ユネスコ無形文化遺産伝統的酒造り

「伝統的酒造り」とは

「伝統的酒造り」とは、杜氏、くらびと等がこうじ菌を用い、長年の経験に基づき築き上げてきた酒造り技術のことで、500年以上前にげんけいが確立したといわれています。

日本各地の気候風土に応じて発展し、にほんしゅ、焼酎、泡盛、みりん等の製造に受け継がれてきました。また、祭事や婚礼といった日本の社会文化的行事に酒が不可欠な役割を果たしており、伝統的酒造りはそれを根底で支える技術とされています。

こうした「伝統的酒造り」は、2024年12月5日(日本時間)にユネスコ無形文化遺産保護条約 第19回政府間委員会(於:パラグアイ)において、ユネスコ無形文化遺産に登録されました。

ユネスコ無形文化遺産とは

「無形文化遺産」とは、先人によって
受け継がれ、次世代に継承されている芸能や
祭礼行事、
伝統工芸技術などの形のない
文化であって、土地の歴史や生活風習などと
密接に関わっているものをいいます。

ユネスコの「無形文化遺産保護条約」では、
互いに文化を尊重する機運を高めるため、

無形文化遺産の代表一覧表(いわば登録リスト)
を作成し、無形文化遺産を保護しています。

SDGsの目標への貢献に関する
「伝統的酒造り」の取組

「伝統的酒造り」のユネスコ無形文化遺産への
登録を決定した政府間委員会において、

全国各地の酒蔵での取組が、国連で採択された
SDGs(持続可能な開発目標)
に対して貢献する
として四つの点が評価されました。

一  酒造りに不可欠な米をはじめとする
穀物の生産や清廉な水の確保のために
酒蔵が取り組んでいる環境保全は、

「食糧安全保障」や「環境の持続可能性」に
つながるということ。

二 酒蔵の杜氏、くらびとといった酒造りの担い手に性別の制限を設けていないことは、「ジェンダー平等」につながるということ。

三  酒蔵の酒造りに原料を提供する農家を
はじめとする多くの地元住民の参画、

それに伴うコミュニティの結束は、
「平和と社会の結束」につながるということ。

四  酒粕などの酒造りの副産物をみりんなどの

2次製品に再利用する効率的な資源活用は、
「責任ある消費と生産」につながるということ。

また、近年においては、多くの酒蔵が環境問題
に適応した酒造りを行うようになっています。

地域の環境に配慮しつつ、地域の基幹産業で
ある農業との連携や森林保全など、地域循環型
の社会や経済を
成立させるため、伝統的な
酒造りへの期待はますます高まっています。

SDGs:Sustainable Development Goalsの略。2015年9月の国連サミットで加盟国の全会一致で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載された、2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標。17のゴール、169のターゲットから構成されている。

酒粕:こうじ、蒸米、水に酵母菌を入れて発酵させた「もろみ」から酒を分離した残りの部分。米のタンパク質や酵母からのアミノ酸などが豊富に含まれており、食品の香味付けや製造原料として用いられる。

「伝統的酒造り」を学ぶ

動画で学ぶ

「伝統的酒造り」に触れる

国税庁等による関連イベント

国税庁、国税局では、日本の「伝統的酒造り」に関わる歴史や文化の豊かさを、国内外の多くの方々に知っていただけるよう、文化庁や「日本の伝統的なこうじ菌を使った酒造り技術の保存会」等と連携し、PRイベント等を実施しています。

酒蔵マップ

本マップは、全国の酒蔵を地域ごとに掲載しており、銘柄などを紹介しています。観光や酒蔵巡りの計画にも役立ちますので、ぜひご活用ください。

※見学に当たっては、予約が必要となる場合があります。

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地理的表示(GI)

酒類の地理的表示制度は、酒類の確立した品質や社会的評価がその産地と本質的に繋がりがある(しゅとしてきせられる)場合において、その産地名を独占的に名乗ることができる制度です。

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こうじについて学ぶ

こうじ、こめこうじ、とは、こうじ菌というカビを蒸したお米に繁殖させたもので、日本の酒造りの根幹となるものです。詳しくはリーフレットをご覧ください。