別紙

1 事前照会の趣旨

船橋市では、平成21年4月から「船橋市定額給付金給付事業実施要綱」及び「船橋市子育て応援特別手当支給事業実施要綱」に基づく定額給付金及び子育て応援特別手当(以下「定額給付金等」といいます。)の申請の受付を開始しています。
総務省が定めた「定額給付金給付事業費補助金交付要綱」及び厚生労働省が定めた「子育て応援特別手当交付金支給要領」によれば、定額給付金等は、世帯主に対して給付することとされているため、世帯主と別居しているDV被害者(「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」第1条第1項に規定する配偶者(婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含みます。)からの暴力を受けている者をいいます。)及びDV被害者と同居する者(以下、これらの者を「DV被害者等」といいます。)は給付を受けることができないことが想定されます。そこで、船橋市では、定額給付金等を受け取ることができないDV被害者に対し、景気後退下における生活支援及び子育て負担の軽減を図ることを目的として、定額給付金等相当額をひまわり応援手当として給付することとしました。
下記2の事実関係において、船橋市がDV被害者に給付するひまわり応援手当は、非課税所得に該当するものであり、給付を受けたDV被害者は、ひまわり応援手当について所得税を課されないものとして取り扱ってよろしいか伺います。

2 事前照会に係る事実関係

(1) 定額給付金給付事業

定額給付金給付事業は、景気後退下での住民の不安に対処するため、住民への生活支援を行うことを目的とし、あわせて、住民に広く給付することにより、地域の経済対策に資するものとして定額給付金を給付するものであり、国庫を財源に船橋市が事業主体となって給付するものです(船橋市定額給付金給付事業実施要綱(以下「定額給付金実施要綱」といいます。))。

  • イ 給付対象者(定額給付金実施要綱第2条第2項)
     平成21年2月1日(以下「基準日」といいます。)において、次の1又は2のいずれかに該当する者
    • 1 船橋市の住民基本台帳に記録されている者
    • 2 船橋市の外国人登録原票に登録されている者
  • ロ 申請・受給者(定額給付金実施要綱第2条第3項)
     給付対象者の属する世帯の世帯主(外国人登録原票に登録されている者は本人)
  • ハ 給付額(定額給付金実施要綱第3条)
     給付対象者1人につき12,000円。ただし、年齢65歳以上の者(昭和19年2月2日以前に出生した者)及び18歳以下の者(平成2年2月2日以後に出生した者)については20,000円。
  • ニ 給付方法(定額給付金実施要綱第6条)
     振込先口座を記載した申請書と本人確認書類を船橋市に郵送して口座振込により受給します。ただし、口座振込が困難である場合は、申請書を窓口で提出して現金により受給することができます。

(2) 子育て応援特別手当支給事業

子育て応援特別手当支給事業は、多子世帯の幼児教育期における子育てを支援することを目的として、幼児教育期にある第2子以降の子がいる世帯の世帯主に対して、子育て応援特別手当を支給するものであり、国庫を財源に市町村が事業主体となって給付するものです(船橋市子育て応援特別手当支給事業実施要綱(以下「子育て応援特別手当実施要綱」といいます。))。

  • イ 支給対象となる子(子育て応援特別手当実施要綱第2条(3)、別記2)
     基準日において、次の1又は1のいずれかに該当する者
    • 1 世帯に属する年齢3歳以上18歳以下の子(平成2年4月2日から平成17年4月1日までに出生した者)が2人以上いる世帯の第2子以降である就学前3学年の子(平成14年4月2日から平成17年4月1日までに出生した者)で、船橋市の住民基本台帳に記録されている者又は船橋市の外国人登録原票に登録されている者
    • 2 世帯に属する就学前3学年の子(上記1に該当する者を除きます。)が世帯主又は世帯主以外の者に扶養されている場合で、世帯主又は世帯主以外の者に扶養されている年齢3歳以上18歳以下の子が2人以上いる世帯の第2子以降である就学前3学年の子で、船橋市の住民基本台帳に記録されている者又は船橋市の外国人登録原票に登録されている者
  • ロ 申請・受給者(支給対象者)(子育て応援特別手当実施要綱第2条(2)、別記1)
     支給対象となる子の属する世帯の世帯主(又は外国人登録原票に登録されている者)
  • ハ 支給額(子育て応援特別手当実施要綱第3条第2項)
     支給対象となる子1人につき36,000円
  • ニ 支給方法(子育て応援特別手当実施要綱第6条)
     上記(1)ニと同じ。

