会長
 どうぞ。

岡野委員
 ちょっと質問なんですけれども、個人情報を請求する側は、これは個人、組織、何でもいいんですか。

総務課長
 情報公開の請求者は、全く制限ございません。「何人も」となってございまして。

岡野委員
 ということは、逆に言えば、組織であっても個人であっても、今度は、受ける側は別にその相手によって公開する差はないということですね。

総務課長
 そうでございます。

会長
 どうぞ、ほかのことについても。どうぞ、今井委員。

今井委員
 経済・社会の変化と納税者の利便の向上の欄になると思うんですが、1ページ目です、「納税者数等及び定員の状況」というふうにあるんですが、納税者数は所得税確定申告書の提出人数は 2,000万強ですよね。それで、国民が1億2,000万ぐらいですか、の中のいわゆる高齢化社会で25%はもう所得がないというか、第二の人生を謳歌していると考えて、35%強───40%近くは子供とか赤ちゃんとかそういうことを考えても、70%ぐらいがいわゆる所得がないかもしれないけれども、それにしても人数的には何か少ない気がするんですけれども。いわゆる所得を持っている人間がどれぐらいあるのか。例えばフリーターで納税すべきか、していない人がどれぐらいかとか、そういうところの調査というんですかね、その把握はされているんでしょうか。

課税部長
 我が国の制度は、大多数が給与所得者なわけですね。給与所得者が非常に多いわけですね、普通に働いておられる方は。給与所得者は年末調整でそれで終わりの方が非常に多いわけです。数千万人の方は確定申告が必要ないんです。したがって、この数字というのは、もちろん商売をしておられる方とか、あるいは不動産を売った方とか、サラリーマンでももちろん医療費控除とか、そういったことはありますが、給与収入が2,000万円を超えないと確定申告は必要ありません。したがって、非常に小さく、お怒りになるかもしれませんが大多数の方は年末調整で終わっているということであります。
 なお、今、マクロよりの数字をおっしゃいましたけれども、無申告がいくらかというお話に近いものでありまして、そういう数字は正直言ってありません。

今井委員
 え。ないんですか。

課税部長
 いや、マクロ的な計数ですね。一体納税すべき人はいくらというような感じだと思いますが、そこはちょっとデータ的にはございません。

今井委員
 もう一度よろしいですか。

会長
 ええ、どうぞ。

今井委員
 ということは、要するに給与所得者が何%で、いわゆる所得税を申告せねばならない人たちが何%で、いわゆる所得を持っていない人が何%で、所得はあるんだけれども要するに申告はしていない人が何%でという、全体の数字のデータはないんですか。

課税部長
 データは、全くございません。

今井委員
 ないんですか。

課税部長
 ありません。それは、例えば給与所得者にとりまして、我々が把握しているのは源泉徴収義務者といって会社を把握しておりますが、それはその中に徴収者の計算書が出てまいりまして、そのときの給与支給人員が何人と書いてありますが、その程度のデータなんです。我々が直接相対するのは源泉徴収義務者。所得税の場合は、課税最低限に達しなければ申告をしなくてもいいという性格。我が国は非常に課税最低限が高い。アメリカなんかに比べまして。そういう方々は申告しなくてもいいわけでありますから、我々それを把握するすべはございません。別途、いろいろ、経済官庁等々がいわゆる推計としてのいろいろデータはお持ちだと思いますが、我々はそういう推計、経済官庁ではございませんので実質としてのそういう数字はございません。

今井委員
 よろしいでしょうか。
 ということは、要するにこちらでは把握する必要はないわけですね。

課税部長
 いや、必要がないと申し上げているのではなくて、そういう非常にアバウトな数字ですので、要するに、脱税している人はいないといいますか、そういう話になっちゃいますから、ここで客観的なデータ、要するに所得税の確定申告を出してもらう方、でもこれは国税当局に出していただいている数字ですから、課税最低限は地方税のほうが若干低いわけですね。したがって、国税というか、国の税金としては払わなくていいですけれども、地方税だけ払っていらっしゃる方もいらっしゃるんです。そういう方は地方税当局に申告しておられます。そういう人もいらっしゃるわけです。
 我々にとって必要なデータということで、大変申しわけないのですが、そういう、やや経済的、分析的なデータはちょっと我々は持ち合わせておりません。

