三木顧問
 資料の8ページに書いております社会の安全問題につきまして、平成12年7月に、警察庁生活安全局長さんから、セーフティステーションの活動(地域安全活動)をやってもらえないかという御要請がございました。これは防犯、防災だけの問題ではなくて、青少年の健全育成、あるいは環境問題、我々を取り巻くいろいろな環境についてやらなければいけないということでございます。これを練り直しまして、平成15年3月に佐賀県と川崎市のまず小規模の720店で実施いたしました。なぜ佐賀県と川崎市かといいますと、非常に行政の方々が御熱心だったということがございます。その結果についてはあとで御説明いたします。それから、15年の11月から今年の1月まで、第2次トライアルを実施いたしました。これは範囲を広げまして、東京都の一部、横浜市、福岡県を追加して約4,500店で実施しました。その結果も御報告します。これから平成16年の7月から9月にわたって第3次トライアルを実施いたします。これは範囲を広げまして、関西、中京地区、北海道、それから東京都全域と、従来の横浜、川崎、佐賀、福岡に加え、約1万9,000店、つまりコンビニエンスストア部会会員社の半数が参加いたします。この様にトライアルをステップバイステップで実施いたしまして、やがては全国展開していくという考えを持っております。
 セーフティステーションの目的については、先ほど御説明申し上げましたが、ある意味で、私どもが自主的に、自発的にお客様のために、国民の皆様のために取り組む活動でございます。御承知のように、近年犯罪が非常に増えてまいりました。強盗事件のみを見てみても、平成10年代が約100件ほどでございましたが、昨年は700件と7倍に増えています。とんでもない話で、私ども自体も被害者になっております。そういう状況の中で、第1次トライアルを川崎と佐賀で実施した結果、実施前3カ月に対し、強盗事件が38%も減りました。全国では11%増えておりました。今日は、強盗事件のことを申し上げるわけではございませんが、一応そういった状況であるという御報告でございます。また、全国青少年育成会議など青少年育成団体の会議で、「コンビニは青少年にとって悪い存在である」、「地域で一番問題になっているところはコンビニエンスストアだ」等という話をいただいておりますが、これは私どもとしては大変残念なことで、まだPRが足りていないということでございます。
 第3次のトライアルの実施計画につきましては、資料の10ページに書いてございます。10ページから12ページには、各社の参加・取組状況を載せております。13ページについても、一応御覧いただければありがたいと思います。
 14ページにコンビニエンスストア・セーフティステーション活動のイメージ図がございます。この活動をもって、大きなテーマである、安心・安全なまちづくりに協力するとともに、青少年健全育成に取り組むということで、将来はコンビニエンスストアだけではなくて、他業種店も地域住民も全部一緒に活動するための先駆けになるような考えで実施しております。
 資料の17ページに、第2次トライアルの状況が出ております。今申し上げました防犯効果というものが著しく、このトライアルを実施したところでは強盗発生事件が半分以上減っているということです。それから、女性・子供の駆け込み対応、お年寄り・体の不自由な方の介護、緊急災害・犯罪発生時の通報、未成年者への酒類・たばこの販売禁止、18歳未満者への成人誌閲覧・販売禁止、青少年のたまり場化防止への対応というような案件がございまして、これについて対応いたしました。
 私どもは、未成年者飲酒、酒類販売違反事件について、会員社から自主的に提出させておりますが、平成13年が39件、14年が26件、15年が15件と、だんだん減っております。
資料の18ページ、19ページ、20ページにつきましては、東京都の青少年健全育成条例、及び各県の都道府県の青少年健全育成条例が厳しくなったことを受けて、問題があると条例に規定しているもの、例えばいかがわしいものを、7月1日からシールどめしてくようにお願いいたしました。そのシールどめされたもの、シールどめされなくても、例えば一番厳しい条例は岐阜県、例えば200ページあるとすると10分の1、20ページ以上といったところに対して、その一番厳しい条例に基づいたものを、こちらの分離陳列の方に入れておくということでございます。お酒についても今は分離陳列でございますし、表示をしておりますが、成人誌についても表示分離陳列をしようという考えでございます。
あとは御質問をいただければありがたいと思っております。ありがとうございました。以上でございます。

奥村座長
 どうもありがとうございました。
 あと数分ございますので、どうぞ。

矢島氏
 質問というわけではないのですが、感想ということで言わせていただきます。
 先ほど私が、日本チェーンストアさんに質問したことの具体的内容がここに提示されているからでございます。
 まずは4ページをあけてください。この4ページには、研修の開講に当たってということで、店舗で全従業員に受講内容の教育を徹底実施するため、店舗従業者に、未成年者販売を撲滅するためにはこうやってくださいと、きちんと書かれているわけです。だからこちらとしても、実施されているということがよく分かるわけです。
 それから14ページ。14ページにおきましては、安全・安心なまちづくり、そして青少年への健全育成への取り組みのシステムができているということがこれでよく分かるわけでございます。
 それからさらに15ページ。15ページで、実際に研修を実施した13社が、何月から何日までどこそこでやりましたよということがこれで分かるわけです。
 さらに、16ページから17ページに行きますと、未成年者への酒・たばこの販売禁止違反が、神奈川では730件、全部で1,492件事件として発生し、対処しましたということが分かります。
 そしてさらに申しますと、19ページにおいては、コンビニエンスとかスーパーマーケットでは、たとえパートの人であっても、管理が厳しく、対応のマニュアルが、いらっしゃいませから何からきちんとなされています。きちんとなされているかどうかは、「恐れ入りますが、年齢を確認できる云々かんぬん」といったようなマニュアルの指示により、実際になされているということがやはり分かるわけです。
 このようなことを私は先ほどのチェーンストアさんに聞いたわけでございます。以上でございます。

