別紙

1 事前照会の趣旨
事業又は不動産貸付業(以下「事業等」といいます。)を営む個人が、下記2に記載のとおり、オプション料を支払って金利キャップ・オプションを取得した場合の当該オプション料の取扱いについて、所得税法には具体的な規定がありません。
当行では次のとおりと考えていますが、その是非についてお伺いしたく照会いたします。
  1. (1) 金利キャップ・オプションにより受け取る超過金利相当額の取扱い
    金利キャップ・オプションについて、その購入者である個人が営む事業等の必要経費としての借入金に係る金利変動による負担を軽減するもの(以下「負担軽減金利キャップ・オプション」という。)と認められる場合には、超過金利相当額の受取りが確定した日の年分の事業所得及び不動産所得の金額の計算上、総収入金額に算入する。
    1. (注) 金利キャップ・オプションが、負担軽減金利キャップ・オプションに該当するか否かについては、丸1当該金利キャップ・オプションに係る想定元本が当該借入金額以下であり、かつ、丸2当該金利キャップ・オプションの取得と当該借入金の実行が同時期で、対象とする期間も同一であるなど金利キャップ・オプションと当該借入金との関連性を総合勘案して判断することとなる。
  2. (2) オプション料の取扱い
    負担軽減金利キャップ・オプションの購入者が支払ったオプション料は、事業所得又は不動産所得の金額の計算上、負担軽減金利キャップ・オプションの契約期間に合理的に配分して各年分の必要経費に算入する。
 
2 事前照会に係る取引等の事実関係
  1. (1) 借入金
    事業等を営む個人が、その事業等に係る資金として当行から1億円を借り入れ(償還期間5年)、変動金利(当行の短期プライムレート+0.5%)による金利の支払をすることとします。
  2. (2) 金利キャップ・オプション
    上記(1)の借入れと同時に、当行と金利キャップ・オプションに係る契約を締結し、その内容は次のとおりとします。
    1. イ 上記(1)の借入れに係る当行との金銭消費貸借契約に付随する契約として締結される。すなわち、当該金銭消費貸借契約と同時期及び同期間の契約であり、当該金銭消費貸借契約に基づく債務が期限前に完済された場合、又は期限の利益を喪失した場合には、金利キャップ・オプションに係る契約も同時に解約される。
      また、当該金銭消費貸借契約に係る契約上の地位が、他の者に承継される場合には、金利キャップ・オプションに係る契約上の地位も承継人に承継される。
    2. ロ 金利キャップ・オプションの想定元本は、当該金銭消費貸借契約の金額を超えることはない。
    3. ハ 想定元本:1億円、期間:5年間、対象金利:当行の短期プライムレート、上限金利:2.25%、オプション料:651万円、金利交換:年4回
  3. (3) 超過金利相当額
    上記(2)の金利キャップ・オプション取引に係る契約の締結により、当行の短期プライムレートが上昇し上限金利の2.25%を超過した場合、その上限金利を超過した金利相当額を受け取り、上記(1)の借入金に係る支払金利に充当することとします。
    これにより、実質的に当該借入金に係る変動金利の上限を設定することになります。
 
3 事前照会者の求める見解となることの理由
  1. (1) 超過金利相当額について
    金利キャップ・オプションは、契約により設定した上限金利よりも借入金に係る対象金利水準が上昇した場合において、その上限金利に対する超過金利相当額を金銭で契約者が受け取ることができます。そして、金利キャップ・オプションが、負担軽減金利キャップ・オプションに該当する場合には、この超過金利相当額については、当該事業等に付随するものとして事業所得又は不動産所得の金額の計算上、総収入金額に算入すべきものと考えます。
    この場合、金利キャップ・オプションが、負担軽減金利キャップ・オプションに該当するか否かに関する基準は、所得税法に規定されていませんが、金利キャップ・オプションの想定元本が借入金の金額以下であり、かつ、当該金利キャップ・オプションの取得と当該借入金の実行が同時期で、対象とする期間も同一である場合には、当該借入金の金利変動による負担を軽減することにつながるため、負担軽減金利キャップ・オプションに該当するものとして取り扱ってよいものと考えます。
  2. (2) オプション料について
    負担軽減金利キャップ・オプションを購入する個人は、売主である当行にそのオプション料を支払います。
    当該オプション料は、その関連する事業所得又は不動産所得の金額の計算上、金利キャップ・オプションの契約期間において、合理的に配分し各年分の必要経費に算入することが相当と考えます。
  3. (以上)
 

 

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