昭和20年8月、日本はポツダム宣言を受け入れ、終戦を迎えました。昭和22年に、本格的に申告納税制度が導入されるとともに、明治時代から続いた市町村徴収委託制度が廃止されました。
戦後の社会的混乱や戦時中から続く増税による納税意欲の低下、戦災などにより経済が破たん状態となった上、申告納税制度の導入など税制が大きく変わったため、昭和23年の督促状発送件数は約800万件、滞納発生割合(納付すべき税額に占める新規発生滞納額の割合)は約4割と税収は危機的状態に陥りました。そのため、昭和23年1月に、大蔵省内に報道、映画関係者などによる緊急納税対策委員会が設置され、新聞やラジオ、映画などの媒体を駆使してさまざまな納税宣伝が行われました。
昭和24年、国税庁が発足し広報課が設けられ、国税庁、国税局、税務署が中心となった広報活動が行われるようになりました。納税者の納得と協力を得て円滑な税務行政に反映するため昭和29年には「納税者の声を聞く月間」(現在の「税を考える週間」)が設けられ、納税者の声を税務行政に反映させる制度ができました。
明治時代から存在していた納税組合は、組合幹部が徴税に介入するなどの事件があったため、GHQに民主的な納税を阻害するとされて昭和22年に廃止されましたが、戦後の税収の低下に鑑み、昭和26年の納税貯蓄組合法により納税貯蓄組合として新たにスタートしました。
徴収制度も納税者の利便性を高めるために進化し、平成15年にはインターネットバンキングによる納付、平成20年にはコンビニでの納税制度が制定され、現在に至ります。
租税完納運動の一環として作られた幻燈(げんとう)の解説本です。
税金のないブタの国(ブーブー国)で大きな火事が起こったのですが、税金がないことから、消防車がなく消火できませんでした。税金がある隣の犬の国(ワンワン国)から消防車が駆け付け、消火してくれたことをきっかけに、子供たちが税の大切さを考えるというストーリーです。
※幻燈…写真などに強い光を当てて、幕などにその写真などの拡大画像を映して見せるもの。スライド。学校などで使用されました。
昭和18年(1943)に納税施設法が施行され、町内会なども納税団体に組み込まれましたが、この法律は昭和22年に廃止されました。
しかし、戦後の混乱期に税収が低下する中、納税組合の復活を求める声が起き、昭和26年に納税貯蓄組合法が制定されました。この法律により設立された納税貯蓄組合は地域に密着して活動し、税収の確保、税に対する意識を高める活動などに大きく貢献しました。
※納税貯蓄組合…納税資金の備蓄による各種税金の円滑な納付を目的として組織された団体で、平成25年3月末現在、全国に約3万5,000組あります。
戦後のインフレの収束や、昭和25年に勃発した朝鮮戦争による特需などにより経済状態は安定してきました。昭和28年度の税務運営方針(国税庁が行う税務行政の実施の基本方針を定めたもの)では、「健全な納税思想を確立し、納税者の納得と協力を得て、円滑、適正な税務行政の実現」のため広報活動に力が置かれるようになりました。
これを受けて昭和29年、「納税者の声を聞く月間」が開始され、昭和31年に、苦情相談に重点を置いた「納税者の声を聞く旬間」となりました。昭和49年に、「声を聞く」という受身の姿勢でなく全国民に税金は自らの問題として考えてもらう「税を知る週間」に、そして平成16年に「税を考える週間」となり、現在に至ります。