(事前確認の申出)

7-1

  • (1) 内国法人の納税地を所轄する税務署長(調査課所管法人にあっては、国税局長。以下「所轄税務署長等」という。)は、当該内国法人から次に掲げる事項に係る事前確認の申出が行われた場合には、これを収受する。ただし、ロに掲げる事項に係る事前確認の申出は、イに掲げる事項に係る事前確認の申出が行われる場合に限り、これを収受する。
     なお、事前確認の申出を行おうとする内国法人が事前相談を行っていない場合には、所轄税務署長等は当該内国法人に対して、事前相談を行った上で事前確認の申出を行うよう指導する。
    • イ 内部取引(法第69条第4項第1号(外国税額の控除)に規定する内部取引をいう。以下この章において同じ。)に係る独立企業間価格(措置法第67条の18第1項(国外所得金額の計算の特例)に規定する独立企業間価格をいう。以下この章において同じ。)の算定方法及びその具体的内容(以下この章において「独立企業間価格の算定方法等」という。)
    • ロ 国外事業所等帰属資本相当額の計算における比較対象法人(法施行令第141条の4第3項第2号イ(1)又はロ(1)(国外事業所等に帰せられるべき資本に対応する負債の利子)に規定する比較対象法人をいう。以下この章において同じ。)
  • (2) 事前確認の申出は、内国法人が確認対象事業年度のうち最初の事業年度の開始の日までに、確認対象内部取引に係る国外事業所等の所在する国又は地域の別に、確認対象事業年度、確認対象内部取引、確認対象内部取引に係る国外事業所等及び確認対象内部取引に係る独立企業間価格の算定方法等並びに事前確認を受けようとする国外事業所等帰属資本相当額の計算における比較対象法人を記載した確認申出書を作成し、これを所轄税務署長等に提出することにより行うものとする。
    • (注) 確認対象事業年度のうち最初の事業年度の開始の日が日曜日、祝日法に規定する休日その他一般の休日又は国税通則法施行令第2条第2項(期限の特例)に規定する日に当たるときは、これらの日の翌日までに提出することにより行うものとする。
  • (3) 確認申出書の提出部数は、調査課所管法人に該当する内国法人にあっては1部(相互協議を求める場合には2部)、調査課所管法人に該当しない内国法人にあっては3部(相互協議を求める場合には4部)とする。以下7-2の資料、7-7の書類及び7-8の取下書の提出部数についても同様とする。

(資料の添付)

