令和元年11月8日
仙台国税局

T 平成30事務年度 法人税等の申告(課税)事績について

  平成30事務年度における法人税、地方法人税、源泉徴収に係る所得税及び復興特別所得税の申告(課税)事績がまとまりましたので、その概要をお知らせします。

1 平成30年度における法人税の申告事績の概要

  申告所得金額、申告税額はいずれも減少

  平成30年度における法人税の申告件数は163千件で、その申告所得金額の総額は1兆3,365億円、申告税額の総額は2,589億円と前年度に比べ、それぞれ830億円(5.8%)、170億円(6.2%)といずれも減少しています。

(注) 平成30年4月1日から平成31年3月31日までに終了した事業年度に係る申告について、令和元年7月末までに申告があったものを集計しています。

○ 法人税の申告件数及び税額の状況

年度 29 30
項目 件数等 件数等 増減 前年対比
申告件数 千件 162 163 1 100.3
申告所得金額 億円 14,195 13,365 ▲830 94.2
申告税額 億円 2,759 2,589 ▲170 93.8

(注) 平成19年度以前は、その年の7月1日から翌年6月30日までに申告期限が到来し、申告のあったものを集計しています。

  黒字申告割合は35.9%に減少するも全国より高水準

  黒字申告割合は35.9%となり、前年度に比べ0.9ポイント減少していますが、全国(34.7%)と比較して1.2ポイント高い水準となりました。

○ 黒字申告割合等の状況

年度 29 30
項目 件数等 件数等 前年対比
申告件数 千件 162 163 100.3
黒字申告割合 36.8 35.9 ▲0.9

(参考計表)平成30年度における法人税等の申告事績

別表1

法人数の状況

区分 平成30年6月30日現在 令和元年6月30日現在
項目 件数 前年対比 件数 前年対比
法人数 168,406 99.8 168,374 100.0

(注) 清算中法人を除く。

別表2

法人税の申告の状況

年度 29 30
項目 件数等 前年対比 件数等 前年対比
申告件数 1 162,118 100.8 162,537 100.3
申告割合 2 93.3 +0.3 93.5 +0.2
黒字申告割合 3 36.8 ▲0.6 35.9 ▲0.9
申告所得金額 4 億円 14,195 102.9 13,365 94.2
黒字申告1件当たり所得金額 5 千円 23,819 103.9 22,893 96.1
申告欠損金額 6 億円 4,303 113.8 4,600 106.9
赤字申告1件当たり欠損金額 7 千円 4,197 111.9 4,416 105.2

別表3

法人税の税額の状況

年度 29 30
項目 金額 前年対比 金額 前年対比
申告税額 億円 2,759 101.1 2,589 93.8

別表4

地方法人税の税額の状況

年度 29 30
項目 金額 前年対比 金額 前年対比
申告税額 億円 128 102.0 121 94.6

2 平成30事務年度における源泉所得税等の課税事績の概要

  源泉所得税等の税額は8年連続増加

  平成30事務年度における源泉所得税等の税額は5,191億円で、前事務年度に比べ150億円(3.0%)増加し、8年連続の増加となりました。
 これを主な所得についてみると、給与所得の税額は30億円(0.7%)増加し、配当所得の税額は161億円(33.2%)増加しています。

(注)1 平成30年7月1日から令和元年6月30日までに納付があったものを集計しています。
   2 平成25年1月1日以後に生ずる所得に係る税額から、復興特別所得税が含まれています。

○ 源泉所得税等の税額の状況

  事務年度 29 30
項目  税額 税額 増減額 前年対比
給与所得 億円 4,120 4,150 30 100.7
退職所得 億円 80 88 8 109.9
利子所得等 億円 102 76 ▲26 74.6
配当所得 億円 485 646 161 133.2
特定口座内保管上場株式等の譲渡所得等 億円 86 60 ▲26 69.7
報酬料金等所得 億円 156 157 1 100.6
非居住者等所得 億円 11 13 2 118.5
合計 億円 5,041 5,191 150 103.0

