奥村座長
 岡本先生ご承知のアメリカの場合は相当高額ということですが、今、日本では登録3万円という話が出たようですが。

岡本氏
 これは現在の話ではないのですけれども、過去の19世紀末とか20世紀初頭のことですけれども、何千ドルとか、州によって違うのですけれども、それも連邦レベルのものもあれば、前回のところに加えたのもありますけれども、州レベルの規制もありまして、いろいろとあるのですけれども、当時とすれば結構高額なもので、そして毎年更新なのですね、当時。今伺いますと、これは1回免許を取れば、要するに譲渡とかそういうことがなければ、そのままですね。なぜ、そんな質問をしたかというと、どうすればいいのかという提言をもし具体的に求められたら、どういうふうに答えようかということを実は新幹線の中でずっと考えて広島から来ましたもので、考え過ぎるぐらい時間がありまして、考えて参りました。
 それで、前回のときに、私、議事録でしょうか、ああいうところにも残っていますけれども、やはり規制緩和をすれば、殺到状態がある、それはもういろいろなところで語られていることで、いかにしてそれを防ぐかと。殺到すると、要するに過剰になりますので、過当競争になりまして、そうすると業者がつぶれるところも出てくるだろうし、それから違反、その他弊害といいましょうか、未成年として、売るかもわからないし、それから非常に法外な安い値段で売ってしまうとか、競争が激しくなれば、そういうところも出てくるだろうと。そうすると、やはり私はそういう過当競争というものを防いでいくような、何か新しいスキームというのか、そういうものをつくり出さなければいけないのではないかということで思いまして、例えば先ほど言いました新規参入する方には、そういう、ただ単にお金を出せ、というものでは済まないかもわかりませんけれども、一定の高額の何か保証金のような、担保のようなものですね、要求するようなことになれば、要するにお金が高くなれば結構やめる人も出てくるだろうし、これは先ほど酒税のところにもありましたけれども、飲酒量を減らそうと思えば、多分一番いい方法はお金を上げることだと思うのです、全体の。ちょっと話は脱線しましたけれど、結局、お金を高くすれば、それだけ競争がですね、参入してくる人たちを規制する一つの側面を持っているのかなということで、それが可能かどうかわかりません、法律上、ということでちょっとそういう質問もしてみたのですけれども。

奥村座長
 ありがとうございました。
 はい、どうぞ。

本間氏
 今のお話で思い出しましたが、アメリカは、現在でもレストランなどで酒類販売のライセンスを持っていないところはたくさんあるのですね。例えばそれは宗教上の理由でも何でもなくて、おっしゃるとおりのライセンスを買うというのが見合わないからという判断に基づくのでしょう。そうしますと、ここのストリートの角の酒屋で買って持ち込んでくれみたいなのが、チャイナタウンとか、小さなそういう民族レストランなどではたくさん成立しています。
 私も、やはりそもそも何のために規制緩和かというのは、いつでもどういう業界でも考えるわけなのですが、税収の増収を図るというものが主なものであるのか、それとも自由競争という、規制を撤廃して自由ということを表明するのか、その辺の何のための規制緩和かというのかというのはいつでもよくわからないのです。私の個人的な意見、考えとしては、やはりだれにもかれにもライセンスを渡してしまうというよりは、酒税というのがある以上、そこに貢献するようなライセンスに対してデポジットを置く、あるいは免許制を一年一年更新する、そういうふうにして、別の資金の調達というものも考えていただきたい。ただ酒を自由に売るということでなくて、別の大きな目的が果たせるような。そうすると必ずしも規制緩和にはならなくなってしまうかもしれませんけれど、そんなふうに考えます。規制緩和は何のためにあるのか、するのかということをはっきり、先ほども山下先生がおっしゃったように、一般的にわかりやすくもう一度説明していただけたら、国民も納得がいくのではないかと思うのですが。

