財務省第8入札等監視委員会平成20年度第1回定例会議議事概要
開催日及び場所 平成20年10月3日(金) 名古屋国税総合庁舎4階会議室
委員
委員長   若山 滋 (名古屋工業大学 大学院教授)
委員   中澤 政直 (中澤会計事務所 公認会計士)
委員   大槻 隆 (大槻経営法律事務所 弁護士)
審議対象期間 平成20年4月1日(火)〜平成20年6月30日(月)
契約の現状の説明 審議対象期間に係る契約一覧表について
抽出案件 5件 (備考)
競争入札(物品役務等) 1件 契約件名 岡崎合同庁舎の清掃業務
契約相手方 ホーメックス 株式会社
契約金額 4,014,675円
契約締結日 平成20年4月1日
担当部局 名古屋国税局
競争入札(物品役務等) 1件 契約件名 名古屋税関稲永出張所他5箇所における
清掃業務委託契約
契約相手方 中部環境サービス 株式会社
契約金額 7,358,400円
契約締結日 平成20年4月1日
担当部局 名古屋税関
競争入札(物品役務等) 1件 契約件名 中部空港CIQ庁舎エレベーター設備
保守管理業務委託契約
契約相手方 三菱電機ビルテクノサービス 株式会社
契約金額 2,570,400円
契約締結日 平成20年4月1日
担当部局 名古屋税関
競争入札(公共工事) 1件 契約件名 平成20年度東海財務局庁舎レイアウト変更工事
契約相手方 株式会社 マルケイ
契約金額 7,003,500円
契約締結日 平成20年4月4日
担当部局 東海財務局
競争入札(公共工事) 1件 契約件名 小鹿住宅外6住宅住宅用火災警報器設置工事
契約相手方 スヤマビルドサービス 株式会社
契約金額 13,434,750円
契約締結日 平成20年6月27日
担当部局 東海財務局
委員からの意見・質問、それに対する回答等 別紙のとおり
委員会による意見の具申又は勧告の内容 なし
意見・質問 回答
「岡崎合同庁舎の清掃業務」
契約件名 : 岡崎合同庁舎の清掃業務
契約相手方 : ホーメックス 株式会社
契約金額 : 4,014,675円
契約締結日 : 平成20年4月1日
担当部局 : 名古屋国税局
【事案の抽出について】
 反復継続して実施する業務で連年契約するもののうち、落札率の低い案件を抽出。
 調査基準価格を下回ったため低入札価格調査を行ったと説明があったが、調査基準価格の算定はどのように行われているのか。  予算決算及び会計令第85条の規定に基づき、予定価格に10分の6を乗じた金額を調査基準価格と算定した。
 平成20年度の「岡崎合同庁舎の清掃業務」の応札業者上位2社は、他の応札業者と比較して入札金額が低いが、いかなる理由と考えているのか。  第1順位の応札業者は、入札金額の積算誤りと判明した。
 第2順位の応札業者は、入札金額の算定根拠及び過去の契約実績等に問題はなく、現状においても適正に業務を履行していることから、同社の企業戦略が色濃く反映されたものと考えている。
 企業戦略との説明があったが、よく理解できない。
 損をしてまで契約する理由は何と考えられるのか。
 同社は、平成19年度の当該清掃業務を落札出来なかったこと、「岡崎合同庁舎の機械設備の総合管理業務」をすでに落札していることもあって、同業他社に清掃業務についても落札されたくない企業戦略が働いたのではないかと分析している。
 企業戦略と分析しているが、それ以外の理由はないのか?  清掃業務の原価は、主として人件費で構成されており、同社は日常清掃業務に係る人件費単価を抑えたと推定されるが、詳細は不明である。
「名古屋税関稲永出張所他5箇所における清掃業務委託契約」
契約件名 : 名古屋税関稲永出張所他5箇所における清掃業務委託契約
契約相手方 : 中部環境サービス 株式会社
契約金額 : 7,358,400円
契約締結日 : 平成20年4月1日
担当部局 : 名古屋税関
【事案の抽出について】
 一般競争入札実施案件から、1者入札案件で 落札率が高かったものを抽出。
 前年度の契約金額と比較してみたか。  清掃に係る仕様の変更を行っており、一概に金額のみでの比較は難しい。昨年度と比較した変更箇所は、昨年度まで仕様に含まれていた名古屋港湾合同庁舎に係る専用部分の清掃を、別個の契約(共用部分と専用部分を併せて契約)として入札を実施したため、その合同庁舎の清掃を除いた他、名古屋市内に所在する泉分庁舎の清掃を新たに仕様に加えている。
  前年度の契約金額との比較については、当関における専用部分に係る契約金額は判っていることから、昨年度の契約金額と比較するなどして、仕様等について、来年度の契約が安価となるよう工夫していきたい。
 本案件の総清掃面積は何平方メートルか。  清掃面積は6箇所で約6,000平方メートルである。
 貴関における清掃に係る年間費用はどの程度か。  年間清掃費用は、約5,600万円である。
 落札率が高かった原因をどのように分析しているか。  当関における予定価格の積算方法は、広く公表されている標準的な資料等を使っていること、また、前年度の契約金額を公表していること等から、応札業者が推測しやすかったのかもしれない。
 清掃は、特殊な業務とは思えないが、1者入札になった原因は何か。  インターネット等を利用して幅広く公告している案件であるが、強いて言えば、名古屋市から離れた出張所等を含め6箇所を清掃させる業務であることから、清掃員の採用等、新規の業者にとっては参加しづらい状況であったかもしれないが、一方で清掃箇所を纏めて入札すれば、別々に入札等して契約するより割安になることも事実であると考える。今後は、今回の入札結果を踏まえ仕様の変更等の工夫をしていきたい。