(参考計表)平成30事務年度における源泉所得税等の課税事績

源泉徴収義務者数の状況

区分 平成30年6月30日現在 令和元年6月30日現在
項目 義務者数 前年対比 義務者数 前年対比
給与所得 本店法人 135,546 100.1 135,304 99.8
支店法人 2,136 99.3 2,123 99.4
官公庁 1,348 98.6 1,343 99.6
個人 70,926 99.2 70,469 99.4
その他 10,421 100.2 10,415 99.9
220,377 99.8 219,654 99.7
利子所得等 2,679 97.7 2,638 98.5
配当所得 9,806 103.0 9,918 101.1
特定口座内保管上場株式等の譲渡所得等 1,100 100.3 1,090 99.1
報酬料金等所得 162,065 100.0 160,816 99.2
非居住者等所得 707 111.7 596 84.3

U 平成30事務年度 法人税等の調査事績について

  平成30事務年度における法人税、法人消費税、源泉所得税等の調査事績がまとまりましたので、その概要をお知らせします。

1 平成30事務年度における法人税・法人消費税等の調査事績の概要

  法人税の申告漏れ所得金額の総額は308億円

  平成30事務年度においては、資料情報等の分析・検討を行った結果、大口・悪質な不正計算が想定される法人など調査必要度が高い法人5千件(前年対比101.2%)について実地調査を実施しました。
 このうち、法人税の非違があった法人は3千7百件(同103.6%)、その申告漏れ所得金額は308億円(同83.5%)、うち不正所得金額は143億円(同109.1%)、追徴税額は74億円(同93.3%)となっています。

○ 法人税の実地調査の状況

事務年度  29 30  
項目 前年対比
実地調査件数 4,926 4,986 101.2
非違があった件数 3,561 3,688 103.6
申告漏れ所得金額 億円 369 308 83.5
    うち不正所得金額 億円 131 143 109.1
調査による追徴税額 億円 79 74 93.3

(注) 調査による追徴税額には加算税及び地方法人税が含まれています。

  法人消費税の追徴税額は30億円

  平成30事務年度においては、法人消費税について、4千8百件(前年対比101.5%)の実地調査を実施しました。
 このうち、消費税の非違があった法人は2千8百件(同102.2%)、その追徴税額は30億円(同113.1%)となっています。

○ 法人消費税の実地調査の状況

事務年度  29 30  
項目 前年対比
実地調査件数 4,733 4,806 101.5
非違があった件数 2,734 2,794 102.2
調査による追徴税額 億円 26 30 113.1

(注) 調査による追徴税額には加算税及び地方消費税(譲渡割額)が含まれています。


2 平成30事務年度における源泉所得税等の調査事績の概要

  源泉所得税等の追徴税額は16億円

  平成30事務年度においては、7千件(前年対比101.5%)の源泉徴収義務者について実地調査を実施しました。
 このうち、源泉所得税等の非違があった源泉徴収義務者は1千9百件(同106.0%)で、その追徴税額は16億円(同133.3%)となっています。

○ 源泉所得税等の実地調査の状況

事務年度 29 30  
項目 前年対比
実地調査件数 7,040 7,144 101.5
非違があった件数 1,787 1,894 106.0
調査による追徴税額 億円 12 16 133.3

(注) 調査による追徴税額には加算税及び復興特別所得税が含まれています。


(参考計表)平成30事務年度における法人税・法人消費税等の調査事績

別表1

法人税の実地調査の状況

事務年度 29 30
項目 件数等 前年対比 件数等 前年対比
実地調査件数 1 4,926 112.8 4,986 101.2
非違があった件数 2 3,561 111.7 3,688 103.6
    うち不正計算があった件数 3 905 114.8 947 104.6
申告漏れ所得金額 4 億円 369 127.3 308 83.5
    うち不正所得金額 5 億円 131 131.8 143 109.1
調査による追徴税額 6 億円 79 113.1 74 93.3
    うち加算税額 7 億円 13 114.0 13 103.1
不正発見割合(3/1) 8 18.4 +0.4 19.0 +0.6
調査1件当たりの申告漏れ所得金額(4/1) 9 千円 7,495 112.9 6,182 82.5
不正1件当たりの不正所得金額(5/3) 10 千円 14,465 114.7 15,076 104.2
調査1件当たりの追徴税額(6/1) 11 千円 1,607 100.2 1,481 92.2

(注) 調査による追徴税額には加算税及び地方法人税が含まれています。

別表2

法人消費税の実地調査の状況

事務年度 29 30
項目 件数等 前年対比 件数等 前年対比
実地調査件数 1 4,733 111.6 4,806 101.5
非違があった件数 2 2,734 111.3 2,794 102.2
調査による追徴税額 3 億円 26 81.1 30 113.1
    うち加算税額 4 億円 5 87.6 5 102.8
調査1件当たりの追徴税額(3/1) 5 千円 554 72.6 617 111.4

