別紙

1 事前照会の趣旨
当会では、昭和58年4月1日より年金共済制度(以下「本件年金制度」という。)を実施してまいりましたが、運用難により財政状況が悪化し、掛金を下回る事態となり本件年金制度を廃止することとなりました。
本件年金制度の廃止に伴い、受給者及び加入者に対し一時金(以下「本件一時金」という。)を支払うことになりますが、本件一時金の額は、元本を下回ることになります。
この場合の元本を下回る金額は、次の理由により、雑所得の金額の計算上生じた損失として、他の雑所得の金額の範囲内で通算できると考えてよろしいでしょうか。
  1. (1) 本件年金制度の年金資産の運用は、業務委託として、投資顧問会社を含む金融機関と契約し、間接的に投資の損失と考えられること。
  2. (2) 受給者は、受給時に配当相当分を雑所得として申告していること。
  3. (3) 本件年金制度では、利回りが確定しており、これに伴った確定年金額となっていること。
  4. (4) 現在、22,673名の加入者がおり、全国に散らばっていること。
  5. (5) 最終的に元本割れが確実なこと。
 
2 事前照会に係る取引等の事実関係
  1. (1) 支払対象者
    加入者  16,298名
    受給者   6,375名       合計  22,673名
  2. (2) 本件年金制度の廃止に伴う返還金額
    1. イ 加入者に対しては、掛金相当額の85%を返還する。
    2. ロ 受給者に対しては、掛金相当額の85%から支払済年金額(掛金相当額+配当金相当額)を差し引いて返還する。
      掛金相当額の85%を超えて年金を支給済みの受給者に対しては、5,000円を支払う。
  3. (3) 具体例
    1. イ 加入者の場合
      掛金相当額 179,184円 ・・・ 丸1
      事務費掛金 3,504円 ・・・ 丸2
      返還予定金額 ( 丸1丸2 )× 85% = 149,328円
      元本割れ金額 丸1 − 149,328円 = 29,856円
    2. ロ 受給者の場合
      掛金相当額 2,373,372円 ・・・ 丸1
      支払済年金額 1,997,600円 ・・・ 丸2
      うち支払済掛金 1,087,796円 ・・・ 丸3
      うち支払済配当金 909,804円
      返還予定金額 丸1 × 85% − 丸2 = 19,766円
      元本割れ金額 丸1丸3 − 19,766円 = 1,265,810円
 
3 2の事実関係に対して事前照会者の求める見解となることの理由
雑所得の金額については、所得税法第35条第2項第2号において、その年中の雑所得(公的年金等に係るものを除く。)に係る総収入金額から必要経費を控除した金額と規定されています。
上記2(3)ロのケースを当該規定に当てはめると、収入金額19,766円、必要経費(丸1丸3)1,285,576円、差引き1,265,810円の損失となります。
したがって、当該損失額は、他の雑所得の金額の範囲内において通算できるものと判断されます。
  1. (以上)
  2.  

 

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