7-2

  • (1) 所轄税務署長等は、事前確認の申出を行った内国法人(以下「確認申出内国法人」という。)に対し、確認申出書に次に掲げる資料を添付すること及び当該資料に誤り又は変更があった場合には、速やかに局担当課に連絡することを求める。
    • イ 確認対象内部取引の内容、当該確認対象内部取引の流れ及びその詳細を記載した資料
    • ロ 確認対象内部取引に係る国外事業所等及びその本店等(法第69条第4項第1号(外国税額の控除)に規定する本店等をいう。以下この章において同じ。)が当該確認対象内部取引において果たす機能に関連する部門の概要及び業務の内容を記載した資料
    • ハ 確認対象内部取引について、国外事業所等及びその本店等における機能及び事実の分析のため、国外事業所等及びその本店等の果たす機能、帰せられるリスク、使用する資産、外部取引(国外事業所等を有する内国法人が他の者との間で行った取引をいう。)、内部取引その他の国外事業所等帰属所得の認識に影響を与える状況を明らかにする資料
    • ニ 確認対象内部取引に係る独立企業間価格の算定方法等及びそれが最も適切な方法であることを説明した資料
    • ホ 事前確認の申出に係る国外事業所等帰属資本相当額の計算における比較対象法人の選定に係る事項及び当該比較対象法人が適切であることを説明した資料(7-1(1)ロに掲げる事項に係る事前確認の申出を行う場合に限る。以下ヌにおいて同じ。)
    • ヘ 事前確認を行い、かつ、事前確認を継続する上で前提となる重要な事業上又は経済上の諸条件(条件に相当する確認対象内部取引に係る経済事情その他の要因等を含む。以下この章において同じ。)に関する資料
    • ト 確認対象内部取引に係る国外事業所等及びその本店等の過去3事業年度分(その事業年度が連結事業年度に該当する場合には、当該連結事業年度を含む。以下(1)において同じ。)の営業及び経理の状況その他事業の内容を明らかにした資料(確認対象内部取引が新規事業又は新規製品に係るものであり、過去3事業年度分の資料を提出できない場合には、将来の事業計画、事業予測の資料など、これに代替するもの)
    • チ 確認対象内部取引に係る国外事業所等について、その国外事業所等が所在する国又は地域で、措置法第66条の4の3(外国法人の内部取引に係る課税の特例)に相当する制度等に基づき、調査、不服申立て又は訴訟等が行われている場合には、その概要及び過去の課税状況を記載した資料
    • リ 確認対象内部取引に係る独立企業間価格の算定方法等を確認対象事業年度前3事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当する場合には、当該連結事業年度を含む。以下(1)において同じ。)に適用した場合の結果など確認対象内部取引に係る独立企業間価格の算定方法等を具体的に説明するために必要な資料
    • ヌ 事前確認の申出に係る国外事業所等帰属資本相当額の計算における比較対象法人を確認対象事業年度前3事業年度に適用して、同業法人比準法(法施行令第141条の4第3項第2号(国外事業所等に帰せられるべき資本に対応する負債の利子)に規定する方法をいう。以下この章において同じ。)又は簿価資産資本比率比準法(同条第6項第2号に規定する方法をいう。以下この章において同じ。)により、国外事業所等帰属資本相当額を計算した場合の結果など確認申出内国法人が申し出た当該比較対象法人を具体的に説明するために必要な資料
    • ル 確認申出内国法人が属する多国籍企業グループの最終親会社等及び当該確認申出内国法人に係る親会社等のうち当該確認申出内国法人を直接支配する親会社等が当該最終親会社等でない場合の親会社等の概要(法人名、本店又は主たる事務所の所在地等)を記載した資料(相互協議を伴わない事前確認の申出の場合に限る。)
    • ヲ その他事前確認に当たり必要な資料
      • (注) ト又はリに掲げる資料については、確認対象内部取引に係る製品のライフサイクル等を考慮した場合に、3事業年度分に係る資料では十分な事前確認審査を行うことができないと認められるときは、局担当課は、確認申出内国法人に対し、これらに加え、その前2事業年度分(その事業年度が連結事業年度に該当する場合には、当該連結事業年度を含む。)に係る資料の提出を求める。
  • (2) 確認申出内国法人が、明らかに、(1)イからヲまでに掲げる資料の添付を行っていない場合には、所轄税務署長等は、当該確認申出内国法人に対して、速やかに、当該資料を提出することを求める。

(翻訳文の添付)

7-3 署法人課税部門又は局調査課は、確認申出書に添付された資料のうち、外国語で記載されたものがある場合には、確認申出内国法人に対して日本語による翻訳文を添付するよう求める。

(確認申出書の補正)

7-4 署法人課税部門又は局調査課は、収受した確認申出書の記載事項について記載誤り若しくは記載漏れがないかどうか又は7-2(1)に掲げる資料が添付されているかどうか等について検討し、不備がある場合には、確認申出内国法人に対して補正を求める。

(確認申出書の送付等)

7-5 署法人課税部門は、収受した確認申出書2部(確認申出内国法人が相互協議を伴う事前確認を求めている場合には3部)を速やかに局法人課税課に送付し、局法人課税課は、うち1部(確認申出内国法人が相互協議を伴う事前確認を求めている場合には2部)を速やかに国税庁課税部法人課税課に送付する。局調査課は、確認申出内国法人が相互協議を伴う事前確認を求めている場合には、収受した確認申出書1部を速やかに国税庁調査査察部調査課に送付する。庁担当課は、確認申出内国法人が相互協議を伴う事前確認を求めている場合には、送付された当該確認申出書1部を庁相互協議室に回付する。

(確認対象事業年度)

7-6 確認対象事業年度は、原則として3事業年度から5事業年度とする。

(事前確認の申出の修正)

7-7 確認申出内国法人から事前確認の申出の修正に係る書類の提出があった場合には、7-4及び7-5の取扱いに準じて処理を行う。

(事前確認の申出の取下げ)

7-8 確認申出内国法人から事前確認の申出の取下書の提出があった場合には、7-4及び7-5の取扱いに準じて処理を行う。

(事前相談)