(注) 調査による追徴税額には加算税及び地方消費税(譲渡割額)が含まれています。

別表3

○不正発見割合の高い10業種(法人税)

順位 業種目 不正発見割合 不正1件当たりの不正所得金額(千円) 前年順位
1 大衆酒場、小料理 50.0% 5,622 -
2 その他の道路貨物運送 41.7% 7,949 5
3 その他の飲食 41.3% 10,082 1
4 再生資源卸売 35.7% 44,290 -
5 パチンコ 35.0% 15,569 -
6 医療保健サービス 28.8% 8,393 -
7 採石、砂・砂利採取 27.3% 20,063 8
8 ハイヤー、タクシー 27.3% 6,651 -
9 木造建築工事 27.3% 3,830 -
10 管工事 26.3% 10,498 -

○不正申告1件当たりの不正所得金額の大きな10業種(法人税)

順位 業種目 不正申告1件当たりの不正所得金額(千円) 不正発見割合 前年順位
1 通信機械器具製造 65,291 12.5% -
2 再生資源卸売 44,290 35.7% -
3 建売、土地売買 39,656 16.7% 5
4 その他小売 32,238 17.5% -
5 一般機械器具卸売 29,200 22.9% -
6 農業 26,707 18.3% 6
7 医療関連サービス 21,448 24.4% -
8 燃料小売 20,228 16.0% 4
9 採石、砂・砂利採取 20,063 27.3% 2
10 その他の対個人サービス 19,697 14.9% -

V 平成30事務年度における主要な取組

  平成30事務年度においては、地域経済の動向や、地方の特性など様々な角度から有効な資料情報の収集、分析を行い、不正に税金の負担を逃れようとする大口・悪質な納税者に対しては、適切な調査体制を編成し、厳正な調査を実施するとともに、海外取引事案、無申告法人事案及び消費税還付申告法人事案等に重点的に取り組むなど、波及効果の高い調査の実施に努めました。
 なお、令和元事務年度においても、引き続き波及効果の高い調査の実施に努めることとしています。

  1. 海外取引法人等に対する取組
    増加する海外への投資や海外取引などについて、国外送金等調書をはじめとする資料や海外当局との租税条約等に基づく情報交換制度などによって得た情報を活用し、実態解明を行い、深度ある調査を実施しています。
  2. 無申告法人に対する取組
    無申告は、申告納税制度の下で自発的に適正な納税をしている納税者に強い不公平感をもたらすことになるため、資料情報の更なる収集・活用を図るなどし、的確に無申告を把握し、積極的に調査を実施しています。
  3. 消費税還付申告法人に対する取組
    消費税は、税収の面で主要な税目の一つであり、国民の関心も極めて高いことから、一層の適正な執行に努めています。
    特に、虚偽の申告により不正に還付金を得ようとするケースについては、調査などを通じて還付原因となる事実関係を確認し、その防止に努めています。
    また、社会的に問題となっている金密輸に伴う輸入消費税の脱税への対応についても、税関当局との一層の連携を図っています。

1-1 海外取引法人等に対する取組(法人税)

海外取引等に係る調査で21億円の申告漏れを把握

≫  企業等の事業、投資活動のグローバル化が進展する中で、海外取引を行っている法人の中には、海外の取引先への業務委託料を水増し計上するなどの不正計算を行うものが見受けられます。このような海外取引法人等に対しては、国外送金等調書をはじめとした資料情報等から選定し、租税条約等に基づく情報交換制度を積極的に活用するなど、深度ある調査に取り組んでいます。

≫  平成30事務年度においては、海外取引法人等に対する実地調査を428件(前年対比104.4%)実施し、このうち、海外取引等に係る非違があったものを142件(同143.4%)、海外取引等に係る申告漏れ所得金額を21億円(同259.0%)把握しました。