今井委員
 では、よろしいですか。今度は提案なんですが、ということは経済・社会の変化と、そうすると、納税者というものの見方の変化みたいなことを考えないと、ちゃんとまじめに申告している人とか、サラリーマンのような人たちだけが……

課税部長
 ちょっと誤解があったかもしれませんが、我々はそういう人を全部放置しているということを申し上げているのではなくて、ここにあるのは確定申告した人が何名と言っているだけですから、我々は56,000人の職員を使って日々情報収集に努めておりますが、国際分も含めまして。したがって、課税上問題のある者の把握には全力挙げて取り組んでいるわけです。しかし、実際に脱税した方が何人と言われても、例えばそれは結果として見つけた人は何人ということは言えても、税務調査していない人について何人か分かりませんから、なかなかそういったデータについては申し上げられないと言っているだけなんです。

会長
 ちょっと一点だけ補足しますと、私は財政学で、昔ですが推計はやったことはあります。推計というのは、国税庁の資料ではできないわけですが、ほかの経済官庁は当然所得についてはいろいろなデータを持っているわけですね。そうすると、この所得で大体控除がどれぐらいで、家族がどうなっているか、大体のところ、ここら辺がどうやら課税最低限だという感じはわかる数字はとれます。それと実際の……、そういうことはやったことはありますが。ですから、やっぱりそこで多少、何ていうかな、ギャップがあるということは、あると思いますね。今やればどうなってくるか知りませんが、そういうことはあるということはそうなんです。ただし、それが正確な意味で本当にそうであるかどうかは、国税庁自身の税務調査上において正確な所得が何であって、どこが課税最低限かということを確定して、初めてはっきりするんですね。ある種の推計的なものはないわけではないことだけはちょっと申し上げておきますが。
 それから、すみません、会議が5時までということのようで、多少超過するかもしれませんがそういうことで。
 御自由に、ほかの方も御質問をどうぞ。

八木委員
 今、課税最低限のお話が出ましたけれども、いわゆる国際的な比較なんかから見た課税最低限というのはいくらにすべきかという議論はあると思うんです。もう一つ、何といいますか、いわゆる所得のある人の中でどのぐらいの人が課税されているんだろうかと、こういう面での判断というのは余り今まで見たことがないように思います。この辺は、さっきおっしゃったように余りデータがないとか公表すべきじゃないとかというのがあるのかどうか。これからは、やはり選挙なんかあるたびに課税最低限の議論というのはかなり出てくると思うんですね。その辺のところを一つお教えいただきたいなと思います。いわゆるいくら、もちろん、10万円の所得でも100万円の所得でもあると思うんですが、少なくとも所得のある方で課税されない人と課税される人なんですか。ではないですね。

会長
 今の御質問を私流に解釈すれば、要するに課税はされていないんですが、所得額が分かっているというケースですね。結果においてもちろん課税されないということはたくさんあるわけですから。だから要するに、実際所得のある人についてどの程度という御質問の趣旨だと思いますが。
 何かもし……、大武次長ですか。