7-9

  • (1) 事前相談は、事前確認の申出を行おうとする内国法人が確認申出書及び7-2(1)イからヲまでの資料を作成することに資するものであり、かつ、当該内国法人が行おうとする事前確認の申出の内容を税務当局が適切に理解し、効率的かつ迅速に審査を行うことに資するものであることを踏まえ、局担当課はこれに的確に対応する。庁担当課(相互協議を伴う事前確認に係る事前相談にあっては、庁相互協議室を含む。(2)において同じ。)は、局担当課からの連絡を受け、これに加わることができる。
    • (注) 確認対象事業年度の前の事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当する場合には、当該連結事業年度を含む。)において、内国法人の国外事業所等帰属所得に係る所得に関する調査が行われているときは、当該調査の終了前においても事前相談に応ずるが、当該調査の終了後において改めて事前確認の申出の内容に係る修正の要否について相談に応ずる。
  • (2) 局担当課(事前相談に加わる庁担当課を含む。(3)において同じ。)は次の点に留意して事前相談に応ずる。
    • イ 事前確認の申出を行おうとする内国法人に対して、確認申出書の添付資料の作成要領、提出期限その他事前確認に係る手続に必要な事項を事前相談の際に十分に説明すること。
    • ロ 内国法人が行おうとする事前確認の申出に係る内部取引の内容を的確に把握するとともに、当該内国法人に対して、当該事前確認の申出に当たって必要な情報の提供に努めること。
  • (3) 局担当課は、事前確認の申出を行おうとする内国法人が提出した資料の範囲内で事前相談に応ずる。
     なお、局担当課が、内国法人に対して、事前相談に先立って事前相談を行うに当たり必要と認められる資料の提出を求めた場合において、当該資料が事前相談の際に提出されないときは、事前相談に適切に応ずることができない旨を説明する。
  • (4) 内国法人が行おうとする事前確認の申出の内容が次のイからハまでに掲げる場合に該当すると認められるときは、局担当課は、当該内国法人に対して、それぞれイからハまでに定める事項を説明する。
    • イ 7-13(1)イ、ハ、ニ又はヘに掲げる場合 当該事前確認の申出を行っても事前確認を行うことができない旨
    • ロ 7-13(2)イ、ロ、ニ、ヘ、ト又はチに掲げる場合 当該事前確認の申出を行っても事前確認に係る手続を保留する旨
    • ハ 7-14(2)ハに掲げる場合 当該事前確認の申出を行っても7-14(2)に定めるところにより取り扱う旨

(事前確認審査)

7-10 局担当課は、内国法人から事前確認の申出を受けた場合には、次により事前確認審査を行う。

  • (1) 局担当課は、速やかに当該申出に係る事前確認審査に着手し、事案の複雑性や困難性に応じたメリハリのある事前確認審査を行い、的確かつ迅速な事務処理に努める。また、庁担当課は、必要に応じ事前確認審査に加わる。
     なお、事前確認審査を迅速に進めるためには、確認申出内国法人の協力が不可欠であることから、確認申出内国法人に対しその旨を説明し、理解を求める。
  • (2) 局担当課は、原則として第5章(内国法人の国外事業所等帰属所得に係る所得に関する調査)(5-1(国外事業所等帰属所得に係る所得に関する調査を行う場合の準用)で準用する取扱いのうち4-1(国別報告事項及び事業概況報告事項)及び4-2(ローカルファイル)を除く。)の取扱いの例により事前確認審査を行う。
     なお、事前確認審査は、調査には該当しないことに留意する。
  • (3) 局担当課は、確認申出書に7-2(1)イからヲまでに掲げる資料の添付がなかったことについて、相当の理由があると認める場合には、確認申出内国法人に対して、当該資料の提出に通常要する日数を勘案して、45日を超えない範囲内で提出期限を設定し、当該資料の提出を求める。
  • (4) 局担当課は、事前確認審査のため、7-2(1)イからヲまでに掲げるもの以外の資料が必要と認められる場合には、確認申出内国法人に対してその旨を説明し、当該資料の提出を求める。
     なお、局担当課は、確認申出内国法人に対して当該資料の提出を求める場合には、当該資料の提出の準備に通常要する日数を勘案して、45日を超えない範囲内で当該資料の提出期限を設定する。
    • (注) 局担当課は、確認申出内国法人から提出された資料が不正確な情報に基づき作成されたものであると判断した場合には、速やかに、当該確認申出内国法人に対して、正確な情報に基づき作成した資料を提出するよう求める。
  • (5) 局担当課は、確認申出内国法人が申し出た内部取引に係る独立企業間価格の算定方法等が最も適切な方法であると認められない場合又は確認申出内国法人が申し出た国外事業所等帰属資本相当額の計算における比較対象法人が適切であると認められない場合には、当該確認申出内国法人に対し、申出の修正を求めることが出来る。
  • (6) 庁担当課は、必要に応じ、局担当課に対し事前確認審査の状況等について報告を求める。

(事前確認に係る相互協議)