○ 海外取引等に係る申告漏れ所得金額の推移

○ 海外取引等に係る申告漏れ所得金額の推移

事務年度 26 27 28 29 30
項目
実地調査件数 302 319 327 410 428
海外取引等に係る非違があった件数 66 71 73 99 142
    うち不正計算があった件数 4 8 8 9 15
海外取引等に係る申告漏れ所得金額 百万円 782 1,839 2,242 797 2,064
    うち不正所得金額 百万円 37 60 208 165 850
調査1件当たりの海外取引等に係る申告漏れ所得金額 千円 2,588 5,766 6,855 1,943 4,822

1-2 海外取引法人等に対する取組(源泉所得税等)

海外取引等に係る源泉所得税等で1億3千万円を追徴

≫  経済の国際化に伴い、企業や個人による国境を越えた経済活動が複雑・多様化する中、非居住者や外国法人に対する支払(非居住者等所得)について、国外送金等調書をはじめとした資料情報等を活用し、源泉所得税等の観点から、重点的かつ深度ある調査を実施しています。

≫  平成30事務年度の調査においては、非居住者や外国法人に対する人的役務提供事業の対価や工業所有権等の使用料等などの支払について源泉所得税等の課税漏れを31件(前年対比86.1%)把握し、1億3千万円(同135.9%)を追徴課税しました。

○ 海外取引等に係る源泉所得税等の非違(件数)の内訳

事務年度 26 27 28 29 30  
項目 前年対比
非違があった件数 29 29 30 36 31 86.1
調査による追徴税額 百万円 13 64 48 92 125 135.9

2 無申告法人に対する取組

無申告法人から8億円を追徴

≫  事業を行っているにもかかわらず申告をしていない法人を放置しておくことは、納税者の公平感を著しく損なうものであることから、登記情報等から法人を把握した上、無申告法人を的確に管理するとともに、こうした稼働無申告法人に対する調査に重点的に取り組んでいます。

≫  平成30事務年度においては、資料情報等の分析・検討を行った結果、事業を行っていると見込まれる無申告法人に対し実地調査を実施し、法人税4億円(前年対比139.5%)、消費税4億円(同99.3%)、合わせて8億円(同116.5%)を追徴課税しました。

≫  このうち、稼働している実態を隠し、意図的に無申告であった法人に対し、法人税1億5千万円(同77.6%)、消費税5千万円(同43.5%)を追徴課税しました。


○ 無申告法人に対する法人税及び消費税の追徴税額の推移

○ 無申告法人に対する実地調査の状況

事務年度 26 27 28 29 30  
項目 前年対比
法人税 実地調査件数 180 185 191 211 194 91.9%
    うち意図的な無申告法人を把握した件数 13 13 7 21 22 104.8%
追徴税額 百万円 238 149 201 304 424 139.5%
    うち意図的な無申告法人に係る追徴税額 百万円 96 83 53 194 151 77.6%
消費税 実地調査件数 150 145 155 162 149 92.0%
    うち意図的な無申告法人を把握した件数 8 5 7 11 16 145.5%
追徴税額 百万円 278 305 348 404 401 99.3%
    うち意図的な無申告法人に係る追徴税額 百万円 41 16 81 108 47 43.5%

(注) 調査による追徴税額には加算税、地方法人税及び地方消費税(譲渡割額)が含まれています。

3 消費税還付申告法人に対する取組

不正に還付申告を行っていた法人から7千万円を追徴

≫  虚偽の申告により不正に消費税の還付金を得るケースが見受けられます。こうした不正還付等を行っていると認められる法人については、的確に選定し、厳正な調査を実施しています。

≫  平成30事務年度においては、消費税還付申告法人のうち、303件(前年対比96.8%)に対し実地調査を実施し、消費税2億7千万円(同56.2%)を追徴課税しました。

≫  また、そのうち43件(同134.4%)は不正に還付金額の水増しなどを行っており、7千万円(同68.6%)を追徴課税しました。


○ 消費税還付申告法人に対する消費税の追徴税額の推移

○ 消費税還付申告法人に対する実地調査の状況

事務年度 26 27 28 29 30  
項目 前年対比
実地調査件数 346 373 335 313 303 96.8%
非違があった件数 179 197 175 177 174 98.3%
    うち不正計算があった件数 32 40 26 32 43 134.4%
調査による追徴税額 百万円 464 647 959 484 272 56.2%
    うち不正計算に係る追徴税額 百万円 21 82 130 101 69 68.6%

(注) 調査による追徴税額には加算税及び地方消費税(譲渡割額)が含まれています。

各県別(青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県)の状況