「宿泊税」が問う、私たちの未来

大井町立湘光中学校 3年 椎野 亮

日本には五十を超える種類の税がある。所得税、住民税、固定資産税、酒税……私たち中学生に馴染み深いものだと、消費税もある。税金が私たちの生活を支えていることは、もはや言うまでもない。だが私は最近税金について、もやもやするニュースをみた。それは「宿泊税」である。
 そもそも、「宿泊税」とは何なのか。恥ずかしながら、つい先日まで知らなかった。神奈川随一の観光名所である箱根が導入を検討している、というニュースで初めて聞いたくらいだ。調べてみると、「宿泊税」とは「宿泊施設の利用客に対して課せられる税金」と出てきた。では、なぜこの税の導入が今、叫ばれているのだろうか。
 理由を知るにつれて、段々とそう単純な問題ではないことがわかった。まず「宿泊税」の目的とは大きく分けて二つある。一つ目は、観光施設の整備や運営などを行うため。昨今では、人口減少による税収の減少などで観光事業に充てる費用を確保することが難しいところもあるので、その確保に充てられる。二つ目は、観光客が増えることで生じるごみ問題や交通渋滞問題などに対応するため。一つ目とも関連しているが、観光に関わる費用を、税として観光客自身に負担してもらうことで、市民たちの負担を減らすことに繋がる。
 つまり、観光客と市民の共生を目指した政策であるといえる。このように良いことばかりのように感じられる「宿泊税」だが、一方で反対の声もある。星野リゾートの代表である星野佳路氏は、「宿泊税は消費者の負担額を増やします。消費者の負担額を増やせば需要が必ず落ちる。」と述べている。落ちた需要を戻すためには、観光地側が値段を下げるしかないので、結局負担するのは観光地である、という考えだ。
 箱根では、まだ具体的にどの程度の金額になるのか等の詳細は発表されていない。だが、確かに何の対策もしなければ星野氏の指摘するような事態になりそうである。
 この「宿泊税」に関する話は、ただ観光客が払うお金が増えるかもしれない、で終わってはいけない話だと思う。なぜなら、この話には少子高齢化、ごみ問題、交通渋滞などの様々な社会問題が裏に潜んでいるからだ。そこを無視して、簡単な「宿泊税を導入するか、しないか」の二元論に持ち込んでしまうのは危ういことだと思う。私には少なくとも、宿泊税導入とは関係なく、観光客によるゴミ問題や交通渋滞を解決する方法について考えていくことが必要だと感じた。
 税が、私たちが健康で安心して豊かな生活を送るために欠かせないものであることは間違いないだろう。しかしそのような認識だけで、税について何も知ろうと、考えようとしないことは間違っている。私たち自身がより良い未来を創っていくためにも、もっと税や社会に対して関心を向けて生きていきたい。