「税」による助け合い
練馬区立石神井中学校 3年 山上 璃子
2024年1月1日、令和6年能登半島地震。親戚一同集まり、新年のお祝いムードで食卓を囲っていた時に、目に飛び込んできた、その惨憺たる出来事に、私は雷に打たれたような衝撃を受けた。再従姉妹と共に楽しんでいたお正月のお笑い番組は中断され、テレビはどのチャンネルをつけても地震のニュースで持ち切りだった。部屋中に響く緊急地震速報。避難を促すアナウンサーの声。大きく揺れる現地の映像。幼い子どもまでが、じっと黙って、ただ画面を見つめていた。その当時私がいた福岡県は揺れぞしなかったものの、私も地震大国日本に住んでいる身だ、とても他人事とは思えなかった。
翌日、「現在の現地の様子」というテロップとともに映し出される倒壊した建物や津波被害に、私はまた衝撃を受けた。いち早くの復興を願うと同時に、その莫大な費用は一体どこから発生しているのだろう、私には何ができるのだろう、といった疑問が浮かんだ。
調べてみると、地震の復興にはやはり税金が使われていることが分かった。具体的には、『復興特別所得税』と呼ばれるもので、東日本大震災の際に復旧・復興事業の財源確保を目的に創設されたそうだ。勿論これは能登半島地震の復旧・復興事業にも使われている。
『復興特別所得税』は地震大国日本には必要不可欠であり、私たちを助けてくれる大切なものといえるだろう。東京に住む私は、『復興特別所得税』のおかげで東日本大震災からの復興を果たしたため、今暮らせている。では今度は私たちが能登半島を助けようではないか。助け合いの輪は日本のカルチャーではないか。「納税することで被災地の人々を助けることができる。また、自分たちもそうして助けられてきた。」このような考えをもって、「税」を前向きに捉えてほしいと思う。
税率が引き上げられると決まって批判の声が飛び交うため、大した根拠もないが、正直私も「税」には依然として悪い印象を抱いていた。しかし今日、『復興特別所得税』を知ることで、それを払拭することができたように思う。「税」は私たちの暮らしには欠かせないもの、人々を助けるもの、明るい未来のためのもの、といった認識に改められた。
知ることは考えを改めるきっかけであり、固定観念を覆してくれる。人々は批判する前にその対象をよく知るべきだ。「税」はもちろん、『復興特別所得税』の他にも数多に存在する。私はこれからそれらについて学び、その重要性とありがたみを知る。そして、前向きに捉え、流布させ、未来につなげていきたいと思う。