国税庁次長
 よろしいですか。今の今井先生の質問とも関連するんですが、多分、誤解があったらいけないんですが、まず課税されていない人には3つのパターンがあると。
 一つは、課税最低限以下であるためにそもそも課税されない。これは特に、よく言われますパートの女性などが103万円にならないと課税最低限以下だからかからないと言われているようなグループ。これはパートだけでも800万人弱いると言われていますから、この方というのは所得はパートという格好であるけれども、これは制度的に課税されていないグループというのが一つあるわけです。
 それからもう一つは、実は所得はあるけれども、分からないために把握できないために課税できていないというグループがいらっしゃって、これは我々把握できていないわけですから、課税のしようがないので、これがまさに村上部長が申したように、我が組織を挙げて無申告者をいかに摘発して課税するかというので日夜奔走しているグループ。
 それからもう一つは、本当に、これは御質問の趣旨とは違うんですが、所得が形上ないけれども実は生活している人というのはたくさんいるわけです。親からの仕送りとか、そういう形で学生のような方は、アルバイトをして所得があればこれは申告していないのは先ほど言った第2のパターンになるのですけれども、そうではなくて本当に親からの仕送りだけというと、家計を同一にしていると見るならばそれは課税されていないというか、申告所得がないと見ているグループ。いろいろなパターンがあると思うんです。
 ですから、その意味では、はっきり言って、特に真ん中の部分が、これは我々永遠の課題で、分からないものですから、それで正確な数字が出てこないということだと思います。
 それから、特に先ほどの第一のパターンで、では課税最低限はどうかという御質問は、多分非常に難しいのは、地域によってすごい差があるということだと存じます。先ほどサラリーマンという方で言いましたけれども、実はサラリーマンの比率というのは地域によってものすごく違います。東京なんかはほとんどサラリーマンと言ったほうがいいぐらいにサラリーマンの比率が高い。しかし、地方都市───都市とは言わない地方の町に行きますと、農業者ですとか漁業者という形の方は、サラリーマンという形式をとっておりませんから、そういう意味では半農半漁などという、所得というお金の形態になってないがゆえに実は課税最低限以下という方がいらっしゃる。これは実物経済でやっている以上はいわゆる市場を通っていませんので所得にならないという問題がある。そんなことがミックスしているんだろうと思っています。
 我々としても、八木先生言われたように、これからの税を考えていくときにはそこを把握できることは非常にありがたいことで、またそうしていく流れだと思うんですが、しかしながら、一人別に把握するというのは今日の体制ではまだ枠組みができていないということだろうと思っています。

会長
 どうぞ、ほかの方で御自由に、御質問、御意見ございましたら。
 どうぞ、平岩委員。

平岩委員
 よろしいですか。確定申告のこの書類のことですけれども、AとBに今回は分かれたというふうに書かれていますが、Bというのは給与所得じゃない人あてでしょうか。

課税部長
 ちょっとBはお出ししていないんですが、Bというのがいわゆる普通の申告書という意味なんです。平たく言いますと、商売をしておられる方───先生も恐らく……

平岩委員
 自由業とか……

課税部長
 だから、Aというのは給与所得で何か医療費控除なんかある方とか。公的年金受給者というのがありますですね、その方でも年金だけの方もいらっしゃいますし、若干のパート的な給与所得がある方や、それぞれ入りますね。配当があるとか。一時というのは非常に少ないんですけれども。

平岩委員
 要するに、給与所得じゃないのはBのほうだというふうに大ざっぱに。そうでもないですか。

課税部長
 給与所得とも限らないんですけれども、雑だけというのもあり得るんですけれども。非常に多い方は給与所得ないしは年金受給者の方ですね。それで確定申告される方。

会長
 この表を見ると、給与、雑、配当というふうに一応書いてありますね。

課税部長
 その雑の中の、年金受給者は計算が違いますから。別計算だから。

会長
 多分、主たる所得はどこから入っているかということを。

課税部長
 もちろん、これは主たるですから、給与と年金のある方は給与にいくら、公的年金でいくらと書いていただくわけですけれども。

平岩委員
 わかりました。

課税部長
 これで大体、2,000万のうち1,000万ぐらいをカバーできるんですね。したがって、機械対応も非常に容易になってまいりますし、何も必要のないところを見ていただく必要がないわけですから、ということで2つになったと。後のほうに別表、細かい明細を後ろに書いていただくということです。
 これは来年から使用していただくことになりますので、ちょっとその点……。

