平成28年度大阪国税局清酒鑑評会の結果について

1 目的

清酒鑑評会は、大阪国税局管内で製造された清酒の品質評価を通じて、酒類製造技術の進歩、発展及び品質向上を図ることを目的として開催しています。

2 出品酒

大阪国税局管内の、自己の清酒製造場で製成した清酒を募り、次の3区分で実施しました。
出品区分	出品規格
出品区分	アルコール分	製成時期	備考
吟醸酒	アルコール分を市販酒規格に加水調整したもの	平成27酒造年度に製成したもの	吟醸酒(※1)であるもの（純米吟醸酒を含む。）
燗酒用清酒	アルコール分を市販酒規格に加水調整したもの	酒造年度の制限はなし	精米歩合60％以上のもの
地域ブランド清酒（※2）	各地域ブランドの規格を満たしているもの

※1 吟醸酒とは、「清酒の製法品質表示基準（平成元年国税庁告示第8号）」に掲げる製法品質の要件を満たすものをいいます。

※2 統一した製造方法や審査基準によってグループで製品化し、普及等に取り組んでいるものを対象としました。

3 品質評価

(1) 実施年月日平成28年10月4日（火）、5日（水）及び7日（金）
(2) 実施場所大阪合同庁舎第三号館 4階酒類審査室
(3) 実施方法延べ47人の品質評価員により実施しました。
なお、吟醸酒及び燗酒用清酒の予審並びに地域ブランド清酒の評価はプロファイル法※、決審は採点法(3点法)にて行いました。
また、地域ブランド清酒については、ブランド別に希望する評価内容を用いて各々の特徴を詳細に評価しました。
おって、今後の酒造りに役立ててもらうため、品質評価結果を出品者に送付しました。
（※ プロファイル法：酒の色、香り及び味の特徴を詳細に捉える品質評価手法）

4 出品状況

（単位：点、場）

区分	出品点数				出品場数
県名	吟醸酒	燗酒用清酒	地域ブランド清酒	計	出品場数
滋賀	10	9	0	19	10
京都	19	12	8	39	21
大阪	7	5	0	12	7
兵庫	29	29	12	70	36
奈良	9	8	26	43	23
和歌山	6	5	0	11	6
合計	80	68	46	194	103

（地域ブランド清酒の内容）

（単位：点）

県名	出品グループ	ブランド名	出品点数	概要
京都	京都府酒造組合連合会員	京のブランド産品	6	安心・安全と環境に配慮して生産された京都産米を原料とした清酒で、品質・規格を厳選したもの
京都	京都府酒造組合連合会員	京都吟味百撰	2	京都で育まれてきた伝統の技と叡智で作り上げられた清酒
兵庫	灘五郷酒造組合員	灘の生一本（灘酒研究会）	9	伝統の技を受け継ぎ、企業の枠を超えて「酒どころ灘」を盛り上げるために「灘の生一本」で集結審査、協議を経て認定された酒質表現のみが商品に掲載可能
兵庫	はりま酒文化ツーリズム協議会員（姫路、社、明石、加古川酒造組合員）	庭酒	3	播磨風土記に記述のある庭田神社において採取した麹菌及び酵母菌を用いた統一ブランド製品
奈良	奈良県酒造組合員	奈良うるはし	7	僧坊酒で知られる菩提山正暦寺の境内から採取された酵母と奈良県産米で仕込んだ純米酒
	奈良県酒造組合員	山乃かみ	10	酒の神様として知られる大神神社の境内に咲く神花ササユリから採取された酵母で仕込んだお酒
	菩提酛研究会員
	菩提酛研究会員	菩提酛研究会	9	平成11年に日本で唯一、寺での菩提酛の酒母製造を復活させ、現在奈良県の9製造者で販売

5 出品酒の酒質の傾向

平成27酒造年度は、西日本では8月中旬から9月中旬にかけての気温が平年よりかなり低めとなり、原料米は晩生の品種を中心に例年よりも溶けやすい傾向が見られました。気象条件は、暖冬傾向でしたが、1月下旬には記録的な寒波が襲来するなど、寒暖の差が激しく酒造りには厳しい状況でした。
しかし、製造者が長年培われた卓越した酒造技術を遺憾なく発揮したこと、夏場に適切な貯蔵管理を行ったことにより、今回出品された清酒は、香味の調和がとれた、レベルの高い酒質のものが多く見られました。

（吟醸酒）

果実を思わせる華やかで芳醇な吟醸香と、夏を越して適度に熟成され口当たりがまろやかな豊かな味わいのあるものがそろっていました。

（燗酒用清酒）

香味はバラエティに富んでおり、適度に熟成し、旨味を感じるキレの良い飲み飽きしない酒質のものが多く見られました。

（地域ブランド清酒）