酒税企画官
 それでは、以下12ページから私の方から説明させていただきます。
 12ページの未成年者飲酒防止に向けた取組でございますが、取締や免許等の規制と指導というくくりで大まかに区分してみました。
 上欄の取締等ですが、まず未成年者飲酒防止のための取締ということになりますと、警察庁所管の未成年者飲酒禁止法と風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律があります。未飲法では、酒販店や料飲店は未成年者が飲むことを知って酒類を販売したり、酒類を提供したりしてはならないというふうに規定しています。また、風適法においても、未成年者に酒類を提供してはならないと規定しています。他方、財務省所管の法律として酒税法があるわけですが、これは先ほど説明したとおりです。また、酒類業組合法の規定を受け、当庁では酒類の自動販売機に対する未成年者の飲酒は、法律で禁止されているという旨の表示義務や酒類の容器にも同じような表示義務を定めて告示しております。
 次に、下の欄の指導についてですが、未成年者飲酒防止に関しては、関係行政庁、業界、地域社会が協力して取り組んでいかなければならない課題だと考えておりまして、昨年8月に関係省庁において、未成年者の飲酒防止等対策に関する施策大綱を決定しまして、総合的に取り組んでいるところでございます。こうしたことを受けまして酒類業界においては、酒類自動販売機の撤去や広告宣伝に関する実施基準を策定するなど、積極的に取り組んでおります。
 次のページを開いていただきたいんですが、平成6年10月に中央酒類審議会から、対面販売の趣旨の徹底が困難な現行の屋外設置の酒類自動販売機は撤去の方向で検討がなされるべきであり、未成年者のアクセス防止が可能となる場合には、それは設置が認められるべきとの内容の報告を頂戴いたしました。この報告を踏まえまして、酒類小売業者の全国組織である全国小売酒販組合中央会では、平成7年5月に現行の酒類自動販売機を平成12年5月を期限として撤廃する、そういう決議を行いました。また、当庁におきましてもこうした取り組みを支援するため、取扱指針を発出して、従来型機の撤廃、年齢確認ができる改良型機への切り替えを指導してきました。こうした取り組みの結果、小売中央会の撤廃決議後の平成8年3月末には18万6,000台あった従来型機が、本年3月末日現在では全国で約8万台にまで減少し、一方運転免許証やIDカードで購入者の年齢確認のできる改良型機が約1万台設置されまして、あわせて9万台の設置となっています。
 なお、酒類の自動販売機への取組は、飲酒運転の問題にも配慮したものとなっておりますが、参考資料の2の14ページ、真ん中ぐらいのところですが、2−9という資料がございます。交通違反取締件数の推移というのがありますけれども、これによりますと、酒酔いあるいは酒気帯びで検挙された件数は、あわせて25万件余りということで、大変多数にのぼっております。
 次は、説明資料の14、15をちょっと飛ばしまして、これは先ほど説明したことをまとめてあるものですので、16ページを開いていただきたいと思います。
 現在酒類の価格につきましては、自由に設定できるものでありますけれども、当庁としては、酒類が我が国の重要な財政物資であり、アルコール飲料としての特性を有する商品であるということから、国民の健全な消費生活及び酒類業者の健全性の確保という両面の要請に沿う、合理的かつ妥当なものであることが望ましいというふうに考えております。しかしながら、このグラフを見ていただければわかると思いますが、ビールや発泡酒につきましては、メーカーの希望小売価格の20数%引きで販売されているというふうに、大変激しい価格競争が行われていることがおわかりいただけるかと思います。
 公正競争に関しましては、公正取引委員会が独占禁止法や昨年11月及び本年4月に出しました酒類ガイドラインに基づきまして、不当廉売等の調査を行い、注意や警告をしていること、それからその件数が増大していることについては、皆様ご存じのとおりかと思います。当庁においても平成10年4月に、公正な競争による健全な酒類産業の発展のための指針というものを公表しまして、すべての酒類業者が尊重すべき酒類の取引に関する公正なルールについての国税庁の考え方を示し、健全な経営を指導する観点から酒類の取引状況等の実態調査を実施しています。
 右の方にありますけれども、その取引の一部ではありますが、総販売原価割れという取引がある者がほとんどになっています。また、平成12年7月からは当庁の職員を公正取引委員会の本局あるいは地方事務局へ5名派遣しまして、また各国税局においては、酒類業者に対する酒類ガイドラインの周知のための説明会の開催を企画したり、収集したチラシ等の情報提供を行うなど、公正な取引環境の整備に連携して取り組んでいるところでございます。
 17ページは、先ほども説明がありました酒類産業行政施策のフレームワークでございます。財務省設置法には国税庁の任務として、内国税の適正かつ公平な賦課及び徴収の実現を図ることのほか、酒類業の健全な発達の確保を図ることが掲げられまして、酒税の保全及び酒類産業行政は酒税課が担うこととされています。資料は一瞥して産業行政にポイントが置かれているなということがおわかりいただけるかと思います。
資料に掲げてありますこの8つの項目は、いずれも酒類業の健全な発達のための重要な産業行政施策であると考えていますが、酒税の保全のためのもの、あるいは酒税の保全につながるものでもあります。法律の趣旨や規定ぶりなどから、このような位置取りとしております。
次に、18ページは近年における酒類業者に対する助成措置体系についてまとめたものでございます。
上段は、中小企業庁を中心として取り組んできている中小企業施策でございます。これまでは酒類業界においても、中小企業近代化促進法という法律に基づきまして、各業界の近代化・構造改善事業に取り組んできました。清酒製造業につきましては、昭和38年から5次にわたって、また平成7年度からは初めて酒類小売業が近代化・構造改善事業に取り組みました。近代化促進法は中小企業経営革新支援法の施行に伴い廃止されましたが、経過規定により平成15年3月までは、焼酎乙類製造業が構造改善事業に取り組んでいるところでございます。平成11年7月からは近促法に代わり経営革新支援法に基づいて支援措置が講じられています。昨年12月には業界の要望を受けて清酒製造業が同法の特定業種に政令指定され、本年10月には、日本酒造組合中央会が作成しました平成17年度までの5年間にわたる経営基盤強化計画が承認されたところでございます。また、酒類卸売業についても業界の要望を受け、指定が受けられるよう働きかけを行っているところでございます。
下の段は、清酒製造業等安定法に基づく助成措置でございます。日本酒造組合中央会は、酒類業組合法の規定によりまして設立されました全国団体で、清酒あるいはしょうちゅう乙類のメーカー等が構成員となっています。清酒、しょうちゅう乙類製造業につきましては、数次にわたる酒税増税の影響緩和のために、両業種の近代化、経営の安定化等に資する基金とするための補助金だとか、貸付金などが措置されておりまして、業界においてはこれを活用して、信用保証事業あるいは近代化事業、転廃給付金事業、今これはやっておりませんが、過去にやっております。振興対策事業などに取り組んできているところでございます。
次の19ページでございますが、近代化促進法関係につきましては、前ページで説明したとおりです。
酒類業界を取り巻く厳しい環境の中で、中小の酒類販売業者が健全な企業経営を行っていくためには、社会経済の変化に適応した経営の活性化のための取組が不可欠だと考えております。このため全国の税務署や国税局においては、個々の事業者や組合等による経営の活性化のための取組に対し、当庁が外部に委託して作成しましたアクションプランやチェックシートなどを使って、中小企業診断士など専門家を講師とする研修会を開催するほか、各種の中小企業施策やリーディングケースなどの情報提供や助言を行うなどの支援に努めております。
また、個別企業やグループの経営革新支援法に基づく経営革新計画の作成支援も行ってきておりまして、経営革新計画の承認はこれまで全業種で約5,000件余りにのぼっているわけですけれども、このうち私どもが把握しているところでは、酒類業では70件余りというふうになっております。
次のページは、清酒製造業の経営基盤強化計画です。昨年12月に経営革新支援法の特定業種に清酒製造業が指定されまして、日本酒造組合中央会が自主的に策定した経営基盤強化計画が10月に承認されました。この経営基盤強化計画の柱は、そこにありますように5つの柱になっております。当庁としましては、清酒製造業界がこの計画にしっかり取り組むことにより、清酒製造業の経営基盤の強化が図られ、個々の企業の将来の経営革新に寄与することを強く期待しておりまして、今後とも積極的に支援していくこととしているところです。
最後のページは、酒類行政の組織機構図でございます。財務省設置法により国税庁、国税局、税務署、それに独立行政法人酒類総合研究所を通じまして、酒類業の健全な発達あるいは酒税の保全に取り組んでいるところでございます。
以上でございます。

