分科会長
ありがとうございました。
以上、事務局からのいろいろな酒類行政をめぐる諸問題についての御報告、これにつきまして何か御質問、御意見あるいは御助言等ございましたら、どうぞ御自由にひとつお願いをいたします。どうぞ。
立石委員
まず、会の運営の仕方ですけれども、予定ですと4時半ですよね。あと、7、8分しかございませんよね。これでは審議会ではなくて国税庁のお話を聞く会になりますね。そこはもう少し検討していただきたいなと思います。
分科会長
はい。以後、運営で気をつけます。
立石委員
それで具体的な質問ですけれど、資料2−2の4ページ、自販機についてですけれども、これは(1)の「……現行酒類の屋外自動販売機は平成12年5月を期限として撤廃する」というふうになっておりますけれど、この現行酒類の屋外自動販売機の中には改良型は含まれていないと、こういうふうに理解すればよろしいのですか。
酒税課長
そう解釈を、改良型は含まれておりません。
立石委員
改良型というのは具体的にはどういうのを改良型というのですか。
酒税課長
身分証明書あるいは運転免許証等で購入する場合に、本人確認ができる方の改良型の自動販売機というふうにされております。
立石委員
それは身分証明書とか、あるいは運転免許証を差し込むような装置になっているわけですか。
酒税課長
はい、御指摘のとおりであります。
立石委員
それで年齢を確かめる、と。それが20歳以上でなければ売れないということですね。
酒税課長
そうです。
立石委員
それはわかりました。
もう一つ、この5ページ目の資料によりますと、従来型の残存率というのは非常に高いわけですね。ということは、平成12年5月を期限として撤廃するということは、約束は守られなかったと、こういうことでしょうか。
酒税課長
約束と申しましょうか、当時の中央会は撤廃をするという決定をしたわけでございます。それに向けまして努力をされたわけであろうと思いますけれども、実質上、実は従来型の自動販売機が特に極めて零細な酒の小売業の方々の大きな収入源になっておったという事実が、反面ございます。それによりまして、残存率は漸減しておりますけれども、確かにこのような状況にあるということは事実でございます。
立石委員
しかし、小売中央会が撤廃することを宣言したというか決定したということは、それは社会に対する約束事ですよね。その中には、その地域上に小さなお店がたくさんあって、なおかつ、そのお店が自動販売機に頼っている面がたくさんあるのだということは、それは自明の理でありまして、その自明の理を含めてなおかつ撤廃するということを約束されたわけですね。それが実現できなかったということに対しては、国税庁として何らかのアクションはされたのですか。
酒税課長
ここは私どもといたしましては、やはり自動販売機そのものが中小の方々に対しましてかなり大きな収入源となっていることは事実でありますから、未成年者飲酒防止を図ると同時に、経営を安定させるためには、恐らくは従来型機を撤廃をいたすと同時に、本人確認ができる新しい自動販売機を導入していくことが産業政策として一番重要と申しましょうか、可能な道かなというふうに考えているところでございます。
ただ、問題は、この新しい型に切りかえる場合にも、この新しい型のほうはリースではございますのですけれども、古い型の撤去費用でございますとか、新しい型を入れたためのリース費用だとか、そういうものがかかるものでございまして、中小の方々はなかなかそれにも踏み切れないという面がございます。これは小売中央会からも何とかしてくれというふうな御要望がございますのですけれども、今後ともちょっとこういうふうな御要望をどういうふうに実現できるかということを考えてまいりたいというふうに思ってございます。
立石委員
私は別に小売中央会を批判しているわけでも何でもないのであって、なぜこういうことを言うかというと、片一方では対面販売のときに罰則規定を強化しているわけですよね。片一方では罰則規定を強化していながら、片一方では未成年者であろうがだれであろうと自由に買える販売機が置いてあるわけですよね。それは、いささか、やっている行政とすると自己矛盾を起こしているのではないかと。そこのところはきちんと整合性を持たせたほうがいいのではないのですかと、そうしないとなかなか消費者の信頼は得られませんよと、そういう感じだと思うのですけれど、いかがですか。