大柳課長補佐
 政府の過去の規制緩和計画等におきましては、先ほども簡単に触れさせていただきましたけれども、そこでは、酒類販売について免許制が存在し、かつ需給調整で数等を縛っているということについて、まず消費者利便を阻害しているということがあるのではないかと指摘されております。買いたいときに遠くまで行かなくてはいけないではないか、といった点などがまずあります。また、免許制によって業者が守られているような状態があり、既存業者が自主的に近代化や構造改善をしようという意欲を失ってきている、とも指摘されております。免許の需給調整要件の存在が逆に業界に対してマイナスなのではないだろうということです。さらに、酒税が製造者を納税者として課税されており、かつ、それほど滞納等も発生していないというような状況において、流通段階まで免許制を維持するのは必要ないのではないかということも指摘されています。それから、社会的規制、警察規制、未成年者飲酒抑止という問題に対して、免許制・需給調整要件がある程度、事実上の役割を果たしているということは否めないけれども、そうしたことは別の法律、先ほど触れたような未成年者飲酒禁止法のようなものがあるのだから、そちらの方で取り締まればいいではないか、ということも指摘されております。

井岸氏
 私は、何であれ、規制というのは、その国の時代背景による社会構造なり背景で、新しく変えられて当然だと思っております。今日の、今お話がありましたように、社会的にかかっている致酔飲料であるがゆえの、いわゆるコストであるとか、未成年者飲酒の問題であるとか等々を考えますと、こういったようなことについて何らかの規制が必要であることは言うまでもないときではないかと考えています。
 また、先ほどちょっとお話が出ていましたけれども、担税物資としては極めて徴税コストがかからない、そうした物資であると思います。それから、意外と語られていませんけれども、既存の流通ルートでこれが流通した場合に、その多くの容器というものがリターナブルないしはリサイクルしています。これは数ある消費物資の中でも優等生です。かつ、この飲料は、妙な話ですけれども、生ごみが発生しません。そういった意味では、優れた商材類となっています。
 現状、これらを販売する体制として、免許制度があるわけです。免許は、この説明の中にも免許場という、場という概念があります。今日は、この場を数でもっていろいろ語られているようでありますけれども、この場に、これは私見でありますけれども、やはり人的要素を加えるべきだと考えます。あるいは、一つの場から販売される量の制限であるとか、あるいは販売時間等の、それから先ほどお話が出ました、それぞれの取扱業者のなりわいが成り立たないような張り合い、こういったようなことを排除しなければいけないと思います。こういったもろもろの販売環境の是正というようなことも、抜本的に考えてしかるべきです。そういったような中で、今、社会的にこれだけのコストがかかっているという認識をもっと国民は持つべきだし、アルコール飲料が安くて便利で、どれだけ便利に買えるのか、これが一番社会にとってハッピーなことかどうか考え直した方がいいと思います。安ければどんどん飲んでいいのか、どこでも買えるから便利だと喜んでいい場合ではないというふうに考えます。私は、そういう意味で、新しい販売免許という、そういうスタンスを今打ち出していいときが今来ているのではないかなということを感じます。

奥村座長
 ありがとうございました。
 いろいろ違った意見が出てくるのは、大変、議論を活発化する上でよろしいので、もうちょっと水谷先生にも加わっていただいて議論を進めたいのですが、45分に終わろうとしますと、なかなか時間内は難しいので、また次回の課題にさせてください。ほかの先生方は、ほかのテーマで結構でございますので。
 はい、どうぞ。