奥村座長
 ありがとうございます。
 ほかのお話、どうぞ。

本間氏
 セーフティステーションその他、数々の地域に根ざしたお取り組み、大変結構なことだと思いますが、1つ質問させていただきたいのは、青少年を別として、深夜にアルコール飲料を求めるという件数がどれくらいあるかということでございます。それは恐らく成人であるがゆえに追跡されないで済んでいるのだろうと思いますが、平成9年に深夜販売の自粛ということが掲げてあるのですが、これは青少年へのでしょうか、それは一般にということだったのでしょうか。従業員教育を徹底的にやっていらっしゃる、販売規制も守っていらっしゃるということで、この深夜販売の自粛というのはどういうことなのか、改めて教えていただきたいと思っております。

三木顧問
 やはり、深夜に働いておられる方々も多いわけでございます。そういう成人の方々の、ある意味では憩いとして、どこに行っても売っていないといけません。ただ、自動販売機と違って、当然年齢確認もできるわけでございます。と同時に、未成年者が買いに来るところについては当然防止をするということで、私どもは、24時間のニーズ、どういうお客様のニーズがあるかということと、そういう方々への憩いの場、憩いのお求めになるものに対するニーズにお応えするという考えでございます。

伊藤酒類対策プロジェクト座長
全売り上げに占める深夜販売の割合は、約2割でございます。

奥村座長
 ついでですが、加盟なさっているお店さんで、酒類の年間の売上額というのはどのくらいですか。

三木顧問
 コンビニエンスストアの売り上げは約7兆円でございます。7兆円の中で、酒類につきましては、約10%は行かず、7〜8%ぐらいの5,000億円から6,000億円ぐらいだろうと思います。

奥村座長
 そうですか、ありがとうございます。
 そのうちの2割は深夜に売られているということでしょうか。

三木顧問
 そういうことでございます。

奥村座長
 分かりました。ありがとうございました。

須磨氏
 大変様々な取り組みをされているなと思って感心していたのですが、1つ伺いたいのは、そういった青少年への対策に関する精神教育、つまり考え方を販売員に教育するだけで、全て解決するものなのだろうかという疑問を持っておりまして、例えばセーフティステーションをするに当たっての実質的な研修以外の対応策、例えば何かあったときにはここに連絡すると人が駆けつけるですとか、警察とうまく連携しているとか、そういった対策をもう既に立てていらっしゃるのでしょうか。

三木顧問
 このセーフティステーションという問題を大々的に打ち上げたというのは、同時に当然、協会及び会員社・店舗に自己責任が生ずるわけです。
 実は先週の金曜日でございますか、読売ホールに加盟店本部、約1,500人を集めまして、東京都の竹花副知事、警視庁の友渕生活安全部長、東京国税局の大谷酒類業調整官にお話をいただきました。これに来ているのは当然店主が主ですから、「従業員に対しても徹底するんですよ」ということと同時に、「幾ら打ち上げ花火を上げても実効が伴わなければ何もならず、一番大事なのは、御近所であり、第一に交番である」ということを徹底いたしました。と同時に交番だけではなくて、いろいろな防犯組織もありますし、警備会社もございますけれども、そういったところとのネットワークに関し、警察庁の深夜販売、コンビニエンスストアに対する防犯基準というものがありまして、ハードとソフト面が、大分充実してまいりましたけれども、それでもやられると。やられるというのはおかしいんですけれども、こういったものに対して、徹底的にやはりコミュニケーションをよくしなければいけません。昨秋の厚生労働省の医薬品のうち安全性に問題のないものの選定に関する検討会において、「アルバイトの販売について疑問がある」というようなお話がありましたが、今の日本国内にアルバイトを使っていない企業や、機関は皆無とお答えいたしました。アルバイトといえどもクルーの一員であり、クルーというのは、船に乗ったら船長さん、店に入ったら店長さんを中心として、クルーが各々役割分担を行い、顧客に満足を差し上げなければ店が信用されなくなり、立ち行かなくなります。
 また、強盗事件は、いわゆる累犯というのがありまして、1件やったら次から次へとはしごをやるんです。こういったところを防ぐためのネットワークをつくっていこうという考え方であります。実はまだまだ緒についたところで、立派なことを申し上げるような状況ではございませんが、従業員の教育について、例えばお酒の未成年者飲酒禁止法により両罰規定で処分された場合、免許人だけでなく、その従業員、将来ある人間に瑕疵がつくわけです。だから店主にも、将来の履歴に傷つけるようなことはしてはいけないということをくどく言っております。だから、店員が売ってしまっただなどということはとんでもない話だということで、何回も何回も、会議のたびに申し上げているのですが、思ったようにはなかなかいかないというのが実態でございます。