(3) ひまわり応援手当給付事業

ひまわり応援手当給付事業は、DV被害者等のうち定額給付金等を受領することができない者に対し、景気後退下における生活支援及び子育て負担の軽減を図ることを目的としてひまわり応援手当を給付するものであり、船橋市において独自に「ひまわり応援手当給付事業実施要綱(以下「ひまわり応援手当実施要綱」といいます。)」を定め、ひまわり応援手当実施要綱に基づき、国庫からの交付金を使用せず、船橋市独自の財源で給付するものです。

  • イ 給付対象者(ひまわり応援手当実施要綱第2条第2項)
     基準日において、船橋市又は船橋市以外の公的機関が行う配偶者からの暴力に関する相談その他配偶者からの暴力被害に対する行政サービスを受けている船橋市に居住しているDV被害者等であって、次の1又は2のいずれかに該当する者
    • 1 住民基本台帳に記録されている居住地以外に居住している者
    • 2 外国人登録原票に登録されている居住地以外に居住している者
  • ロ 申請・受給者(ひまわり応援手当実施要綱第2条第3項)
     給付対象者のうちDV被害者
  • ハ 給付額(ひまわり応援手当実施要綱第3条)
    • 1 生活応援手当・・・上記(1)ハと同額
    • 2 子育て応援手当・・上記(2)イ1の子の数に応じて1人につき36,000円
  • ニ 給付方法(ひまわり応援手当実施要綱第6条)
     郵送された申請書と本人確認書類を船橋市に郵送して口座振込又は現金給付により受給します。ただし、申請書が郵送されていない場合でも、船橋市窓口へ直接申請することで受給することができます。

3 事前照会者の求める見解となることの理由

(1) 定額給付金の所得税法上の取扱い

定額給付金については、所得税を課さないこととされており、所得税法上、非課税所得とされています(措法41の8、措規19の2)。

(2) 子育て応援特別手当の所得税法上の取扱い

子育て応援特別手当については、定額給付金のような税法上の特段の規定がないため、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得及び譲渡所得以外の所得のうち、営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の一時の所得で労務その他の役務又は資産の譲渡の対価としての性質を有しないことから一時所得に該当すると考えられています(所法34)。

(3) ひまわり応援手当の非課税所得該当性

定額給付金実施要綱及び子育て応援特別手当実施要綱において、定額給付金等の申請及び受給を行うことができる者は、給付対象者及び支給対象となる子の属する世帯の世帯主とされており、世帯主以外の者は、定額給付金等の申請及び受給を行うことはできません。
ひまわり応援手当は、本来、定額給付金等の給付対象者及び支給対象となる子としての地位をもつDV被害者等に対して、給付を受けられない事情に配意するとともに、定額給付金等相当額を給付するという点において、心身又は資産に対して加えられた損害につき支払を受ける相当の見舞金として取り扱われるものと考えられます。
したがって、DV被害者が給付を受けたひまわり応援手当は、所得税法第9条第1項第16号及び所得税法施行令第30条第3号に規定する非課税所得に該当すると考えます。

(4) ひまわり応援手当の取扱い

以上のことから、ひまわり応援手当は非課税所得に該当するものであり、給付を受けたDV被害者は、ひまわり応援手当について所得税を課されないものと考えます。