大柳課長補佐
 最後に、14ページの販売規制についての国際比較について一言だけ説明させていただきたいと思います。これは、日米英の国際比較表ですが、外国制度の特徴をかい摘んで説明しますと、酒類販売についてはいずれの国も免許制度を採用していますが、外国においては、免許の目的が日本と異なり、警察目的であるところが多いということがまず上げられます。それから、酒類の性格をドラッグであると捉えるのが一般的で、規制の程度についても警察目的の見地からかなり厳しい規制が行われているということも挙げられます。また、日本におきましては、先ほどから申し上げますとおり、料飲店については別の法体系のもとで整理されておりますが、外国においては小売、飲食店両方についてほぼ同一の制度のもとで取り扱いがなされている。それから、酒税保全を直接の目的として酒類販売について免許制度を採用しているところはない、ということがあろうかと思います。
 これらの点が日本と外国との主要な相違点だろうと思います。あとはご覧いただければと思います。

座長
 ありがとうございました。
 大変詳しい、よい資料で全貌をまずデザイン、デッサンしていただいたと思いますが、きょうは3時30分までお時間をいただいているようでございますので、あと20分ちょっとで、しかし第1回目なものですから、先生方には全員に一言ずつお願いしたいと思いますので、平均2、3分しかありませんけれども、大変申しわけございませんが、よろしくご配慮ください。
 それで、田中先生から最初お願いいたします。

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