酒税課長
まことに御指摘のとおりであろうと思います。実は、先ほど罰則は強化をされましたと申し上げました。それから、今般、やはり議員立法でございますけれども身分証明書の提示、その他の必要な措置を講ずるものとする、という条文も入ったわけでございます。
実は先ほど、これは小売業の方々からの御要望で入ったというふうに申し上げましたけれども、実は法の構成としては一種の規範規定になっているわけでございまして、これこれしなければならないという一種の強制性を持っているものではありません。もちろん、これに反しても罰則はかからないわけでございまして、未成年者に売ったという行為があって初めて罰則があるわけでございますが、しかしながら法構成の全体を見ておりますと、どちらかといえば未成年者に売ってはいけないというふうなことがさらに強化をされたというふうに解釈せざるを得ないところであります。そのような中にありまして、従来型であるにせよ、改良型であるにせよ、自動販売機をある程度認めるというふうなことは政策として一貫しないではないかという御指摘はそのとおりなのであります。
ただ、まことに恐縮なのでございますが、いかなる政策もある一定の年限を切ってできるところからやっていくというふうなことであろうと私は考えているところでございまして、そういった点で御理解を賜りたいと思います。
分科会長
客観的に申しまして、何といいますか、従来の酒販免許というのは基本的に経済規制と申しましょうかね、やはり経済規制を緩和する一方で社会規制を強化せよというふうな意見が非常に強く出てくる。それとの絡みで、みずから姿勢を正すという意味で、小売酒販組合中央会が、あるいは小売酒販組合が自販機をやめようよという……、そういう経済規制の緩和、社会規制の強化、酒販組合自身の一つの、ある種の倫理的決意の表明というふうなことと経営問題というのが、みんな一触端になっていて、したがってなかなか理屈どおりには進まんという面もあって……。
審議官
一言だけ言わせていただいてよろしいでしょうか。
頭の整理として自販機というのはないのが理想であって、しかしそういうことなのだろうけれども、さっき課長が言いましたように零細な問題とか営業上の問題とかという現実的な問題があって、できるだけそれを、どうしても置くのならば改良型にというふうに中央酒類審議会で考えていたわけでございます。それに対して小売中央会のほうは、もう少し自販機というものをやめて、より対面的にというふうに考えておられて、そこがまた少し考え方が違うところもあるのですが。ただ、実は平成7年からずっと経緯がございまして、行政・業界で随分と取り組んでおります。その成果として、さっき課長が説明いたしました、例えば数字を挙げますと12年6月で64%の残存でしたが、13年4月で43%ぐらいになっておりまして、これはそれなりに進んでおるという面もございますし、それから、改良型も1万台弱になったということもございます。
それで、一点申し上げたいのは、未成年者の飲酒禁止法というのが2年連続で議員立法によって改正をされておりますが、こういうことがございますので、ある意味で業界のほうもそういう問題についての機運が盛り上がっておるというふうに考えておりますので、国税庁は何をするかということでございますが、ぜひこういう機運なりムードがあるうちに、その自販機の問題についてもさらに強力に進めたいと、指導したいというふうに思っております。
分科会長
どうぞ。
幸田委員
中央会でございますので。
自動販売機は昭和49年、皆さんも御承知のとおり11時から5時までとめました。それは国税庁あるいは警察あるいは市民からの要望で、やはり未成年の飲酒の問題と、それから交通事故の観点から11時以降大変多いということで、これは自主規制をいたしました。
先ほど戸田課長からお話がありましたが、平成7年に中央会は決議をいたしました。対面確認販売という形で免許制度は残るであろうという前提で、中央会は自動販売機を撤去すると決めました。しかし、残念ながら平成15年9月1日をもって人口基準も距離基準もすべてがなくなる。国の政策として免許制度が自由になるのに、なぜ自分たちが自動販売機をとめなければいけないのかということが実際あったことは事実であります。その点では、非常に国税庁のほうにも御指導いただきながらやっていただいているのですけれど、そういう組合員のやはり中央会に対する不信感というものがありまして、我々中央会のやっていることはどういうことなのだと。対面確認販売で云々といって免許制度をきちっと堅持する、諸外国だって免許制度がきちんとあるじゃないかというのに、日本だけなぜなくなるのかということで、なかなか撤去は進まないということでございます。
