMに近いものでありますが、そういう自動申告書作成機といったものも、これ、実は平成10年から使用しているのでありますが、本年からはあらゆる申告書に対応できるようにソフトを改訂いたしております。現在、全国の税務署に約4,000台を配置しておりますので、かなりの程度タッチパネルを使用していただいて、自動的に申告書が作成できるのではないかと思います。
これはATMと同じでございまして、画面と音声の誘導によって順次タッチしていくわけであります。若干時間がかかるのですが、さらによりよいソフトに来年また変えるつもりであります。もう少しプログラムを改善しまして、さらに短い時間でできるようにしていきたいと思っております。
それ以外に、配付資料の5ページにございますが、還付申告センター、これは要するに税務署以外の場所であります。次の6ページを御覧いただければ具体的な場所がありますが、東京局で言いますとJR東京駅の日本橋口、大手町側でありますが、そういった割合便利な所、納税者の方が便利な所に税務署以外の還付センター、東京の場合は特に、各地同じでありますが、住所地はどこでもいいのですけれども、例えば松戸に住んでおられて東京に出てこられて、丸の内に勤務しておられるそういった方が、通勤途上でこういう所で申告書を提出いただける、わざわざ松戸税務署へ行かなくてもいいと、そういった趣旨から設けたものでありますが、全国で71カ所の還付申告センターを設置することにいたしました。
さらに、最近は自宅で申告書を書いていただくということで、インターネットが非常に普及しておりますので、国税庁のホームページも向上させているのでありますが、確定申告期には様々な確定申告情報をホームページから見られるようにしております。特に、2月から使用開始なのですが、計算シミュレートコーナーというのを本年から国税庁のホームページに開設をいたします。
これは、実際の申告書が画面に出まして、給与なら給与収入のところをクリックしていただきますと画面が開きまして、いろいろ解説などが出てまいります。要するに、手引きと申告書が一緒になったようなものですが、指示に従っていろいろ数字を入力していただきますと、基本的に確定申告書の税額計算までできるというシミュレート計算コーナーであります。それらも使用開始をしたいということです。恐らく、2月ぐらいから使用開始だと思います。
また、携帯電話からインターネットでアクセスできるよう、タックスアンサーやホームページなども開設してございます。
こういった施策をいろいろ講じまして、従来はややもすると確定申告期は大変来署者が多くて待ち時間が長かった。場合によれば1時間も2時間も待たなければいけないと、こういう事態があったわけでありますが、やはり相談会場の待ち時間を短縮していくと、非常に時間、コストの節約になりますし、何も税務署へ行っていただかなくても自宅で申告ができる。こういったことを進めていきたいと思っております。
確定申告者は、国民は1億幾らでありますが、毎年2,000万枚の申告書が出ます。1年間で一番多数の納税者が税に関心を寄せる時期であります。やはりこの時期の事務運営というのは我々税務当局にとって一番大事でありますので、こういったときの施策がうまくいくかどうかが、やはり納税者の信頼につながるという認識を強く持っておりますので、確定申告事務が円滑にいくように最善の努力をしてまいりたいと思っております。
以上でございます。
会長
どうもありがとうございました。
では続いて、滞納圧縮への対応について、徴収部長からお願いします。
徴収部長
徴収部長の余田でございます。よろしくお願いいたします。
資料は3−5でございますが、滞納圧縮への対応につきましては、近年、消費税を中心にいたしまして極めて高水準にございますので、国税庁といたしましては、滞納の圧縮を税務行政の最重要課題の一つと位置付けまして、いわば全庁的な問題として取り組んでまいっておるところでございます。
滞納の状況でございますけれども、1ページを御覧いただきますと、ずっと滞納が増えてまいりましたが、平成11年度と12年度連続して、これは全税目でございますけれども圧縮が図られております。
次のページを御覧いただきますと、消費税でございますが、消費税につきましては資金繰りの悪化であるとか、あるいは税率のアップがございまして、これを主な原因といたしまして平成9年、10年と大幅に滞納が増えたわけでございますけれども、平成12年度にわずかではございますが0.4%、制度創設以来、初めて前年を下回ることができました。
全税目につきまして2年連続、それから消費税につきまして初めて滞納の圧縮を図ることができたというわけでございますけれども、滞納の水準自体は非常に高うございますので、引き続き組織を挙げて取り組んでいくという決意でございます。
滞納の防止の施策をどのようにやっているかということにつきましては、次の3ページでございますが、消費税の滞納未然防止の推進と銘打っておりますけれども、やはり組織を挙げて賦課・徴収の連携による期限内納付しょうように力を入れ、さらに消費税につきましては預かり金的性格であるということを積極的にPRしております。