7-11

  • (1) 局担当課は、確認申出内国法人が事前確認について相互協議を求める意思を有すると認められる場合には、平成13年6月25日付官協1-39 ほか7課共同「相互協議の手続について」(事務運営指針)6(1)(相互協議の申立ての手続)に定める「相互協議申立書」を庁相互協議室に提出することにより相互協議の申立てを行い、相手国等(同事務運営指針1(2)(用語の意義)に定める相手国等をいう。)の税務当局に事前確認の申出に相当する申出を行うよう勧奨する。
  • (2) 局担当課は、内国法人が外国税務当局に事前相談に相当する相談又は事前確認の申出に相当する申出を行っていることを把握した場合には、当該内国法人に対し、我が国にも速やかに事前相談又は事前確認の申出を行うよう勧奨する。

(局担当課又は庁担当課と庁相互協議室との協議・連絡)

7-12

  • (1) 確認申出内国法人が事前確認について相互協議を求める場合には、局担当課又は庁担当課は、必要に応じ、庁相互協議室と協議を行う。
  • (2) 確認申出内国法人が事前確認について相互協議を求める場合において、局担当課は、事前確認審査を終了したときは、庁担当課を通じて事前確認審査の結果を庁相互協議室に連絡する。
     また、庁相互協議室は、事前確認の申出に係る相互協議の結果を庁担当課を通じて局担当課に連絡する。

(事前確認を行うこと又は事前確認審査を開始することが適当でない場合)

7-13 事前確認審査に当たっては、次の(1)又は(2)に定めるところにより適切に対応することに留意する。

  • (1) 次に掲げる場合に該当することにより、確認申出内国法人が行った事前確認の申出について、事前確認を行うことが適当でないと認める場合には、局担当課は、庁担当課(相互協議を伴う事前確認の申出にあっては、庁相互協議室を含む。)と協議の上、確認申出内国法人に対して、事前確認を行うことができない旨を説明する。
    • イ 非関連者の間では通常行われない形態の取引に相当する内部取引を確認対象内部取引とすること等により、経済上の合理的な理由なく我が国での租税負担が軽減されることとなると認められる場合
    • ロ 確認申出内国法人が、事前確認審査に必要な情報を7-10(3)又は(4)により局担当課が設定した期限までに提供しないことその他の当該確認申出内国法人から協力が得られない事情により、事前確認審査に支障が生じている場合
    • ハ 事前確認の申出が、過去に行われた事前確認の申出であってイからへまでに掲げる場合に該当することにより事前確認を行うことができないこととされたものとその内容において同一であると認められる場合
      • (注)1 「その内容において同一であると認められる場合」とは、例えば、確認対象内部取引、確認対象内部取引に係る国外事業所等及び確認対象内部取引に係る独立企業間価格の算定方法等又は国外事業所等帰属資本相当額の計算方法が、確認対象事業年度のうち3事業年度以上において同一であると認められる場合をいう。
      • 2 事前確認の申出のうち過去に事前確認を行うことができないこととされた事前確認の申出とその内容において同一であると認められる部分を除いた残りの部分が一の申出として成立する場合には、一の申出として成立する当該残りの部分について事前確認の申出を取り下げるか否か又は事前確認を求めるか否かを確認申出内国法人から聴取する。この場合において、局担当課は、確認申出内国法人が当該事前確認の申出を取り下げるときは、当該確認申出内国法人に対して取下書の提出を求めた上で7-8に定める処理を行い、当該確認申出内国法人が事前確認を求めるときは、7-14(1)から(3)までに定める処理を行う。
    • ニ 確認対象内部取引が、法令等に抵触し、又は抵触するおそれがある場合
    • ホ 7-14(2)に定めるところにより、局担当課が、確認申出内国法人から事前確認の申出を取り下げるか否か又は相互協議を伴わない事前確認を求めるか否かを聴取した日の翌日から3か月を経過する日までに、当該確認申出内国法人からの回答がなかった場合
    • へ その他事前確認を行うことが適当でないと認められる場合
      • (注) 「その他事前確認を行うことが適当でないと認められる場合」とは、例えば、事前確認審査において把握した事実に基づき、確認対象内部取引に係る独立企業間価格の算定方法等が最も適切な方法であると認められないことが明らかになったにもかかわらず、確認申出内国法人が事前確認の申出の修正に応じない場合、事前確認の申出及びその取下げを繰り返す場合などが該当する。
  • (2) 次に掲げる場合に該当することにより、確認申出内国法人が行った事前確認の申出に係る事前確認審査を開始し、又は継続することが適当でないと局担当課が判断した場合には、局担当課は、庁担当課(相互協議を伴う事前確認の申出にあっては、庁相互協議室を含む。)と協議の上、当該確認申出内国法人に対して、事前確認審査を開始し、又は再開することが適当であると判断するまでの間、当該事前確認の申出に係る事前確認の手続を保留する旨を説明する。なお、ホに該当する場合には、7-14(2)ロに該当することになる場合があることについても併せて説明することに留意する。
    • イ 確認申出内国法人から、措置法第67条の18第1項(国外所得金額の計算の特例)の規定に基づく更正等に係る内部取引と同様の内部取引を確認対象とする申出が行われている場合において、当該更正等に係る不服申立て又は訴えについての決定若しくは裁決又は判決の確定を待って事前確認審査を行う必要があると認められるとき
    • ロ 確認申出内国法人から、確認対象内部取引以外の内部取引に係る事前確認の申出及び相互協議の申立てが行われている場合において、当該相互協議の合意を待って当該確認対象内部取引に係る事前確認審査を行う必要があると認められるとき
    • ハ 7-2(1)トに定める資料によっては、事業活動の実態を把握できず、確認対象内部取引の確認対象事業年度における実績を踏まえて事前確認審査を行う必要があると認められる場合
    • ニ 確認申出内国法人から、国外事業所等帰属資本相当額の計算における比較対象法人に係る事前確認の申出が行われている場合において、当該申出に係る比較対象法人の選定と同様の内容を有する他の事例における更正等に係る不服申立て、訴えについての決定、裁決若しくは判決の確定又は相互協議の合意を待って当該申出に係る事前確認審査を行う必要があると認められるとき
    • ホ 相互協議を伴う事前確認の申出について、庁相互協議室から庁担当課を通じて、確認申出内国法人が当該事前確認の申出に係る国外事業所等の所在する国又は地域の税務当局に対して行った事前確認の申出に相当する申出が当該税務当局によって収受されていないものと認められる旨の連絡を受けており、かつ、当該事前確認の申出に相当する申出が当該税務当局によって収受された旨又は収受される見込みとなった旨の連絡を受けてから事前確認審査を行うことが適当であると認められる場合
    • ヘ 相互協議を伴う事前確認の申出について、庁相互協議室から庁担当課を通じて、事前確認審査を終了したとしても、当分の間、相互協議が行われることが見込まれない旨の連絡を受けた場合(ホに該当する場合を除く。)
    • ト 確認対象事業年度の前の事業年度において、内国法人の国外事業所等帰属所得に係る所得の金額に関する調査が行われている場合
    • チ その他事前確認審査を開始し、又は継続することが適当でないと認められる場合