また、改良型につきましては、これは国税庁の指導はどうしていただけるかわかりませんけれども、未成年者はアクセスできないということであれば24時間売っていいのか、それは今の改良型の自動販売機をどうやって御指導いただけるのかと。これは、知っているわけですけれど、もしそういうことについて、改良型が未成年者はアクセスできない自動販売機であれば24時間やっていいのだろうという声が、ロケーションの業者のほうからもそういうことはあります。そうではないのだよと、国税庁はそういう指導はしていないということを言っていますけれど、それについてもう一度、そういう点についての御確認をお願いしたいというふうに思っています。
酒税課長
一番最後の問題について、やはりお答えしなければならないと思いますのですが、立石委員あるいは幸田委員がおっしゃったとおり、本人確認ができる装置を備えた自動販売機であっても、確かに身分証明書をだれかから借りてやってしまったらそれまでなのでございまして。そういった意味では、身分証明書を持った未成年が売るのをちゃんと見張っていなければならないというふうなことにならざるを得ないわけでございます。したがって、実は身分証明書を確認できる自動販売機にしろ、そうでない自動販売機にしろ、本来的には店の中に置いたり、あるいは対面販売がきちんとできるように店主の方々が見張っている、あるいは適切に管理をしているということのほうが実は重要なのでございまして、そういった意味ではその管理の一貫といたしまして夜間販売は自動販売機の場合にはある一定時間とめるということがやはり望ましいと私は考えているところでございますし、そのように指導しているところでございます。
分科会長
ありがとうございました。
この未成年飲酒も非常に大きな問題ですが、これを真剣に議論しなくてはいかんわけですが、ただ我々大学人として言うと、4月に新入コンパというのがあって、最近はだんだん現役合格率がふえておりますので、20歳未満の1年生でコンパ……、あれはアメリカのドライステーツでありますと明らかに教員も監獄へ、牢屋に持っていかれるわけでありますが、日本の場合も本当にやるのだったらそのぐらいやらないといかんだろうと思いますけれども。
では、水野委員。
水野委員
時間が参りましたので簡単にお話しさせていただきますが、ちょっとこの未成年者の関係でいろいろ拝見させていただいたのですが、今、刑法では責任能力が14歳未満、いわゆる14歳以上になりますと適用になる、と。しかしながら飲んではいけないのですね。これは大正11年につくられた法律で、確かに一般的な法律の体系ですと民法の20歳という基準はあるのですけれども、それをそっくりそのまま使って未成年者飲酒禁止法に基づいて自動販売機も考える、と。現実には自動車免許は18歳で取れますから、実際には18歳に基準が下がってきているとは思うのですが、少なくとも人が守らないようなルールはつくらないほうがいいと思うのですね。つくる以上はやはり、ある程度、自主性もありますけれども適用できるようなものがよろしいと。大正11年の未成年者飲酒禁止法、これをそのままそれに乗っかってやるというのはどれだけの説得力があるかということなのですが。特に医学的な見地は今井先生にお伺いしたいと思うのですが、ここでは小学生の話なのですね。高校から大学に入った、あるいは高校から勤めに出た人も2年間は未成年者ですから。ここは、事実上はほったらかしになるような気がするのですけれども、何かちょっとしっくりしないのですね。思い切って、もうちょっとこう……。
酒税課長
医学的な見地は今井先生からお聞きすることにしまして、法律構成についてのみ申し上げますが、もう先生、改めて答えを予測されていると思いますけれども、本法は刑法かつ少年保護法でございます。したがって、未成年者については酒を飲酒してはならないというふうに規定されているのみであって、係る者の行為に関する罰則規定はないわけでございまして、未成年者が酒を飲むことを禁止する、あるいはそれを未成年者が酒を飲むことを行うような環境をつくり、あるいはそれを差し向けたような行為に対しまして一定の罰則規定を設け、かつ親権者に対しては罰金ではなくて科料というふうな形式にしているわけでございます。
