「未来への貯金」

千葉市立末広中学校 3年 香川 莉音

「生きる力をもらった。」自衛隊の災害派遣活動を受けた人の言葉であるそして、私の税に対する考えが変わった言葉でもある。
 昨今、大きな地震が続いている。今年に入り、1月の能登半島沖地震、8月の宮城県日向灘の地震など、震度6弱以上の地震が二度も起こっている。巨大地震が起き、大きな被害や日本中の混乱を救うために自衛隊が派遣される。被災地に向かう勇ましく頼もしい背中を見たとき、誰もが安堵し、活動に期待を寄せるだろう。
 国民の生活を守る自衛隊の給与や設備が税金で賄われていることはとても重要である。しかし、世間には納税や課税ということに対して負のイメージを抱いている人も多い。私も限られたお小遣いの中で物を買うとき、消費税が無ければもっと多く買えるのにと不満を抱いたことがある。しかし、納税は悪いことだけなのだろうか。私は税に対する人々の意識を変えていくことが必要だと考える。
 納税は国民の義務であると共に、公共のサービスなどを受けるための「会費」という言葉を耳にする。それよりも、私は、税は「未来への貯金」という表現を提案したい。誰かの「未来」の生活を支えるための「貯金」である。その恩恵を受けるのは、自分の子供かもしれないし、名前も知らない人かもしれない。けれど、税は輪のようにめぐり、いつか自分のもとにも返ってくるものだと考える。その輪はめぐり続け、市から県、国、世界を支える壮大な輪となるだろう。
 私達は日常の中で、年金支給や医療費免除、教科書の無料配付や公共施設の運営など、福祉から安全、教育まで幅広い分野において税金に支えられている。上記の中には、今の自分には直接関係がないようなものもあるだろう。しかし、今私達が当たり前だと思っている日常は、過去からの「貯金」のおかげで成り立っていることを忘れてはいけない。私達も過去の人がしてくれたように、「貯金」をして、幸せの輪を未来へとめぐらせていくべきではないだろうか。
 この先、超高齢化や少子化、地球温暖化等の対策のため、増税は避けて通れないだろう。経済的な負担も増えると思われる。けれど、納税や課税に対して負の側面ばかり見るのではなく、未来のため、誰かのためと前向きに捉える人が増えたら良いなと考える。そして、自分も納税をすることで、互いに支え合う社会の一員だという自覚を持ちたい。また、消費税や住民税、所得税など、自分や家族の身の回りにある税について学び、これからの社会を支える一員として、誰かの生きる力になりたい。