(事前確認の通知)

7-14

  • (1) 相互協議を伴う事前確認の申出について、局担当課は、庁担当課を通じて庁相互協議室から相互協議の合意が成立した旨の通知を受けた場合には、必要に応じ、確認申出内国法人から事前確認の申出の修正を受けた上で、速やかに、事前確認を行う旨を所轄税務署長等に連絡する。
  • (2) 相互協議を伴う事前確認の申出について、次に掲げる場合に該当するときは、局担当課は、確認申出内国法人から当該事前確認の申出を取り下げるか否か又は相互協議を伴わない事前確認を求めるか否かを聴取する。この場合において、局担当課は、当該確認申出内国法人が当該事前確認の申出を取り下げるときは、当該確認申出内国法人に対して取下書の提出を求めた上で7-8に定める処理を行い、当該確認申出内国法人が相互協議を伴わない事前確認を求めるときは、(3)に定める処理を行う。
    • イ 庁相互協議室から庁担当課を通じて相互協議の合意が成立しなかった旨の通知を受けた場合
    • ロ 庁相互協議室から庁担当課を通じて当該確認申出内国法人による事前確認の申出に係る国外事業所等の所在する国又は地域の税務当局に対して行った事前確認の申出に相当する申出が当該税務当局によって収受されていないものと認められる旨の連絡を受けており、かつ、確認対象事業年度のうち最初の事業年度の開始の日の翌日から3年を経過する日までに、庁相互協議室から庁担当課を通じて、当該税務当局によって当該事前確認の申出に相当する申出が収受された旨又は収受される見込みとなった旨の連絡を受けていない場合
    • ハ 事前確認の申出が、過去に庁相互協議室から庁担当課を通じて相互協議の合意が成立しなかった旨の通知を受けたものとその内容において同一であると認められる場合
      • (注)1 「その内容において同一であると認められる場合」とは、例えば、確認対象内部取引、確認対象内部取引に係る国外事業所等及び確認対象内部取引に係る独立企業間価格の算定方法等又は国外事業所等帰属資本相当額の計算方法が、確認対象事業年度のうち3事業年度以上において同一であると認められる場合をいう。
      • 2 事前確認の申出のうち過去に相互協議の合意が成立しなかった旨の通知を受けた事前確認の申出とその内容において同一であると認められる部分を除いた残りの部分が一の申出として成立する場合には、一の申出として成立する当該残りの部分について事前確認を取り下げるか否か又は事前確認を求めるか否かを確認申出内国法人から聴取する。この場合において、局担当課は、確認申出内国法人が当該事前確認の申出を取り下げるときは、当該確認申出内国法人に対して取下書の提出を求めた上で、7-8に定める処理を行い、当該確認申出内国法人が事前確認を求めるときは、(1)から(3)までに定める処理を行う。
  • (3) 相互協議を伴わない事前確認の申出について、事前確認審査の結果、その内部取引に係る独立企業間価格の算定方法等が最も適切な方法であると認められる場合又は局担当課が事前確認の申出の修正を求め、確認申出内国法人が当該修正に応じた場合には、局担当課は、速やかに所轄税務署長等に事前確認を行う旨を連絡する。この場合において、確認申出内国法人が当該事前確認の申出の修正に応じないときは、7-13(1)への定めに該当することに留意する。
  • (4) 局担当課は、7-13(1)の定めにより確認申出内国法人に対して事前確認を行うことができない旨を説明した場合には、速やかに、その旨を所轄税務署長等に連絡する。
  • (5) 所轄税務署長等は、確認申出内国法人に対し、局担当課から(1)又は(3)の連絡を受けたときは、速やかに、別紙様式2により作成した「内部取引等に係る事前確認の通知書」により事前確認を行う旨の通知を行い、また、(4)の連絡を受けたときは、速やかに、別紙様式3により作成した「内部取引等に係る事前確認ができない旨の通知書」により事前確認を行うことができない旨の通知を行う。

