酒税課長
 それでは、酒類行政をめぐる当面の諸問題につきまして御説明をいたします。
 1ページめくっていただきますと、資料1、資料2、資料3、資料4、資料5、参考という目次がございます。それに従いまして御説明をさせていただきます。
 それでは、酒類小売業免許の規制緩和の状況に関しまして、まず資料1に沿って御説明いたします。
 もはや、皆様方、既に御承知でございますが、酒類小売業免許の規制緩和につきましては、平成10年3月に閣議決定をされました規制緩和推進3か年計画におきまして、一般酒類小売業免許の人口基準は平成10年9月から段階的な緩和を行い、平成15年9月1日をもって廃止し、同じく距離基準は平成12年9月をもって廃止することとされ、その後、平成11年3月、平成12年3月の規制緩和推進3か年計画におきましても同様の内容が盛り込まれ、現在に至っているわけでございます。しかし、平成13年8月30日に規制緩和を円滑に進める上での環境整備を図るとして、政府として追加の閣議決定が行われ、平成12年9月1日から実施することとされておりました需給調整規制の緩和措置、距離基準の廃止と人口基準の緩和でございますが、これは4カ月延長されるということになったわけでございまして、平成12免許年度は平成13年1月1日から平成13年8月31日までの8カ月間で実施をされたわけでございます。なお、平成13免許年度につきましては、従来どおり平成13年9月1日から実施をしていたところでございます。
 また、先ほど申しましたこの環境整備の一環といたしまして、昨年12月、未成年者飲酒禁止法の罰則が強化され、あわせて酒税法が改正され、免許取消事由といたしまして、未成年者飲酒禁止法違反で酒類販売業者が罰金刑に処された場合ということが追加をされたわけでございます。これらは昨年12月31日から施行されているわけでございますが、当分の間、取消処分の運用につきましては、国税庁に各税務署から上申をさせて判断をするということにいたしておりまして、そのための用意はしておるわけなのでございますけれども、現在までのところ、取り消し要因に該当するものがございません。
 次に、資料の2でございます。酒類販売における未成年者飲酒防止につきまして、資料に沿って御説明をいたします。
 酒類は、致酔性、依存性というアルコール飲料としての特性を有しておりまして、国税庁といたしましては、酒類業者の方々は未成年者の飲酒防止等に配慮した販売活動を行い、社会的な責任を果たしていく必要があるのではないかという考えのもと、従来から酒類業界に対しまして各般の指導を行ってきたところでございます。また、資料2−1にございますとおり、昨年8月に酒類に係る社会的規制等関係省庁等連絡協議会におきまして、未成年者の飲酒防止等対策及び酒類販売の公正な取引環境の整備に関する施策大綱が決定されたことを踏まえまして、関係省庁と連絡しつつ、その施策の実施を図っているところでございます。このように、国税庁としては未成年者飲酒防止に関する各種の取組を実施してまいりましたが、主な取組につきましては五つの項目に分類をいたしまして説明しているところでございます。
 まず、第1点は酒類の自動販売機に関する取組でございます。これにつきましては、資料2−2をご覧ください。
 酒類自動販売機の設置につきましては、平成6年10月に中央酒類審議会の「アルコール飲料としての酒類の販売等の在り方について(中間報告)」におきまして、対面販売の趣旨の徹底が困難な現行の屋外酒類自動販売機は撤去の方向で検討がなされるべきであり、酒類自動販売機に技術的改良がなされ、未成年者のアクセス防止が可能となる場合には設置が認められるべき、との内容の報告をいただいているところでございます。この報告を踏まえまして、全国小売業者の組織でございます全国小売酒販組合中央会では、平成7年5月に現行の自動販売機を平成12年5月を期限として撤廃する旨の決議を行ったものでございます。本席にも幸田会長がいらっしゃいますが、そのようになったわけでございます。また、国税庁といたしましてもこの取組を支援するために、平成7年7月に「酒類自動販売機に係る取扱指針」を発出いたしまして、従来型の酒類自動販売機の撤廃、年齢確認ができる改良型自動販売機への切りかえを指導してまいったところでございます。
 こうした取組の結果、平成7年5月の決議当時に約18万6,000台ございました従来型の酒類自動販売機は、当庁の調査によると、本年4月1日現在で約8万台にまで減少し、このほかに改良型機への切りかえが約1万台にまで進んでございます。したがいまして、自動販売機は全体で9万台、うち1万台が改良型というところまで進んだわけでございます。
