時に心理の支柱となる

横浜市立茅ケ崎中学校 3年 岩前 新華

税は災害復旧や緊急対策にも使われている。学校でそう教わった。近年、私の住む地域では大きな災害は発生していないため、緊急対応における税の効力を私は知らない。しかし気になるテーマだったので私は自分を含む、全人類が混乱に陥った「あのパンデミック」に着目して税の役割について考えた。
 新型コロナウイルスが世界中で大流行し、人々の生活には感染への恐怖が張りついていた。そんなある日、ネットニュースで北米の大都市の映像を見た。高額なワクチンや医療費の不公平に抗議する人々が街頭にあふれ、生命や生活の格差に対する不安が暴力となって表われていたことを鮮明に覚えている。一方、日本では大きな騒動はなかったと記憶している。私はこの違いは我が国の税の役割と深く関係しているのではないかと考えた。
 海外では、大規模なロックダウンで職を失い生活に困った人々が十分な補償を得られず怒りを爆発させていた。また医療費が高額で人命に格差が生まれてしまう国家も多くあった。感染が確実に拡大していくなかで物資や経済的な支援が追いつかず、不安を感じる人も多かっただろう。けれど私たちが住むこの国ではワクチン接種もPCR検査も無料で受けることができた。さらに仕事を失った人への給付金や医療費の補助もあったと聞く。そしてこれらは全て税によって支えられているしくみだ。ではあの時、私たちが得たものが経済と生活の補償だけだったのだろうか。
 ワクチンの接種会場で長い列に並ぶ人々を思い出し、私は税の力を実感した。自分たちの生活、権利、命が平等に守られているという安心には不安やいかりを抑える効果がある。パンデミックで世界中がネガティブな感情に支配されているなか、心に一定のゆとりを持ち、互いに助け合い、協力して困難な時期を越えることができた我が国の背景には私たちが今まで払ってきた税が、私たちの心理バランスの支柱として存在していたのだろう。
 税によって整えられた制度は、危機が訪れたときに初めてその存在価値を示してくれる。普段は見えないけれど、確かに存在する、私たちが愛する国の支柱なのだ。
 税の効力を理解し、税に支えられている私たちの家族や友人、将来の自分を想い、私も大きな支柱の片端になれたのなら。きっと、希望と共にこの国で生きてゆけるのだろう。