別紙

1 事実関係
当社では、適格退職年金契約による退職給付を実施していましたが、従業員については、平成15年1月1日に確定拠出年金制度に移行し、年金受給者、受給待期者(定年前に退職した者のうち、年金の受給資格のある者で60歳に達していない者をいいます。)及び遺族年金受給者(以下、「年金受給権者」といいます。)には、従来の適格退職年金を継続し、現在に至っています(以下、当該年金受給権者のみを対象とした適格退職年金を「閉鎖年金」といいます。)。
今般、閉鎖年金を廃止するに際し、各年金受給権者に対し、年金現価相当額をそれぞれ一時金として支払うことになりましたが、閉鎖年金の資産総額が当該年金現価相当額の合計額に満たないため、次の方法により算定した一時金を閉鎖年金及び当社から各年金受給権者に対してそれぞれ支払うこととしています。
  1. (1) 閉鎖年金から支払われる一時金(以下「閉鎖年金一時金」といいます。)
    閉鎖年金の資産総額を各年金受給権者に係る年金現価相当額に応じてあん分した金額
  2. (2) 当社から支払われる一時金(以下「会社一時金」といいます。)
    各年金受給権者に係る年金現価相当額から上記(1)の閉鎖年金一時金を控除した金額
 
2 照会の趣旨
閉鎖年金及び当社から各年金受給権者に対して支払われる一時金の所得区分について、次のとおりの取扱いでよろしいか伺います。
  1. (1) 閉鎖年金一時金の取扱い
    1. イ 年金受給者に対して支払われる一時金は、一時所得となる。
    2. ロ 受給待期者に対して支払われる一時金は、退職所得となる。
    3. ハ 遺族年金受給者に対して支払われる一時金は、一時所得となる。
  2. (2) 会社一時金の取扱い
    1. イ 年金受給者に対して支払われる一時金は、退職所得となる。
    2. ロ 受給待期者に対して支払われる一時金は、退職所得となる。
    3. ハ 遺族年金受給者に対して支払われる一時金は、一時所得となる。
 
3 事前照会者の求める見解となることの理由
  1. (1) 閉鎖年金一時金の取扱い
    1. イ 年金受給者及び受給待期者
      適格退職年金制度は、事業主と生命保険会社又は信託銀行との間で退職年金の支給に関する生命保険契約又は信託契約を締結し、事業主自らが契約当事者となって退職年金制度を実施しているものです。
      そして、所得税基本通達31−1《厚生年金基金等から支払われる一時金》(1)において、適格退職年金契約に基づいて支給される年金の受給資格者に対しその年金に代えて支払われる一時金のうち、退職の日以後当該年金の受給開始日までの間に支払われるもの(年金の受給開始日後に支払われる一時金のうち、将来の年金給付の総額に代えて支払われるものを含む。)は、退職所得とされています。
      閉鎖年金の廃止により年金受給者に支払われる閉鎖年金一時金は、年金資産を基礎として算定されるものであって、年金現価相当額が支払われるものではないことから、同通達に定める「将来の年金給付の総額に代えて支払われるもの」には該当しないため、退職所得には当たらず、一時所得(所法34丸1、所基通34−1(4))となると考えます。
      また、同通達によると、受給待期者の場合には、将来の年金給付の総額である必要はなく、将来の年金給付の一部である場合においても退職所得として取り扱われると解することができますので、受給待期者に支払われる閉鎖年金一時金は、退職所得となると考えます。
    2. ロ 遺族年金受給者
      適格退職年金契約に基づき死亡した者の遺族に支給される年金(遺族年金)については、所得税法上、非課税とされていますが(所法9丸1三ロ、所基通9−2(2))、適格退職年金制度の廃止に伴い遺族年金受給者に支払われる閉鎖年金一時金は、遺族に支給される年金(遺族年金)ではないことから非課税とはされず、一時所得として取り扱われると考えます。
  2. (2) 会社一時金の取扱い
    1. イ 年金受給者及び受給待期者
      年金受給者及び受給待期者の退職時の就業規則には、「勤続1年以上の社員が退職したときは、別に定める年金規約により退職年金又は退職一時金を支給する。」と定められており、これらの就業規則及び年金規約(適格退職年金契約)に基づき、当社は退職年金又は退職一時金に関する給付義務を負うものと考えます。
      したがって、当該給付義務に基づき当社から年金受給者及び受給待期者に対して支払われる会社一時金は、使用者から過去の勤務の対価として追加的に支払われるもの、すなわち退職金の追加払いとして退職所得となると考えます。
    2. ロ 遺族年金受給者
      遺族年金受給者に対する会社一時金は、遺族年金に係る給付義務に基づいて当社が遺族に対して支払うものであり、遺族にとっては対価性のない一時の所得と認められることから、一時所得として取り扱われると考えます。
  3. (以上)
 

 

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