 続きまして、酒類の対面販売に関する取組につきまして御説明いたします。資料2−3をご覧ください。
 冒頭申し上げたとおり、酒類には致酔性、依存性のほか、発育途上の未成年者の心身に対する悪影響の特性がございますので、未成年者保護、健全育成の観点から酒類の販売におきましては、酒類の特性をよく理解している方が購入者を確認した上で販売を行う、いわゆる対面販売を行うことが望ましく、その趣旨の徹底を図るため、昨年12月に酒類関係の小売業界6団体に対しまして、警察庁及び厚生省と共同で未成年と思われる者に対する年齢確認の徹底をはじめとする7項目の未成年者飲酒防止のための施策を示して、その取組の推進について要請をいたしたところでございます。それが資料2−3に書いてあるところでございます。
 次に、酒類容器等への注意表示につきまして御説明をさせていただきます。
 酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律におきましては、未成年者の飲酒防止に関する事項の表示につきまして、酒類製造者及び販売業者が遵守すべき基準を定めることができ、また、その際には国税審議会に諮問すること、とされております。この規定を受けまして、平成元年11月に未成年者の飲酒防止に関する表示基準を定め、まず第一に酒類の自動販売機には、未成年者の飲酒は法律で禁止されている旨の表示を、次に酒類の容器または包装には「未成年者の飲酒は法律で禁止されています」、あるいは「お酒は二十歳になってから」等の事項の表示を義務づけ、未成年者飲酒の防止を図っているところでございます。
 次に、4点目の啓発活動でございますが、これにつきましては資料2−5をご覧ください。
 ポスターが1枚入ってございますが、資料2−1でも出ました酒類に係る社会的規制等関係省庁等連絡協議会におきまして、平成12年12月を未成年者飲酒防止強調月間に決定いたしました。そのため、このような広報ポスターを作成いたしまして、全国的な広報啓発活動も実施したところでございます。
 なお、未成年者飲酒防止強調月間は、本年以降は未成年の方が学校に上がる時期を見まして毎年4月に実施をすることにいたしましたが、来年の4月におきましても同様の取組を実施すべく準備を進めているところでございます。
 最後に、5点目の広告・宣伝につきまして御説明をさせていただきます。資料2−6をご覧ください。
 新聞、雑誌、テレビ、ラジオ等におけます広告・宣伝が、未成年者等に与える影響が極めて大きいということにかんがみまして、酒類業界におかれましては、広告・宣伝に関しまして、(1)新聞、テレビなどの広告・宣伝には、「お酒は二十歳になってから」などの注意表示を使用する、(2)といたしまして、未成年者を対象にした雑誌やテレビ番組またはその前後で広告を自粛する、(3)未成年者は広告のメインモデルにしない、(4)未成年者向け商品のためにつくられたキャラクターは使用しない、(5)月曜から金曜の午前5時から午後6時までの間及び土曜・日曜・祝祭日の午前5時から昼の12時まではテレビ広告を行わない、などの自主基準を設定して実施をしていただいているところでございます。
 以上、5項目に分けまして御説明いたしましたが、いずれにいたしましても業界と行政が連携をして各種の施策を実施してきているところでございます。
 その一方で、未成年者飲酒防止に一層資するために、平成12年12月には、先ほど申しましたけれども未成年者飲酒禁止法及び酒税法が議員立法により改正され、未成年者が飲用に供することを知って酒類を販売した場合の罰則が、従前の科料から50万円以下の罰金に引き上げられるとともに、酒類の販売業免許の取消事由に係る罰金の刑に処せられた場合が追加されてございます。その後、販売する側の責任がこのように重くなる一方で、法律上の根拠がないために酒類を購入しようとする者に対しまして運転免許証などの提示を求めることなど、年齢確認その他の必要な措置が円滑に実施できないという御意見が酒類販売業者から出されていたわけでございます。例えば、身分証明書を見せてくださいというふうに言われたときに見せない、と。それは一体どういう法律の根拠があってそういうことを要求するのだというふうにすごまれるとか、あるいは時々は暴力を受けるなどの行為があって、何らかの身分証明書等の提示を求める背景となる規定をつくってほしいという、そういう御意見が販売業者から出されているのを受けまして、資料2−7のとおり、今般、議員立法によりまして未成年者飲酒禁止法に、「営業者ニシテ其ノ業態上酒類ヲ販売又ハ供与スル者ハ満二十年ニ至ラザル者ノ飲酒ノ防止ニ資スル為年齢ノ確認其ノ他ノ必要ナル措置ヲ講ズルモノトス」という1項を追加する一部改正法案が本年秋の臨時国会に提出されまして、12月5日に可決成立し、一昨日の12日に公布、即日施行されたところでございます。国税庁といたしましては、今後とも関係省庁と連携しつつ、この改正内容等を踏まえ、酒類業者の方々に対して周知啓発をしていくと同時に、引き続き各種の施策を講じてまいりたいと考えているところでございます。
