奥村座長
 ほかの点も含めていかがでしょうか。
 どうぞ。

寺沢氏
 ヒアリングの際に、フランチャイズチェーン協会の方が実際いろいろ施策を打たれて、「効果はどうですか」という質問をしたときに、「こんなトラブルが起きています」と、幾つか紹介してくれました。
 今、そういう間違って未成年に買わせてしまったとか、そういうトラブルを防ぐための方法として、そういうふうな、どういうトラブルの種類があるか、という実態が今わかってないんじゃないかと思うんですよね。それがわからないと、販売者側で怖いんですね。どういうふうに言われたらどういうふうに応えたらいいかとわからないから、問わないで買わせてしまうというケースが多分にあるだろうと。ですから、そういうケースをかなり調べて、こういうケースだったらこういうふうに説得するとか、というふうなことをすれば、かなり強い規制をしなくても防げるケースがたくさんあるだろうというふうに私思うんですね。そういう意味では、消費者の教育、それから販売店の教育、販売店のトラブル対応方法、こういうものを含めて、情報提供するという必要性は非常に今高いだろうと思います。それでだめなところは、社会的規制を考えればいいと。もうちょっと強い規制にした方がいいかなというふうなことが議論されるべきじゃないかなというような気がしますね。

奥村座長
 今おっしゃった社会的規制というのは、具体的にはどんなことですか。

寺沢氏
 法律をつくって罰するとかですね。

奥村座長
 法律によって社会的……。先ほど水谷先生がおっしゃったようなことですか。事故を起こした場合に。

寺沢氏
 そうですね。

奥村座長
 自己責任を厳しく問うと。

寺沢氏
 ですから、その前にやるべきことがまだあるのではないだろうかと。

奥村座長
 何かいろいろな考え方で、例えば学校で1日か1時間か何か性教育をやるみたいに、何か酒の教育をやったって、効果はあるものなのでしょうか。

寺沢氏
 それをやると、多くの人が、消費者にしても販売する側にしても、これは常識だなという認識が頭に入ると思うんですね。これは破ってはいけないという意識が多分に働くだろうというふうな意味で、必要ではないだろうかということですね。

奥村座長
 さっき家庭教育が大事だと水谷先生がおっしゃっていたのですけれども、何かご家庭の方はよくドラマをテレビ番組で熱烈に見ておられるらしいので、国税庁さんは一度スポンサーになってお酒の悲劇にかかわる朝のドラマをおつくりになるのが、それでも効果はあるかもしれないですね。

神崎氏
 私もそう思います。もう、私は規制はできないと思いますけれども、もしかして指導ということで協力を得られれば、テレビコマーシャルで、お酒の場合にやはりテロップでいいから、20歳になってからという、ここへ書いてあるのと同じことをですね、それはたばこもそうでしょうけれども、それを協力してもらうということも1つやってみてもいいのではないかと思います。やはり映像の影響は大きいと思います。できるかできないかは別です。

井岸氏
 自分自身が、酒販店を数百店コンビニ化した体験から申し上げたいのですけれども、先ほどの販売管理をする、対面販売をする、そこの責任者を置いたらどうかという話なのですけれども、これは要するに社会的規制とか何かをそこに期待しても、非常に無理だと思うんですね。
 お酒を売っているのに必要な知識というのは、例えばワインを売るのにソムリエみたいに専門家がいて、ああいう専門的な知識を持っていれば買いに来たお客さんにアドバイザーになれるということはあり得ますけれども、実際にはそういうケースというのは非常に少ないわけで、販売するときに何か販売管理士みたいな、以前、お酒の小売の中央会の方々がそういう必要性をおっしゃっていた時期があったかと思うのですけれど、そういうような必要性というのは余りないんじゃないかなと。
 ただ、年齢確認をしなきゃいけないとか、これは実際にもっと社会的にバックアップする必要があるんじゃないかと。例えば20歳からという字にしましても、新聞広告に出ている新しい商品の広告なんかしましても、非常に小さい字でしか20歳からみたいなことは書いてないですね。ですから、この字にしましても、表示の中でもっと大きな表示をすべきではないかなと思いますし、実際にどこがやるのかはわかりませんけれども、例えば4月1日からお酒を買うのは年齢を言わなきゃ買えません、みたいな話をきちっと全部にやってあげないと、これはスーパーだけ聞かないとか、あるいはコンビニだから聞いておどかされてしまったとか、そういう弊害が起こっちゃいますから、どこへ行っても、お酒を買うときには年齢は聞かれるものだというような、改めて社会常識というのをつくり出してもいいんだと。20歳からでいいんじゃないかなというふうに思いますが、20歳からという字をきちんと大きく書くということ、そういったことをもっと徹底すべきじゃないかなというふうに思います。

奥村座長
 つくり方の方の問題で、この大きな柱の3本、後ろの方、9ページにわたってくるのですが、9ページのところに(4)公正取引のお話が出てまいりまして、先ほどちょっとスキップをさせていただいた、先ほど公正市場問題と書いてある、それとも取引が公正かどうかという価格のことをおっしゃっていると思いますので、公正取引という言葉で統一しまして、このことと今のご議論等を少し絡めて整理して検討しておきたいのですが、こういうふうに整理しておいていいでしょうか。
 先生方からは、ぜひ、私の言い方が間違っているところをご指摘いただきたいのですが、規制緩和で自由化していって、何か乱売競争みたいなものが起きていて、お酒の値段が安くて買えると。安くて買えるので、何か若い人も含めてたくさん買っていく。なぜ乱売競争みたいになっているかというと、お酒を作っているメーカーさんの方の理由もあるし、販売店側の方の理由もあって、過去の規制緩和と値段が崩れていることが関係しているみたいだと。まず、そういう実態をご指摘いただいたわけです。
 では、これをちょっと経済学的に整理しておいて、今までのご議論と絡めるとしますと、まず第1にお酒を飲む人、消費者は酒の値段によって飲む量が変わってきます、ということが第1の前提になるのですが、そこはどうでしょうか。今、何か若い人たち、飲んじゃいかん人も飲んで、簡単に買えるから、安いからというような、何か誰かが酒を飲み過ぎているということは、まず値段が安いからだというようなことが1つ言えるかどうかがポイントですよね。仮に安かったら次のステップへ行くのですけれども。どうぞ。

←前ページへ戻る

次ページへつづく→