田中氏
 その規制の下の、経済的規制を緩和して、社会的規制を強めていくというのは、世界的な方向とでもあるような感じがするのですね。法律についても、事務規制と、それから国際的になじむというような報告で全体的に進められていると思うのですが、ただ、日本の実効性ということについて考えたときに、前回も寺沢委員の方からも指摘があったように、よい点は今、何も出したりせずに、ライセンスもない形でやっているわけですけれども、あと、実際問題として、皆さん大学に関係している先生方が多くて、4月になると、1年生と一緒になって飲んでいる方も多いのではないかなと思うのですけれども、大学で本格的に厳しく指導している大学というのは、実態としてはないように思うのですね。ただ、一気飲みについては、私なりにも注意して、かなり相当注意しているのですけれども。ですから、成人というのは20歳なのかですね、まず生理的な成人というのか、社会的な成人とか、今20歳になっているわけで、法的な根拠ではなくて、本当の意味での酒を飲む年齢というのをどういうふうにして決める、論理があるのでしょうか、ないのか、この辺が私もよくわからないのですけれども。こういうこともまた教えていただければと思うのですけれども、次の機会にでも。

寺沢氏
 今、田中先生がおっしゃったように、経済的規制を緩和して社会的規制をというふうな流れがあるというのに私も同感なのですけれども、ただ、社会的規制が必要以上に強くなると、どうかなというふうな気持ちが強いのですね。今、時代の流れの中で、消費者の行動をいろいろ分析してみますと、酒販店というふうに、お店全体がお酒屋というふうな場合の消費者の行動と、それから、スーパーマーケット、コンビニのような、お酒を買いに行くわけではないけれども、そこにお酒があるというふうなお店で買う消費者行動と、2つあると思うのですね。だんだん、緩和していくと、要するにお酒以外の商品を買いながらお酒を買ってくるという消費者行動がだんだんふえてくると、消費者としてはお酒か、お酒でないかということに、余り注意がいかなくなるという心配があると思うのですね。ですから、よくその商品を見ればお酒だということは書いてあるのですけれども、これは例えば清涼飲料水を買いながら、つい手を出したものがお酒だったということも最近では随分あるわけですよ。ですから、そういうものが消費者にとって自動的にすぐわかると。買い物に行ってすぐわかるような、何かそれらしい目印をつけて自分でコントロールするというふうなことも、一つは新しい制度をつくる上で考えていったらいいかなという気がしています。活字ではなくて、色で区分するとか、何かそんな必要がちょっとあるかなという気がします。

須磨氏
 同じようなことを思っていたのですけれども、例えば規制をどういう視点でやるかということなのですが、例えば人数規制とか距離規制という規制が本当に正しい規制なのかなと思いながら、ご説明を伺っていて、さまざまな先生方のお話を聞いて、やはり違うのではないかなというように思っているのですが、利便性による規制ではなくて、お酒をどのように国民に供給するかという、お酒を正常化と言うのはおかしいのかもしれませんけれども、適正に、プラスの方向に飲んでいただくための規制というものであれば、井岸さんの新しい体系の人的規制という法につながると思うのですね。今のお話の、さまざまな商品の中にお酒があって、パッケージ的にお酒っぽくないものが確かに出ていて、そういうものを若者が喜んで飲んでいる。それであれば、お店を出すに当たっての規制は、このような仕組みでお酒を供給するという、お約束事のような規制がこれからありではないかと。それがやはり社会的体系を、新しい体系をお酒の中でつくっていくのではないかというふうに今感じています。

奥村座長
 ありがとうございました。
 水谷先生には、また次回お願いすることにいたしまして。時間がなくて、本当に申しわけございません。
 あと、追加の方は何かございませんですか。よろしいですか。
 では、次回は、今もご議論いただいている消費者との接点で、実際にどういうふうにお酒が売られているか、取り扱われているかということを、全国小売酒販組合の方、フランチャイズチェーン協会の方、日本チェーンストア協会の方、それぞれ現場の状況をお教えいただいてご議論いただくということにしたいと思います。2月6日午後3時30分から予定されておりますので、よろしくお願いいたします。なお、第4回目は2月19日午後3時30分からということで、こちらは公正取引委員会とか警察の方とか、厚生労働省の方の方からお話を伺うという予定でおります。
 では、本日はこれで終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

  ―― 了 ――

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