それから、国及び地方公共団体に対しまして、公共事業の入札参加資格審査の際に消費税の納税証明書を活用してもらうよう依頼をいたしておりまして、ほぼすべての国の機関あるいは市町村に御協力をいただいているということでございます。
そのほか、納税貯蓄組合であるとか、あるいは間税会などの関係民間団体に対しまして、納税資金の備蓄の推進について御協力をお願いしておりまして、その結果、13年11月の段階で全国378の金融機関におきまして消費税の積立預金が商品化されるなどいたしまして、納税資金の備蓄環境の整備が進展をいたしているというふうに思っております。
それで滞納につきましては、いかにして滞納の発生を食いとめるかということが重要でございますけれども、なおそれでも滞納が発生した場合の整理の方針でございますが、その下に記載しております。
一つは、消費税事案の優先処理でございます。それから大口・悪質事案に対する重点処理、さらに下に集中電話催告システムというものを記載してございますが、次のページを御覧いただきますと、この4月から導入を予定しております集中電話催告システムのイメージ図でございます。
これは新規の発生が小口のものが非常に多うございますので、それらを効率的に処理しようと。それで浮いた時間を大口・悪質なものに振り向けていこうと、そういう考え方でやっております。これは4月から東京で導入をするという予定でございます。
今後ともこのような施策を一層充実いたしまして、滞納圧縮に向けて取り組んでまいりたいというふうに考えております。
会長
それでは最後のトピックスですが、平成14年度予算案における国税庁関連事項についての御説明、よろしくお願いします。
総務課長
昨年末、平成14年度の政府予算案が閣議決定されたところでございますけれども、国税庁関係の定員・機構・経費の概要につきまして資料に沿って説明させていただきます。
まず、定員でございますけれども、「平成14年度予算編成の基本方針」の下、国家公務員全体で9,271名がマイナスになったということで過去最大の純減となっております。このような厳しい状況の下、当庁としましては、税務の困難性とか歳入官庁としての特殊性、あるいは現下の緊急な諸課題への対応等につきまして訴えて、302名の新規増員が認められております。
他方、「新たな府省の編成以降の定員管理について」いわゆる新定員削減計画でございますが、これに基づきます定員削減が年間522名ということでございまして、差引純減で220名ということで、これは昨年の198名の純減を上回る厳しい査定結果ということになっております。
なお、来年度から始まります新再任用制度に関連しまして、短時間勤務職員のための定数枠45名が認められたことに伴いまして、見合いの定員が32名削減されるということでございます。したがいまして当庁の平成14年度末の定員は5万6,466人ということになります。
それから、機構についてでございますけれども、こちらも既存機構の合理的再編成により対処するということを基本としました厳しい査定が行われたということです。
国税庁としましては、課税処理の統一性・透明性の確保とか経済取引の国際化・高度情報化・広域化への対応、それから滞納整理の強化及び納税環境の整備等に重点を置きました機構を要求してまいりまして、そういった新増設が認められたところでございます。
主な機構査定の例示を次のページの参考1のほうで示してございます。
新設ポストといたしましては、一つは審理機能の充実ということで、個別事案に係る事前照会や異議申立て等の審理事務につきまして、迅速かつ適正な処理を図るため、沖縄を除く各国税局に審理課又は審理官、いずれも仮称でございますけれどもこれを新設するということでございます。
それから2番目に、三つ目の丸でございますが、滞納整理強化の中で、先ほど徴収部長から説明のございました集中電話催告センターのためのポストとしまして、国税局の徴収部機動課に集中電話催告センター室を新設する。
それから、最初に御説明申し上げました情報公開が予想を超えて大量であるということでございまして、それに適切に対応するために国税庁に情報公開室の新設などが認められております。
それから、参考2のところに国税庁の定員の推移を掲げておりますが、最近10年間では平成9年度まで毎年純増となっておりましたけれども、平成10年度以降減少に転じまして、純減数も年々大きくなっております。「10年25%純減」という政府方針の下に、今後も国家公務員全体として定員をめぐる環境はますます厳しくなっていくものと考えております。
当庁としましても、こうした厳しい定員事情の下ではございますけれども、適切な定員配置とか事務運営の効率化・合理化に努めることによりまして、適正・公平な課税の要請に応えるべく努力していきたいと考えております。
続きまして、経費関係の予算の概要でございますが、こちらにつきましても財政構造改革の第一歩としまして、国債発行額を30兆円以下に抑えるという目標の下、歳出構造を抜本的に見直す「改革断行予算」と位置付けられるとの基本的な考え方の下に編成されております。
当庁関係の予算につきましては、人件費を含む総額で67億円増額されまして、電子申告・電子納税等税務行政のIT化に必要な経費を含めまして、対前年度当初予算比0.9%増の7,328億円が認められております。
以上、予算関係の説明を終わらせていただきます。