(事前確認の効果)

7-15 所轄税務署長等は、7-14(5)の取扱いにより事前確認を行う旨の通知を受けた内国法人(以下この章において「確認内国法人」という。)が事前確認を受けた各事業年度(以下この章において「確認事業年度」という。)において、事前確認を受けた内部取引(以下この章において「確認内部取引」という。)について事前確認の内容に適合した申告を行っている場合には、当該確認内部取引は独立企業間価格で行われたものとして取り扱う。また、確認内国法人が国外事業所等帰属資本相当額の計算における比較対象法人について事前確認を受けた場合において、当該確認内国法人が当該事前確認の内容に適合した比較対象法人を用いて、同業法人比準法又は簿価資産資本比率比準法により、国外事業所等帰属資本相当額を計算しているときは、当該同業法人比準法又は簿価資産資本比率比準法の適用における比較対象法人は適正なものとして取り扱う。
 なお、事前確認を行う旨の通知があった時に既に経過した確認事業年度がある場合において、当該通知又は局担当課による行政指導により当該確認事業年度に係る申告を事前確認の内容に適合させるために確認内国法人が自主的に提出する修正申告書は、国税通則法第65条第1項及び第5項(過少申告加算税)に規定する「更正があるべきことを予知してされたもの」には該当しないことに留意する。
 また、修正申告書が同条第5項の調査通知後に提出された場合であっても、事前確認の内容に適合させるための部分は、同項に規定する「調査通知がある前に行われたもの」として取り扱うことに留意する。

(報告書の提出)

7-16 所轄税務署長等は、確認内国法人に対し、確認事業年度の確定申告書の提出期限又は当該所轄税務署長等があらかじめ定める期限までに、次の事項を記載した資料を添付した「内部取引等に係る事前確認の報告書」を別紙様式4により作成し、これを当該所轄税務署長等に提出するよう求める。
 なお、当該報告書の提出部数は、調査課所管法人に該当する確認内国法人にあっては1部、調査課所管法人に該当しない確認内国法人にあっては3部とする。

  • (1) 確認内国法人が確認内部取引について事前確認の内容に適合した申告を行っていることの説明又は確認内国法人が事前確認の内容に適合した比較対象法人を用いて国外事業所等帰属資本相当額を計算していることの説明(確認内国法人が7-1(1)ロに定める比較対象法人について事前確認を受けた場合に限る。)
  • (2) 確認内国法人の国外事業所等及びその本店等の確認内部取引に係る損益の明細並びに当該損益の額の計算の過程を記載した書類(事前確認の内容により局担当課が必要と認める場合に限る。)
  • (3) 事前確認の前提となった重要な事業上又は経済上の諸条件の変動の有無に関する説明
  • (4) 確認内部取引の対価の額とした額が事前確認の内容に適合しなかった場合に、確認内国法人が行った7-18に定める対価の額とした額の調整の説明
  • (5) 確認内部取引に係る国外事業所等及びその本店等の財務状況
  • (6) その他確認事業年度において事前確認の内容に適合した申告が行われているかどうかを検討する上で参考となる事項
  • (注) 当該所轄税務署長等があらかじめ定める期限が日曜日、祝日法に規定する休日その他一般の休日又は国税通則法施行令第2条第2項(期限の特例)に規定する日に当たるときは、これらの日の翌日までに提出するよう求める。

