未来のための税制

慶應義塾普通部 2年 木村 俊祐

私は、開業医の父から昔、ある話を聞いたことがある。それは、経費についてだ。経費というのは、仕事に関する費用のことだが、自営業をする人は使うことが多いそうだ。例えば父の場合は、車を買う際に通勤に必要として部分的に経費で落とせた。このようにすると、売上から経費で落とした後の利益での金額の方が払う税が減るのだ。勿論この場合は合法だが、世には経費の不正計上が起こっているのは事実だ。ではなぜここまでするかというと、「累進課税制度」というものがあるからだと私は考えた。そこで、累進課税制度の利点と問題点を指摘したいと思う。
 そもそも、累進課税制度とは、課税対象となる金額が高くなるにつれ税率も高くなる制度である。つまり、所得税で言うと、所得が高い人ほど所得に対する税の割合が多くなるということだ。日本に取り入れられたのは1887年で、この頃は、世界的に社会主義運動が盛んになっており、資本主義社会によりできた労働者階級による貧富の差が顕著になっていたのだ。そこで、貧富の差をできるだけ減らす取り組みの一環として累進課税が取り入れられたのだと私は考えた。よって、利点としては、高所得者の再配分を促し、格差の是正につながることである。最近では、子供の教育は親の所得の差に関わっていることが問題視されているのも事実である。しかし、この制度はデメリットも懸念される。それは、高所得者の投資などの経済活動を抑制し、労働に対するモチベーションを低下させることに繋がる可能性があるからだ。さらには、過度な課税になると、高所得者の政府への反感などから、政府と国民の間での信頼を失う恐れもある。
 そこで、累進課税の問題点に対する改善策を挙げたい。まずは累進率の引き下げである。やはりお金を稼ぐことに対する意欲を維持することは、日本の将来を支える上で重要だと私は考えた。そして、持続可能な税制を作ることも必要だろう。一例として、フランスでは、子供にも所得を分配させ、それぞれに所得税を課すという制度がある。これにより、納税額を下げようと子供を増やそうとする家庭が増え、日本でも深刻化している少子化を抑制する効果が与えられるのだ。さらに、子供の増加によって人口が増えると、将来的に回収する税も増えることが予測できるのである。
 日本政府が重要視している「弱者救済」。勿論それは必要なことであるが、過度な救済によって労働意欲を失い将来的に国の衰退に繋がっていく恐れも大いにある。私達の身近には税金が大きく関わっており、税金に救われることもある。だからこそ、納税する国民にとって納得できる形かつ持続可能な課税をすることが、今の日本に必要なことだと私は考えた。