 次に、酒類の公正な取引環境の整備に関しまして、資料3に従いまして御説明いたします。
 酒類の販売価格は昭和39年にさかのぼって、いわゆる基準販売価格が完全に廃止されて以来、自由価格でございます。基本的には個々の企業の価格決定に国税庁は介入をしないこと、としてございますが、しかし、我が国の重要な財政物質である酒類が、アルコール飲料としての特性を有している特殊な商品であるということから、酒類の価格は国民の健全な消費生活及び酒類業者の経営の健全性の確保の両面に沿う合理的かつ妥当なものであることが望ましいというふうに考えているところでございます。しかしながら、酒類取引の現状におきましては、販売数量の拡大、いわゆるシェア争いを求めるだけの競争、あるいは特定の商品を取り扱うことを条件として過大な利益を強要する、または大きな販売力を背景に相手方に不当な利益を一方的に強いるなど、必ずしも健全な取引環境が確保されているとは言いがたい状況が散見され、特に不透明なリベートでございますとか、あるいは不公正、不公平な取扱だとかということが指摘されているところでございます。
 平成9年6月に出されました中央酒類審議会報告におきまして、中小事業者に不当に不利益を与える不公正な取引に対して、厳正、迅速に対処する等、公正な競争秩序の確保を図るべきであるとされたことを踏まえまして、公正取引委員会等の協議を経まして、資料3−1に書いてございますとおり、平成10年4月に「公正な競争による健全な酒類産業の発展のための指針」を公表いたしまして、すべての酒類業者が尊重すべき酒類の取引に関する公正なルールについて国税庁の考え方を示したところでございます。
 この指針の発出以降、酒類業組合の会合等、あらゆる機会を通じまして積極的に周知啓発を図るとともに、従来から個々の事業者の方々が公正なルールにのっとった取引を行っているかどうかを確認するために実施してございます取引実態調査につきまして、一層の事務量を確保するとともに、調査におきまして、この指針に示された公正なルールに沿っているとは言いがたい取引が認められた場合には、その不合理さを指摘しまして、合理的な取引が確保されるよう積極的に指導を行っているところでございます。その調査結果につきましても、どのような問題点が見られたかを広く周知いたしまして、改めて酒類業者の方々に公正な取引の改善に向けた努力を促す観点から、その調査結果の概要を公表しているところでございます。また、調査件数は、平成12年7月から13年6月の1年間をとりますと、1,374件実施いたしてございます。今後とも引き続きこの調査を拡充してまいりたいというふうに思うところでございます。
 一方、昨年8月の酒類に係る社会的規制等関係省庁等連絡協議会におきまして、未成年者の飲酒防止等対策及び酒類販売の公正な取引環境整備に関する施策大綱が決定されたということは先ほど申し上げましたけれども、その中に、酒類に係る不当廉売事案などの不公正取引の対応が強化されたことを受けまして、公正取引委員会は昨年11月に、いわゆる酒類ガイドラインと呼ばれている酒類の流通における不当廉売、差別対価等への対応についても発出し、本年4月には追加のガイドラインでございます酒類の不当廉売に関する考え方の明確化についてを相次いで発出いたしたところでございます。それぞれのガイドラインにつきましては、資料3−2及び資料3−3のとおりでございます。
 また、本年3月には、埼玉県春日部市内の2社及び北海道札幌市内の6社の計8社に対しまして、酒類業者といたしましては平成5年以来8年ぶりに公正取引委員会から警告が発せられ、続いて7月にも姫路市内の1社に対して警告が発せられたところであります。
