離島のくらしと価値を高める私達の税金
学校法人桐蔭学園中等教育学校 3年 小室 理紗
今年の夏、房総半島の富津市金谷に行く機会があった。そこで金谷から久里浜まで東京湾を結ぶフェリーがあることを知った。夏休みということもあり、金谷は混雑している様子だったが、東京湾アクアラインの開通後、利用客が減っているという。オフシーズンも入れた年間全体でみると赤字であり、それを支えるために国を含めた行政庁からの補助が行われている。人口が多いと言われる東京湾内を結ぶ東京湾フェリーでさえ、赤字ということであるなら、日本全国にある離島を本土と結ぶ船の航路も採算をとるのは難しいのではないかと考え、日本の離島と航路の問題について調べてみることにした。
日本には一万四千以上の島があるが、そのうち人が居住する島は、約四百ほどある。そして、それらの島々と北海道・本州・四国・九州等本土とを結ぶ約二八〇の航路が生活航路として存在している。そのほとんどの航路において、経営は赤字であり、その赤字を補填し、生活交通の維持確保のために国による補助金制度があることがわかった(離島航路補助制度)。この補助金額は、年間約七〇億円近い金額が国より補助され、このことにより、生活航路が維持されている。
これらの生活航路は、島々に暮らす人々にとって、公共交通と言えるものであるが、かつてのローカル鉄道がたどった道のように収益性だけを考えて廃止を行うようなことは、船に代わる交通手段の見当たりにくい離島において受け入れられるものではない。
さらに日本は、本土を除いた多くの島々で国土が構成され、その離島に人が住むからこそ領海が守られ、領土が守られているという側面もある。つまり離島航路というものは、離島に暮らす人々のためだけではなく、国にとって必要不可決なものであり、日本が日本である由縁ともなる重要な生命線でもある。
そして、この離島航路を支える補助金は、国民の税により賄われている。税制度は、国家による資源の再配分とも言われる。この離島航路と補助制度を通じて、都市部に暮らす人々が、物理的にも生活的にも関係性があまりない遠くの離島から国土保全と領海の確保という恩恵を受けるために、税金制度が機能し欠かせないものだということがわかった。
税金というと納付しなければならないものという認識しかなかったが、今回の作文を通して、身近に感じる教育や福祉、公共事業関係の分野だけではなく、普段何気なく過ごしているだけでは気づかない、様々な分野で有効に活用されているのだということを改めて理解することができた。将来の納税者である私たちは、税金に対して学びを深め、納税の意義や役割、税金の正しい使い道を判断できる大人になることが期待されていると思う。そんな大人になれるよう、これからも税金に対して関心を持ち続け、幅広い視野をもてるようにしたいと思う。