奥村座長
また必要に応じて、今のテーマ、議論の検討課題になると思いますが、とりあえず山下先生の方に移らせていただきまして。
山下氏
まだ実情をよく理解していないかもしれませんが、私どもがこういう法規制を考えるとき、しばらく前までは、やはりこれまで余りにもいろいろな分野で規制が強過ぎたというところから、政策的に考える際にも、基本的にはどういうふうにしてそれを緩和していくかという方向で考えて、いろいろな分野でそれは進んだのだけれども、ではそれにかわって、やはり何か抜け落ちてしまったものがないのだろうかというところがいろいろな分野で問題になって、それはどうやって埋めるかというのは、またそれぞれの分野で考えていっているかと思うのですけれども、この分野もそういう、特に社会的な規制の部分というのは、日本の社会なり人間なりが急速に変わっていっているという背景も踏まえて、従来、いろいろな、説明いただいたような法律なり制度というものを活用してそれなりに対処されてこられたと思うのですけれども、どうも、私なんか素人が見ていると、本来、この法律がこういうことをするのかなというものであるとか、こういう当局がこういうことをするのかとか、いろいろなねじれを含みながら形成されてきているので、この際、規制の目的を少しもう1回整理して、制度的にもそれを見直していくというのでしょうか、そういう観点で検討していってはどうかなと。何でも強化ということではなくて、緩和していいところは緩和すると。そのめり張りをつけるということではないかなと今のところは思っております。
奥村座長
ありがとうございました。
今、山下先生から重要なご指摘をいただきましたけれども、ほかの先生方からもご自由に検討いただきたいと思いますが、非常に幅広い酒類全体の検討を第1回目で行って、今日は、本来は小売を中心にやっていこうかというところでございますので、もし小売に関して課題がございましたら、そちらを優先してご指摘いただければありがたいと思います。
岡本氏
ちょっと質問なのですけれども、私の専門がアメリカの禁酒運動の歴史をずっとやってきたものですから、ついつい専門の方から見てしまうのですけれども、現在、日本で免許制度をとられていますけれども、小売業ですれども、最初に出てきた、小売業で免許を出す場合に、例えばアメリカの場合、非常に高額の免許取得金ですか、そういったものを払った上で、過去の歴史ですね、あったのですね。ある種、それが乱立を防ぐという一つの目的があったのですけれども、現在、日本で高額のそういう取得金というか、そういったことはほとんどなさっていないのでしょうか。要するに普通の申請する程度の手続料ぐらいでしょうかね、そういった程度のものなのでしょうか、というのを1つお尋ねしたいのですけれども。
奥村座長
いかがですか。
大柳課長補佐
まず、販売免許を取得するときには、登録免許税が課税されますが、小売販売業免許につきましては税額は3万円となっております。
また、酒税法上、営業譲渡等に基づく免許の承継はできないということになっておりまして、例えば、個人営業者が法人になるというときにも、新規免許を取得することが必要になります。平成10年までは、規制緩和がまだ進んでいなかったということもございまして、営業譲渡が行われた場合の免許付与の特例というものが存在しておりました。これは、例えば、ある酒販店がもう営業を継続するつもりがなく、誰かに営業を譲渡したいというときには、免許の承継ではありませんが、営業譲受人が新規に免許を申請した場合において、需給調整要件としての人口基準を適用しないで、譲受人の人的要件だけを審査して免許を付与するというものでした。しかし、平成10年の規制緩和計画の開始とともに、その制度は今廃止されておりますので、現在では、営業譲渡によって営業を譲り受けた者が免許申請をした場合に、免許が取得しやすいという制度はありません。確かにそのような制度が存在していた頃は、営業を買うときに例えば幾らと、かなり高額なものがあったというような話もございますけれども、今、そういうことができないということになっております。要するに、営業を譲渡するのは、商法上自由ですが、酒税法上は、それによって免許が取りやすくなるということは、今はないということでございます。
これでよろしいでしょうか。