会長
 どうぞ、ほかに御自由に。

島上委員
 17ページの電子商取引専門調査チームの設置というところでちょっとお伺いしたいのですが、ここで専門チームを作られるわけですけれども、これの設置目的というのか、そういうものと、情報収集をされた後、それから次の成果というのか、それから何を狙われるのかということについてちょっとお伺いしたい。
 とりわけ、今、御承知のとおり、国際的電子商取引に対する課税問題というのは我々も非常に悩ましくて、どういう解があるのかと、非常に、正直言ってなかなかこれならばという解がない状況なんですけれども、この電子商取引の専門調査チームというのがそういう国際課税問題も含めて、何らかの国税庁としての何でしょう、解決方法というのか、方向づけというのか、そういうことまでも考えようとなさっているのかどうなのか。全般的な目的では国際的な商取引に対する何らかのこれが、このチームが切り口になるのかどうなのか、その2つをちょっとお伺いしたいんですが。

課税部長
 電子商取引というのは、何でもいいんですけれども、ホームページを開いておられても、その方が一体どこに住んでおられるのか。というのは、我々、管轄区域みたいなものがありますね。東京国税局か大阪国税局か、それもよく分かりませんですね。その方は個人なのか法人なのか。あえて言えば外国の方もいらっしゃるわけですね。そういうのが全く区別がつかないわけですね。電子商取引というのは、それだけ見ますと。したがって、従来の我々の組織というのは、国税局があり、若干、最初のほうに総務課長が説明しましたように組織がある。個人課税課か法人課税課か、これは個人、法人という意味ですから、そういう相手の属性によって一応組織が分けられているわけです。インターネットというのはなかなかよく分からない。そういうことが一義的に。したがって、このチームというのは極めて組織横断的なんです。したがって、全事務系統と───我々は事務系統と言っていますが、課税部とか調査査察部とか徴収部とかいろいろありますが、そういうのを全部集めているんです。集めてそういうチームを作っているという、趣旨はそういうことなんです。
 ですから、何をやっているかというと、一つには実態を把握していくということがありますですね。それから、先ほどの今井先生のお話がありましたように、無申告者が非常に多いんです。これ、サラリーマンでも土・日で仕事ができまして、e−メールをためておけばいいわけですから、土・日にビジネスできますから、簡単にできちゃうんですね。そういう方は無申告者が結構多いんですね。そういう情報収集をして税務調査すると。そうしないと、課税の公平が担保できませんからやっていくということです。そういう実態を踏まえて。
 それと、確かにOECDでいろいろe−コマースの検討をしております。例えば典型的な例は、デジタル・コンテンツの消費税課税問題とか。今我が国ではデジタル・コンテンツは消費税は課税になりません。不課税取引となりますから、法律上。デジタル・コンテンツ以外はe−コマースでも、先ほどの例、これはちょっと漫画チックな絵を描いていますが、あれは航空貨物ですから、税関からの引き取り時に消費税がかかりますけれども、あれですと課税していますけれども、本人も申告しているんですけれども、それは、消費税は申告しているんですが。
 一方、法人税や所得税については恒久的施設があれば課税できるわけですね。外国法人───外国人であっても我が国に恒久的施設があれば課税できるわけですが、果たしてどこまでを恒久的施設というのか。現在の法律であれば、支店があったり、建設現場があったり、工場があったりしたらいいんですが、e−コマースに関しては、ウェブサイトやサーバーみたいなものに課税できるのかどうかと。そういった議論はOECDで、今、民間の専門家及び非加盟国の代表を含めた───TAG(Technical Advisory Group:技術的諮問グループ)というんですが、やっておられます。それを主税局も国税庁も参加してやっているんですが、 ここはやや基礎的なデータといいますか、実務としてこれをそのままということではないんですけれども、各国みんないろいろな形でやっておりまして、アメリカの国税庁なんかも非常にe−コマースに対してはすごい取り組みをしておりますが、お互い情報を持ち寄ってそういう情報を共有していくと。我々はあくまで課税の公平ですから、制度論は主税局でやりますから、その情報提供といいますか、そういう位置づけではないかと思います。

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