(報告書の取扱い)

7-17

  • (1) 確認内国法人から、7-16に定める報告書の提出があった場合には、署法人課税部門又は局調査課は7-4及び7-5の取扱いに準じて処理を行う。
  • (2) 局担当課は、当該報告書に基づき、次に掲げる事項について検討する。
    • イ 確認内部取引について事前確認の内容に適合した申告が行われているかどうか
    • ロ 同業法人比準法又は簿価資産資本比率比準法により国外事業所等帰属資本相当額を計算している場合に、事前確認の内容に適合した比較対象法人を用いているかどうか(確認内国法人が7-1(1)ロに定める比較対象法人について事前確認を受けた場合に限る。)
  • (3) 局担当課は、当該報告書の検討において、確認内国法人に接触する場合には、原則として、行政指導として行うことに留意し、確認事業年度において(2)に掲げる事項について事前確認の内容に適合した申告が行われておらず、国外事業所等帰属所得に係る所得の金額が過大となっていると疑われる場合には、当該確認内国法人に対して自発的な見直しを要請した上で必要に応じて修正申告書の自発的な提出を要請する。
     確認内国法人が行政指導に応じない場合には、調査に移行することに留意し、局担当課は国税通則法に規定する調査手続に従って調査を実施する。また、局担当課は、調査の結果、確認事業年度において(2)に掲げる事項について事前確認の内容に適合した申告が行われておらず、国外事業所等帰属所得に係る所得の金額が過大となっている事実が判明した場合には、当該確認内国法人に対し調査の結果を説明した上で必要に応じて修正申告書の提出が必要となる旨を説明する。
     なお、確認内国法人に対し調査又は行政指導に当たる行為を行う際は、対面、電話、書面等の態様を問わず、いずれの事務として行うかを明示した上で、それぞれの行為を法令等に基づき適正に行うことに留意する。
    • (注) 局担当課による行政指導により、当該確認内国法人が自主的に修正申告書を提出する場合には、当該修正申告書は、国税通則法第65条第1項及び第5項(過少申告加算税)に規定する「更正があるべきことを予知してされたもの」には該当しないことに留意する。
       また、修正申告書が同条第5項の調査通知後に提出された場合であっても、事前確認の内容に適合させるための部分は、同項に規定する「調査通知がある前に行われたもの」として取り扱うことに留意する。
  • (4) 局担当課は、必要に応じ当該報告書の検討結果を庁担当課に報告し、相互協議の合意が成立した事案については庁担当課を通じて検討結果を庁相互協議室に連絡する。

(事前確認に基づく調整等)

7-18 局担当課は、確認内国法人が確認内部取引の対価の額とした額の調整(以下7-18において「補償調整」という。)について、次の処理を行うよう指導する。

  • (1) 確認内国法人は、確認事業年度に係る確定申告前に、確認内部取引の対価の額とした額が事前確認の内容に適合していないことにより国外事業所等帰属所得に係る所得の金額が過大となることが判明した場合には、当該国外事業所等帰属所得に係る所得の金額を修正する。
  • (2) 確認内国法人は、確認事業年度に係る確定申告後に、確認内部取引の対価の額とした額が事前確認の内容に適合していないことにより国外事業所等帰属所得に係る所得の金額が過大となっていたことが判明し、かつ、外国税額の控除額(法第69条第1項(外国税額の控除)の規定による当該事業年度の所得に対する法人税の額から控除する額をいう。以下同じ。)が減少することにより、当該確認内国法人の納付すべき法人税の額が増加する場合には、速やかに修正申告書を提出する。
  • (3) 確認内国法人は、確認事業年度に係る確定申告前に、確認内部取引の対価の額とした額が相互協議の合意が成立した事前確認の内容に適合していないことにより国外事業所等帰属所得に係る所得の金額が過少となることが判明した場合には、当該国外事業所等帰属所得に係る所得の金額を修正することができる。
  • (4) 確認内国法人は、確認事業年度に係る確定申告後に、確認内部取引の対価の額とした額が相互協議の合意が成立した事前確認の内容に適合していないことにより国外事業所等帰属所得に係る所得の金額が過少となっていたことが判明し、かつ、外国税額の控除額が増加することにより当該確認内国法人の納付すべき法人税の額が減少する場合には、補償調整に係る相互協議の合意内容に従い、国税通則法第23条第2項(更正の請求)の規定に基づき更正の請求を行うことができる。