したがって、何を申し上げようかと申しますと、例えば家庭内で親が子供に酒を飲ませる場合には、それは家庭内の教育の問題であって、一応、硬質的な刑法規定はこれを適用しないというふうな考え方があるようにも思います。むしろ、商売人の方々がこれをやることについてはかなり厳しくこれを罰するというふうな構成になっているわけでございます。しかしながら、未成年の方々の健康を守るということからすれば、それは家庭内であろうと商売人であろうと、あるいは社会全体がこれを考えなければならないことは明らかなことでありまして、そういった意味では大正11年の未成年保護法たる係る法律が、現在のだれでもかれでもお酒を飲める、あるいはお酒を飲めるような環境にある時代に果たして適合しているのかどうかということは、やはり御指摘のとおり、少し隔靴掻痒の感があるのかなというふうに思うところでもございます。
また、もう一点、18歳未満ということでございます。そこのところは、実は今回の法律の改正におきましても、かなり国会で論議をされたところでございます。たしか、各国のアルコール禁止法におきましてもさまざまでございまして、例えば二十歳未満飲んではいけないというふうな国もあれば、18歳未満飲んではいけないという国もあるし、また飲んではいけない酒類につきましてもハードリカーに限るとか、そういうふうな規定の仕方をしている国もございます。一種の文化なり社会的な感覚の発達ということの結果なのだろうというふうに思います。ただ、大正11年以降、未成年者飲酒禁止法がつい最近まで一切改正をされないままここに来ているわけでございますから、そういった意味ではほかの法律と少し整合性がとれていないのかもしれません。最近の少年法の改正に余り追いついていないという面があるのかもしれません。
ただ、まことに申しわけございません、これは私どもの所管の法律ではないものでございますから、それ以上ちょっと責任ある回答はできないところでございます。
分科会長
この問題は過去、この審議会といいますか中央酒類審議会でも、あるいは他の場でもいろいろと議論の重ねられた問題でございますし、この問題を本当に議論するのだったら、また別途、会議といいますか、それも1回や2回の会議ではなくて、もうちょっと計画的な審議の場をやはり設ける必要があるのではないかというふうに考えます。そんなこと等もまた事務局でお考えいただけるのかもしれないというふうに思います。
一応、時間が予定より15分ほど超過をいたしておりますが、いかがでございましょうか。もしよろしければ、本日の議事……
酒税課長
今井先生が。
分科会長
どうぞ。
今井委員
先ほど何か医学的見地というのがありましたので簡単にお答しておきますが、医学的見地から言うと二つあって、一つはアルコールが肝臓で分解するときに酸素を要求しますので、脳というのは酸素が欠乏することに弱い部分ですので、子供のころ、特に成長期、一応、二十歳代までというふうになっていますけれども、なるべく酸欠状態にさらさないほうがいいということが一つと、もう一つは、これは皆さん御存じと思うのですが、アルコールというのは慢性的に中毒症状を起こすというか、麻薬と同じように、単位から言うと麻薬の100分の1ぐらいなのですけれども、習慣性が出てきてしまいますので、人格崩壊を考えると子供のときには飲まないほうがいいということです。
分科会長
ありがとうございました。
では、本日の議事録の公開につきましては、これまでの中央酒類審議会と同様に、まずは簡潔な内容のものを議事要約として公表する、と。議事録は完成次第公表させていただきますけれども、公表前に皆様の御発言の内容をチェックしていただく。そういう手順をとりたい。そういうことで、議事要約の内容につきましては、事務局といいましょうか、一任いただければありがたいというふうに思います。
では、ちょっと時間が予定より過ぎましたけれども、本日はこれで終了させていただきたいというふうに思います。
事務局から何かございましょうか。
酒税課長
今後、例の表示基準につきましては、所定の手続を経た上でまた御相談させていただきます。その際はよろしくお願い申し上げます。
分科会長
よろしくお願いします。ありがとうございました。
―― 了 ――