「中部空港CIQ庁舎エレベーター設備保守管理業務委託契約」
契約件名 : 中部空港CIQ庁舎エレベーター設備
保守管理業務委託契約
契約相手方 : 三菱電機ビルテクノサービス 株式会社
契約金額 : 2,570,400円
契約締結日 : 平成20年4月1日
担当部局 : 名古屋税関
【事案の抽出について】
 一般競争入札実施案件から、1者入札案件で 落札率が高かったものを抽出。
 1者入札になった原因は何か。  数社に聴き取り調査したところ、
1  他社メーカー製のエレベーターの保守管理は、構造や構成機器等資料がなく難しい
2  故障時・修繕時に、部品は市販品が少なく供給が難しい
などの理由から、他社メーカー製設備に係る入札への参加は難しいとの回答を得ていることから、これらが原因と考えている。
 なお、本件エレベーターは、三菱電機製である。
「平成20年度東海財務局庁舎レイアウト変更工事ほか」
契約件名 : 1平成20年度東海財務局庁舎レイアウト変更工事
2小鹿住宅外6住宅 住宅用火災警報器設置工事
契約相手方 : 1株式会社マルケイ
2スヤマビルドサービス株式会社
契約金額 : 17,003,500円
213,434,750円
契約締結日 : 1平成20年4月4日
2平成20年6月27日
担当部局 : 東海財務局
【事案の抽出について】
 予算決算及び会計令第85条に基づく、低入札価格調査を行った事案について抽出。
 予算決算及び会計令第85条の基準及び同基準に基づく、低入札価格調査制度の概要並びに1及び2の契約について、説明願いたい。  予算決算及び会計令第85条の基準は、申込み価格によっては、内容に適合した履行がなされないこととなるおそれがあると認められる場合の基準を作成するものと規定しており、財務省では、同基準について、工事の請負契約については、契約ごとに3分の2から10分の8.5の範囲内で契約担当官等の定める割合を予定価格に乗じて得た額に満たない場合、その他の請負契約については、契約ごとに予定価格に10分の6を乗じて得た額に満たない場合と定めている。
  また、財務省運用方針において、直接工事費、共通仮設費、現場管理費に5分の1を乗じて得た額の合計額に、100分の105を乗じて得た額を予定価格で除した割合とするが、その割合が10分の8.5を超える場合にあっては10分の8.5とし、3分の2に満たない場合にあっては、3分の2とすることとしている。
  当該基準に該当した場合は、財務省運用方針に基づき、最低の入札価格をもって入札を行った者に対し、その価格により入札した理由、入札価格の内訳書の徴取、契約工事付近における手持工事、契約工事関連手持工事の状況、労務者の具体的供給見通し等の調査を行い、履行可能かどうかの調査を行い、調査結果により、契約内容に適合した履行がなされると認められる場合には、最低の入札価格をもって入札を行った者を落札者と決定する。
  今回抽出された契約1及び2については、予算決算及び会計令第85条に基づく、「調査基準価格」を下回ったため、相手方への調査を実施し、契約の内容に適合した履行がなされると認められたことから、落札業者と決定し、契約を行ったものである。
  なお、同運用方針は、6月に、工事の請負契約に係る調査基準価格の算定方法について一部改正(平成20年7月1日以降に入札公告分の入札から適用)されている。
 低入札価格調査を行う過程で、業者に積算ミスがあった場合には、業者に対して、入札参加資格停止等のペナルティを科すのか。  各々の事案によって異なるが、認識の誤り(錯誤)により積算ミスが判明し、辞退となったことだけをもって、入札参加資格停止を行うことは考え難い。
 2の事案で、低入札価格調査を行う「調査基準価格算出調書」の算出項目のうち、直接工事費のみ計上されており、共通仮設費、現場管理費の1/5が算出されていない理由はなぜか。  本件は、火災警報器の設置工事であり、予定価格の積算に当たって、設置を想定している火災警報器の単価が、(財)建設物価調査会が発行している「建設物価」等の定期刊行物に単価が掲載されていないため、設置予定個数を示し、業者見積もり(市場価格調査)を行ったものである。
  火災警報器の業者見積価格(市場調査価格)が、材料費、労務費、機械経費等の直接経費及び諸経費を含んだ材工共の単価であったため、調査基準価格の算出においても、共通仮設費及び現場管理費への分割が困難であり、直接工事費の欄に当該経費を含んだ価格を計上したものである。
 2の事案の調査基準価格の算定において、直接工事費に諸経費が算入されているということは、低入札価格調査を行うための算出として、現場管理費の4/5と一般管理費が余分に算入されており、基準どおりの算定より、低入札の調査基準価格が高く設定されることとなり、基準どおりに算定すると調査対象外になる場合もある。
  調査範囲を狭めたわけではなく、逆に調査範囲が拡大し、厳しくしたから、結果良いというものではなく、基準で対象外のものを調査することは、過剰サービス(時間・事務経費の無駄)となるのではないか。
  基準を定めたのであれば、ルールどおりやる必要があると考える。
 今回の調査基準価格の算定にあたって、予算決算及び会計令第85条の目的を逸脱するものでもないことから、特に問題は生じないものと考えているが、ご意見を踏まえ、可能な限り、直接工事費と諸経費を区分し、厳格な調査基準価格の設定に努めることとしたい。