 一方、国税庁といたしましては、平成12年7月から公正取引委員会の地方事務所に職員を派遣いたしまして、そのほかにも必要に応じて短期的な派遣を行い、公正取引委員会の業務を補助しているところでございます。第2に、酒類ガイドラインにつきましては公正取引委員会と協力いたしまして、全国65カ所におきまして説明会を実施いたしまして、周知、指導を行ったところでございます。また、各国税局と公正取引委員会の各地方事務所におきまして連絡担当者を相互に決定いたしまして、窓口の緊密化、相互の連絡体制の強化等を図っているところでございます。特に、公正取引委員会は情報の収集能力につきまして国税庁の協力を得たいというふうに言っているところでございますので、その点につきまして可能な限り協力をしていく方針でございます。
 こうした、さまざまな酒類の取引におけます公正取引への対応策を受けまして、酒類業界といたしましては各酒類業団体におきましてリベート等に係ります合理的な理由に基づく社内基準を整備し、及びこれを遵守することにつきましての基本的な考え方というものを策定いたしまして、これを公表するなどの取組を進めているところでございます。現在、酒類業界は「公正な取引環境整備のラストチャンス」という言葉を皆さんで合い言葉にされまして、真摯に取り組んでいく機運が高まっているところでございます。国税庁といたしましても引き続き取組を進めてまいりたいと思います。
 次に、資料4でございますが、中小酒類業者の活性化及び経営革新について御説明をさせていただきます。まず、資料4の1ページをご覧ください。
 酒類業界を取り巻く厳しい状況の中で、中小の酒類販売業者が健全な企業経営を行っていくためには、社会経済の変化に適応した経営の活性化のための取組が不可欠でございます。このため、日ごろから中小の酒類業者に接しております全国の税務署及び国税局におきましては、個々の事業者や組合等による経営の活性化のための取組に対しまして、中小企業診断士のような専門家の方々を講師とする研修会を開催し、さらに各種中小企業施策等の情報提供や助言を行うなど、支援に努めているところでございます。また、国税庁におきましても、中小酒類業者がその活性化に向けて取り組むべき具体策、私どもこれはアクションプランと呼んでございますが、あるいは酒販店の経営者が自店の経営内容を改めて確認するための自己診断チェックシート、あるいは過去の経営革新計画の事例でございますとか、活性化に成功した事例、いわゆるリーディング・ケースの取りまとめをいたしまして、酒類業者に提供しております。さらに現在、やはり中小業者の一番の問題は、情報化・IT化への対応がなされていないというところでございますので、商品データベースの構築でございますとか、POSレジシステム等の幅広い共通ソフトの開発支援を行っているところでございます。
 次の2ページ目に書いてございますのは、平成11年7月に施行されました中小企業経営革新支援法のスキームでございます。
 このスキームにつきましては、実は昨年、この場で私、御説明をさせていただいたのでございますが、今般、新しく申し上げるのは、昨年12月13日に清酒製造業、電気めっき業、船舶製造・修理業の3業種が特定業種として政令指定されたわけでございます。この特定業種に属する組合等は、指定後1年以内に経営基盤強化計画を策定し、主務大臣に計画の承認申請を行う必要があるわけでございますが、清酒製造業につきましては日本酒造組合中央会が本年度から平成17年度までの5年間にわたります経営基盤強化計画を作成し、承認申請を行ってまいりましたので、この10月12日付で財務大臣及び経済産業大臣の連名でその承認をしたところでございます。
 本席にも八木委員がいらっしゃいますけれども、同中央会の基盤強化計画の柱は、清酒の需要拡大。この清酒の需要拡大というのは、綿密なマーケットセグメントを行って需要が拡大されるべきと認められるような新しい商品を開発するということでございますが、それから経営者・従業員・技術者研修の充実、情報インフラの整備、高コスト構造の是正、リサイクル用中小容器規格統一びんの開発の五つでございますが、当初におきましては清酒製造業の方々がこの計画に真摯に取り組むことによりまして経営基盤の強化が図られまして、個々のメーカーの将来の経営革新に寄与することを強く期待しておりまして、今後とも支援を行っていくところでございます。なお、今般、酒類卸売業につきましても特定業種に政令指定されるよう要望が出ているところでございまして、これにつきましても進めてまいりたいと考えているところでございます。また、個々の事業者及びグループによります経営革新計画の承認につきましても、これまで酒類業関係で70件余りが承認をされておるところでございます。
