税で繋がる私達

小学校卒業前、お別れ遠足で遊園地へ出向き、友達とアトラクション乗車中に「てんかん」という病気を発症した。アトラクションが停止していざ降りようという時に隣にいた友達が私の異変に気づいてくれたようだ。意識が戻った時、たくさんの大人たちが私の顔を覗き込んでいた。しばらくすると園内に救急車が来て、そのまま近隣の病院に搬送された。私に「てんかん」という診断が下りたのは初めての発作から三ケ月ほど経過した頃だった。それまでに何度か発作を繰り返し、その度に救急車に乗り、さまざまな検査を受けた。今は薬がよく効いて発作の頻度はかなり落ち着いている。発作や搬送、通院、投薬と私一人の治療にどのくらいの人が関わってくれているのだろうと母と話した日があった。救急隊の方だけで3人、病院では3、4人の方が私に関わってくれる。学校に先生や両親、友人たち、思いつくだけでも20人は超える。すると、母は「受診して、検査を受けて、薬を処方してもらってどのくらいのお金がかかると思う?救急車に乗るには、いくら払う必要がある?」と言った。私はさっぱり分からなかった。そしてこの時、母との会話から私の命や健康が守られ、安心した日々を過ごせるのは、税金や社会保険という支えがあるからだと知った。私の健康に関わって下さっているのは20人どころではなかった。道ですれ違う名前も知らない人、顔も見たことのないたくさんの人たちの存在があってこそだったのだと学んだ。私は税金で自分が支援されているとは考えた事もなかった。今回、税について調べてみると、毎日歩く通学路やゴミの収集、上下水道事業など生活と直結した様々な面が民間の経済活動では生み出す事ができないものが税金や保険料によって支えられていると知った。「高齢者や生活困窮者などの偏った人々への福祉の支援が手厚くなっているのではないか」「増税反対」「税金は必要がない」という考え方にも触れた。税金について否定的に思ったり、考えたりすることが悪いとは言い難く、その考えを否定することは誰にもできないことだ。だが、私はそれでもたくさんの人に税金の大切さを知ってほしいと思っている。未来を生きていく私たちは、税金についてより正しい情報を得て、意見を持たなければならない。私は自分の経験をもとに、税によって繋がる社会を感じ、伝えていきたい。そしてまた、いつか納税の義務を負う日が来たら、安心安全を守ることのできる社会に貢献したい。