江戸時代、日本はいくつもの藩に分かれ、独自の税が存在していました。また、当時の税制は、年貢負担などに象徴されるように農業者に負担の重い税制でした。明治維新により誕生した明治政府は、幕府時代の「旧弊」を一新することを宣言していました。
しかしながら、急激な税制改革により、社会が不安定化することに配意して当面は「旧慣」に依るとしながらも、税の公平化にも注力をし、安定した租税収入の確保に腐心するとともに、徐々に税制の近代化を図りました。
税制改正の際には、地方の実情に配慮するために、知事らの意見を参考にしていました。また、西洋の税制を参考にして税法を制定しましたが、制度の移入に当っては、日本の実態にも合うように留意するために、日本古来の税制度についても調査研究がなされたことも明治時代の特徴です。
明治22年、大日本帝国憲法が発布されました。大日本帝国憲法では、臣民の納税義務が規定されるとともに、新規に租税を課したり税率を変更したりする際には議会の協賛を経て法律に依ることという租税法律主義が採用されました。制限選挙下とはいえ、国民の代表である帝国議会の協賛を経なければならないという規定は、日本の立憲主義国としての根幹をなしており、ここに、日本の近代税制が確立したといえます。
平成30年は明治維新から150年目に当る年でもあります。明治政府が税制の近代化を模索した過程をご紹介いたします。