別紙

1 事前照会の趣旨
所得税法第210条及び第212条第3項では、居住者又は内国法人に対し国内において事業者が10人以上の匿名組合員と締結している匿名組合契約に基づく利益の分配につき支払をする者は、その支払の際に源泉徴収しなければならないとされています。
当行では、厚生年金基金契約、確定給付年金資産管理運用契約、確定給付年金基金資産運用契約及び適格退職年金契約に係る信託(すべて所得税法第13条第1項に定める「ただし書き信託」であり、以下、これらを総称して「年金信託」といいます。)の信託財産を利用し、年金信託受託者として、内国法人たる営業者との間で匿名組合契約を締結しております。匿名組合契約の締結方法は、委託者ごとに単独運用(単独運用指定金銭信託)を行っていることに合わせ、年金信託契約ごとに別々の匿名組合契約を締結するという方法です。
したがって、年金信託受託者は、内国法人たる営業者との間で、年金信託契約の数に応じて複数の匿名組合契約を締結しています。
このような場合、匿名組合員の数の判定は、次のいずれかが考えられますが、(1)の方法により行うものと考えてよろしいか念のため伺います。
  1. (1) 信託財産の名義人である年金信託受託者(信託銀行)を匿名組合員とし、その数は1人として判定する。
  2. (2) 匿名組合契約の数(=年金信託契約の数)で判定する。
 
2 事前照会に係る取引等の事実関係
当行では、A信託銀行と共同で、厚生年金基金等と年金信託契約を締結し、厚生年金基金等から運用資金の信託を受けます。
当行とA信託銀行は共同受託者であり、その役割分担は、おおむね次のとおりとなります。
三菱信託銀行:委託者との折衝、運用方針の決定
A信託銀行:信託財産の管理、運用方針に従った運用事務処理
当行は、信託財産の運用方法として複数の年金信託に係る信託財産をもって匿名組合出資を行うことを決定し、A信託銀行に通知します。A信託銀行は、当該通知に基づいて匿名組合契約を締結、その管理する信託財産をもって匿名組合出資を行います。A信託銀行が締結する匿名組合契約は、委託者ごとに別々となります。
なお、匿名組合契約における匿名組合員名は、「A信託銀行株式会社(年金信託口: ×××× )」と表記されます。
※ 「××××」は数字であり、厚生年金基金等ごとに異なる数字が付されます。
 
3 2の事実関係に対して事前照会者の求める見解となることの理由
内国法人たる営業者が10人以上の匿名組合員と匿名組合契約を締結している場合は、所得税法第210条、同法第212条第3項、同法施行令第298条第8項第1号及び同令第327条の規定により、当該匿名組合契約に基づく利益の分配につき支払をする際に内国法人たる営業者に源泉徴収義務が生じます。
源泉徴収義務の基準となる「10人以上」の判定については、明文の規定はありませんが、匿名組合契約の数ではなく、投資家の数で判断すべきものと考えます。
本件の場合、A信託銀行の法人格が一つであることに従えば、投資家の数は1人となります。
したがって、年金信託受託者が複数の年金信託契約に応じて複数の匿名組合契約を締結している場合であっても、年金信託受託者を投資家として、匿名組合員の数は1人と判定されるものと考えます。

 

 

全国の文書回答事例を検索したい方はこちらをご覧ください。

○ 国税庁文書回答税目別検索