 今後とも、中小企業診断士等の専門家の派遣による研修会の開催やリーディング・ケースなどの情報の提供など、先ほど申したとおり中小酒類業者の経営の活性化、経営革新に向けた取組への支援を行ってまいりたいというふうに思うところであります。
 なお、酒類販売業に関しましては、致酔性を有する酒類の未成年者対策を含めた販売管理に対しまして社会的な要請が高まっているところでございます。さらに、酒類小売業免許の数次の規制緩和措置などによりまして、取引環境に変化が生じてきているところでございます。こうした状況を踏まえまして、今後の酒類販売業等のあり方につきまして、各界有識者の方々から幅広く御意見を伺い、今後の施策の検討に反映させるために審議官主催の懇談会を開催する予定でございます。
 テーマは、今後の酒類販売業等のあり方でございまして、具体的にはおおむね酒類の販売に関する社会的な規制のあり方、先ほど規制緩和について御説明いたしましたが、規制緩和後の酒類販売業免許のあり方、酒類業の健全な発達のための取組につきまして意見交換等を行う予定でございます。メンバーは学界の方々、業界事情精通者、消費者代表等の方々を募りまして、来週にも第1回目の会合を開催する予定であることを御報告させていただきます。
 次に、独立行政法人酒類総合研究所の業務に関しまして、資料5に沿って御説明をさせていただきます。
 独立行政法人酒類総合研究所は、国税庁の研究機関として設置されてございました醸造研究所が今年の4月1日から独立行政法人として新たにスタートしたものでございます。同研究所は、独立行政法人化後におきましても、酒類行政、酒税行政において国税庁とともに重要な役割を担っていくとされておりますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。
 資料6に酒類総合研究所が作成いたしましたパンフレットがございます。このパンフレットをお開きいただきたいと思います。
 左側のページに沿革がございます。醸造試験所が設立されましたのは実は明治37年でございますが、専ら経験に基づく清酒の醸造が行われまして、清酒の醸造過程における腐敗などが発生しましたことから、醸造技術を科学的に研究いたしまして清酒醸造の改良、清酒の腐敗を防止するなどの目的で、現在の酒類総合研究所の東京事務所がございます北区滝野川に醸造研究所が設置されたわけであります。翌38年には醸造講習を開始いたしまして、いわゆる醸造技術の普及を開始いたしました。また、明治44年には、第1回の全国新酒鑑評会を開始したところであります。これらの講習あるいは鑑評会は、現在も酒類総合研究所に引き継がれ、実施されることになります。その後、社会情勢等の変化によりまして、業務の改廃、あるいは機構の変更が行われたわけでございますけれども、本年4月に独立行政法人酒類総合研究所法に基づきまして、現在の酒類総合研究所が設立されたわけでございます。
 現在の酒類総合研究所の役割でございますが、パンフレット左上の「役割」というところの記載にありますように、酒税の適正かつ公平な賦課の実現、酒類業の健全な発達及び酒類に対する国民の認識を高めることの三つでございます。従前、私どもが一番念頭に置いておりましたのは、酒税の適正かつ公平な賦課の実現ということでございますのでしょうけれど、最近ではそれに加えまして、酒類業の健全な発達及び国民の認識を高めること、という二つの項目も、重要な役割として加わっているところでございます。
 このパンフレットの見開きを開いていただきますと、主要業務の記載がございます。
 今の三つの役割を達成するために、さまざまな業務を行っていくわけでございますが、例えば原料から製品に至るまでの一貫した研究、あるいは鑑評会の実施、醸造講習の実施など、それから消費者向け教養講座の開催や流通業者に対する講習、あるいはさまざまな教養講座を各地で行うこと等々をいたしているところでございます。具体的には、来る12月20・21日に、清酒をテーマとして、つくり方、表示、きき方、保存方法などを内容とする教養講座を滝野川の東京事務所において開催することにいたしてございますし、また、流通の方々に対します講習については来年の2月13日に名古屋国税局の管内で、さらに大阪国税局の管内でも開催を予定しているところでございます。
 大変雑駁になりまして申しわけございませんでした。以上で私の説明を終了させていただきます。

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