別紙1−1

3 照会の趣旨(法令解釈・適用上の疑義の要約及び事前照会者の求める見解の内容)

保険医療機関として麻酔科診療所を開設しており、現在の主な業務内容は、他の保険医療機関(主に病院)から"対診"依頼により出張麻酔診療を行い、他科(主に外科)の主治医と共同医療を実施しております。

この場合の対診による出張麻酔開業医が、主治医と共同で行った治療すなわち主治医の手術等に対して行った麻酔施術の診療報酬請求は主治医の属する対診を求めた医療機関においてのみ保険請求がなされております。

このように出張麻酔開業医が主治医と共同で行った麻酔関連医療業務の診療報酬は契約のもとに分配を(麻酔関連医療業務委託契約書)行うこととなります。これは対診に伴い治療を共同で行った場合の「保険医に対する報酬の分配は相互の合議に委ねるものとする」として、「対診等の場合における診療報酬の請求」(昭和24年11月25日保険発334)で規定されていることからこのような契約の取扱いをしております。

したがって、対診による出張麻酔開業医が、対診を依頼した保険医療機関から受ける報酬は租税特別措置法26条1項に規定する、「社会保険診療につき支払を受けるべき金額」に該当するものと判断して差し支えないかお伺い致します。


別紙1−2

4 個別の取引等の事実関係

私は、保険医療機関として麻酔科診療所を開設しております。診療所内では処置は行わず、 対診を依頼した他の保険医療機関に出向いて、「麻酔関連医療業務委託契約書」を締結して麻酔施術に伴う医療行為を行っております。
 この契約書に基づく現段階での報酬規定では、麻酔関連医療業務における報酬額は、「全身麻酔で麻酔関連医療診療報酬点数×○%(1点10円を乗ずる)として別途消費税5%支払う」という内容になっております。

対診によって生じる麻酔関連医療費収入は、大きく二つに分かれております。
 一つ目の収入は、対診時に保険診療(請求)として認められる「当該基本診療料」である初診料・再診料・往診料及び往診時間加算の算定が麻酔科診療所からの直接保険請求部分です。

二つ目の収入は、対診を依頼した他の保険医療機関(主治医が属している医療機関)が保険請求する「特掲診察料」の麻酔関連医療費であり、一旦当該保険医療機関に入金された保険収入の中から麻酔科診療所との契約に基づいた報酬額を麻酔科診療所が受けとる形となります。

麻酔科医療機関と患者と外科病院の関係を表した図

別紙1−3

5 4の事実関係に対して事前照会者の求める見解となることの理由
  1. 1 麻酔関連医療費としての「特掲診察料」の合議に基づく診療報酬の分配、つまり出張麻酔科診療所に支払われる報酬は、まさしく保険診療に基づくものであり社会保険診療報酬に等しいものと判断されます。
  2. 2 対診に基づく診療報酬のうち、対診時に保険診療として認められる「当該基本診療料」が社会保険診療報酬となり、対診時でも出張麻酔科診療所の保険請求が認められない麻酔関連医療費の「特掲診察料」が社会保険診療報酬でなく事業収入となるのは不合理であると判断されます。
  3. 3 厚生労働省が、1999年に麻酔科医療機関の麻酔専門医が行う出張麻酔を保険診療(対診)と認定し、一部保険請求も可能となっております。
  4. 4 租税特別措置法第26条(社会保険診療報酬の所得計算の特例)において、「医業等を営む個人が、各年において、社会保険診療につき支払を受けるべき金額を有する場合において・・・・」として規定しているように、社会保険診療報酬となる根拠が、「保険診療費を直接請求できる者」に限定していないと判断されます。

「対診」
  1. (1) 医師は療養上必要があると認める場合は、他の保険医療機関の医師の立合診療を求めることができる。(昭18年8月23日 保健保発277)
  2. (2) 対診を求められた場合は初診料、再診料、外来診療料及び往診料は請求できるが、治療行為に係る診療報酬は対診を求めた医療機関が請求する。治療を共同で行った場合の診療報酬の分配は相互の合議に委ねる。(昭24年11月25日 保険発334)