奥村座長
 ありがとうございました。では、次の方もございますので、これで終了させていただきます。どうもありがとうございました。
 それでは、小売酒販組合中央会の皆様方にお越しいただいておりますので、御紹介させていただきますが、会長の幸田様、副会長の井上様、そして島田部長様のお三方にお越しいただきました。
 それでは、ただいまから15分前後お話をいただきまして、あと15分前後私どもと御議論していただければありがたく思いますが、よろしゅうございますでしょうか。

幸田会長
 中央会の幸田でございます。本日は、我々をこういう会に参加させていただきまして、まことにありがとうございます。後ほど担当の副会長の方から御説明させていただきますけれども、簡単に中央会の基本的な考え方をお話しさせていただきたいと思っております。
 私たちは、免許制度の目的として、第1に酒税の保全、第2に、安全な商品の安定供給、第3に致酔性飲料としての限度販売、いわゆる限界販売があるというとらえ方をしております。自由経済社会の中であっても、致酔性飲料については、販売に対する一定のコントロールが必要であるという見解をとっております。これは、欧米社会、特にアメリカ社会はそうでありますけれども、お酒につきましては、売る側も買う側も、一定の不便性のある商品だというコンセンサスが得られております。残念ながら日本の場合はそういうことがございません。
 皆さん御案内のとおり、酒税、お酒になぜ税金が課せられたのかということですが、かつては戦費調達ということでありました、諸外国に行けばいろいろ目的はありますけれども、日本の場合は、戦前戦後戦費調達という形が多かったわけであり、これからは、その目的がどういうものに使われていくのか、現在酒税は戦費調達のためということではございませんので、先ほど言いましたとおり、一定の健康被害、あるいは飲酒運転等の防止のために酒税というものを使うといった考え方に変えていくべきであると思われます。事故が起きてからそういうものに対する酒税を使うのではなく、そういう事故とか事件とかが起きる前に、そういうものを抑止するための酒税というものが今後考えられていいのではないかと思っております。
 また、懇談会等のお話の中でも、お酒に関しての結果責任、自己責任が議題にあがるわけですけれども、もちろんそういう捉え方もある一方で、例えば飲酒運転により交通事故を起こした場合、その加害者は当然いろいろな法的処罰を受けますけれども、加害者のことではなくて、被害者がどうなるのかという問題がございます。こういったことから、お酒は結果責任、自己責任とは言い切れない物質であるということの認識もしなければいけません。また、アルコール障害を起こして、病院等に通院する費用はどういうところから出てくるのか、体を壊し、仕事に行かれない、福祉を受ける、地方財政を圧迫していく。そうなりますと、先ほど言いましとおり、結果責任、自己責任であっても、ほかの人に与える影響が大変大きい物質であるということで、御認識を|いただきたく思います。
 簡単でありますけれども、私からのお話はこれでとめさせていただきます。

井上副会長
 引き続きまして、副会長の井上でございます。今、会長より酒税の保全と、酒に関する公共的な立場のサービスに関して御説明申し上げました。具体的な面を私が説明させていただきたいと思います。
 まず、やはり未成年の飲酒等での活躍が我々の組合にとって非常に大きなウエートを占めています。我々の組合は、営利を主体としたものではございません。いわゆるボランティアといいますか、公共のものです。よく会費が高いということを言われるわけですが、会費のほとんどをそういう面に消化しているということです。
 資料にも載せておりますが、大阪の組合では、昨年度と、今年度、4月8日つまり入学の季節に、未成年の飲酒のあり方に対しての宣言式をやらせていただきました。もちろん行政当局の協力も多大なもので、警察、大阪市、大阪府、青少年環境協議会、母の守る会、こういうような会とともども、宣言式を本部でやりました後、実際に31カ所の駅前でいわゆる広告宣伝をやらせていただく等、お酒というものの致酔飲料としての位置づけをやらせていただいているのがこの組合だと思っております。もちろん先ほど言われましたように酒税の保全というものもございます。しかし我々の大きな活動の目的はそこにあるわけでございます。
 しかし、残念ながら最近、組合の加入率が非常に低くなってきているということでございます。新規免許をとった方の20%ぐらいしか加入せず、ある大手のスーパーさんになりますと、せんだっても書面において、「経理が非常に不況になったので、組合を辞めさせていただきたい」と申し渡されました。酒というものを扱った限りは、やはりそれに対する使命感が必要であると考え、そういう意味から展開しておりました。しかし、新興的な業種さんは非常に厳しい考え方を持っておられます。我々は商売という概念の中に、致酔飲料というものを大きくしていますが、残念ながら組織率が非常に低下して、さらに財政的な負担のために組合を脱退させてもらいたい会員さんが増えてきております。我々としてもやはり反省すべき点はございますが、何とかして組合加入を義務づけるような形を作っていただきたいというのが我々の要望でございます。

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