(事前確認の改定)

7-19 確認内国法人から、確認事業年度のうちのいずれかの事業年度において、事前確認を継続する上で前提となる重要な事業上又は経済上の諸条件等について事情の変更が生じたことにより事前確認の改定の申出がなされた場合には、7-1から7-18までの取扱いに準じて所要の処理を行う。

(事前確認の取消し)

7-20

  • (1) 局担当課は、次のイからハまでに該当する場合には、それぞれの事実の発生した事業年度以後の確認事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当する場合には、当該連結事業年度を含む。以下7-20において同じ。)について、ニに該当する場合には確認事業年度について、事前確認を取り消す旨を所轄税務署長等に連絡する。
    • イ 確認内国法人が7-19に定める事情の変更が生じたにもかかわらず事前確認の改定の申出を行わなかった場合
    • ロ 確認内国法人が確認内部取引について事前確認の内容に適合した申告を行わなかった場合
    • ハ 確認内国法人が7-16に定める報告書を提出しなかった場合又は当該報告書に重大な誤りがあった場合
    • ニ 事前確認の基礎とした事実関係が真実でない場合又は事前確認の申出の内容に重大な誤りがあった場合
  • (2) (1)の取消しの連絡を行う場合、局担当課は必要に応じ庁担当課と協議を行う。
  • (3) 相互協議の合意が成立した事前確認について(1)の取消事由が生じている場合には、局担当課は、庁担当課を通じ、庁相互協議室と協議し、当該事前確認につき事前確認を取り消す旨の相互協議の合意を受け、その旨を所轄税務署長等に連絡する。
  • (4) 所轄税務署長等は、確認内国法人に対し、局担当課から(1)又は(3)の連絡を受けたときは、速やかに、別紙様式5により作成した「内部取引等に係る事前確認の取消通知書」により事前確認を取り消す旨の通知を行う。

(事前確認の更新)

7-21 確認内国法人から事前確認の更新の申出がなされた場合には、7-1から7-20までの取扱いに準じて所要の処理を行う。

(確認対象事業年度前の各事業年度への準用)

7-22 確認申出内国法人から確認対象事業年度における事前確認の内容を確認対象事業年度前の各事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当する場合には、当該連結事業年度を含む。以下7−22において同じ。)に準用したい旨の申出があった場合において、その事前確認の申出が相互協議の申立てを伴うものであって、当該申出に係る独立企業間価格の算定方法等が確認対象事業年度前の各事業年度においても最も適切な方法であると認められるとき及び当該申出に係る国外事業所等帰属資本相当額の計算における比較対象法人が確認対象事業年度前の各事業年度においても適切と認められるときは、7−14、7−15、7−18及び7−20の取扱いに準じて所要の処理を行う。
 なお、確認対象事業年度前の事業年度が連結事業年度に該当する場合で、確認申出内国法人が当該連結事業年度において連結子法人であったときは、当該連結事業年度における当該確認申出内国法人の連結親法人であった法人が、確認対象事業年度における独立企業間価格の算定方法等を当該連結事業年度へ準用することについて同意していることを確認申出書等により確認する。この場合において、当該確認申出内国法人の所轄税務署長等は、当該確認申出書等の写しを当該法人の所轄税務署長等に送付する。

  • (注) 本文の取扱いにより事前確認の内容を準用することができる事業年度は、平成28年4月1日以後に開始する事業年度に限ることに留意する。

(事前確認の申出と調査との関係)

7-23

  • (1) 内国法人が確認対象事業年度の前の各事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当する場合には、当該連結事業年度を含む。以下7−23において同じ。)について調査が行われている間に、当該法人が事前確認の申出を行ったとしても、当該調査は中断されない。
  • (2) 内国法人が事前確認の申出を行ったとしても、確認対象事業年度の前の各事業年度に係る調査の開始は妨げられない。
  • (3) 事前確認に係る手続が行われている間は、確認対象事業年度に係る申告の内容(確認対象内部取引に係る独立企業間価格の算定方法等及び国外事業所等帰属資本相当額の計算方法に限る。)については調査を行わない。
  • (4) 調査に当たっては、内国法人から事前確認審査のために収受した資料(事実に関するものを除く。)は使用しない。ただし、当該資料を使用することについて当該内国法人の同意があるときは、この限りではない。

(別添)