財務省第8入札等監視委員会
平成23年度第2回定例会議議事概要

開催日及び場所 平成23年12月22日(木) 名古屋国税総合庁舎4階会議室
委員 委員長 中澤 政直 (中澤会計事務所 公認会計士)
委員 大槻 隆 (大槻経営法律事務所 弁護士)
委員 河邊 伸二 (名古屋工業大学 大学院教授)
審議対象期間 平成23年7月1日(金)から平成23年9月30日(日)まで
契約の現状の説明 審議対象期間に係る契約一覧表について
抽出案件 3 件 (備考)
競争入札(公共工事) 1件 契約件名 名古屋国税総合庁舎耐震改修検討業務委託
契約相手方 株式会社ニュージェック中部支店
契約金額 26,145,000円
契約締結日 平成23年9月13日
担当部局 名古屋国税局
競争契約(公共工事) 1件 契約件名 千種西住宅外2住宅11建築改修工事
契約相手方 株式会社前田工務店
契約金額 83,790,000円
契約締結日 平成23年8月8日
担当部局 東海財務局
競争入札(物品役務等) 1件 契約件名 電子複写機の賃貸借及び保守一式
契約相手方 株式会社アイ・イーグループ
契約金額 7,295,872円
契約締結日 平成23年8月4日
担当部局 名古屋税関
委員からの意見・質問、それに対する回答等 別紙のとおり
委員会による意見の具申又は勧告の内容 なし

【抽出案件について(名古屋国税局)】契約金額が高額な案件を抽出

意見・質問 回答
  • 契約件名 : 名古屋国税総合庁舎耐震改修検討業務委託
  • 契約相手方 : 株式会社ニュージェック中部支店
  • 契約金額 : 26,145,000円
  • 契約締結日 : 平成23年9月13日
  • 担当部局 : 名古屋国税局
 
 予定価格は、どのように積算されているのか。  国土交通省監修の「官庁施設の設計業務等積算基準」等に基づいて、直接人件費及び諸経費等を積算している。
 検討業務については適正な予定価格を積算することが難しいと思われるが、どのように算定したのか。  中部地方整備局において同種の検討業務を発注している実績があったため、参考となる情報を得ながら、コア抜き調査、地盤調査及び各種工法検討等の項目ごとに積算している。

【契約一覧表について(名古屋国税局)】

意見・質問 回答
●案件番号13
「国際取引調査実務研修(初級・中級)業務一式」
 
 外部の講師に「調査実務」の研修をしてもらうのか。  外部講師による貿易実務研修のほか、一部、当局職員が講師となり調査実務に係る研修を行っている。
 なお、外部講師は、商社等で貿易実務経験のある者、大学講師又は公認会計士等の国際取引に関し実績のある者としている。
 受講者は何名か。  初級研修は72名、中級研修は67名である。
意見・質問 回答
●案件番号53〜81
「平成23年度総合健康診断等業務委託」
 
 すべて同様の契約と思われるが、契約単価が契約相手により異なるのは何故か。  人間ドック以外の婦人科検診料等に係る種類ごとの単価が反映しているものである。
 応札者数29者と表示されているが、各案件に29者応募があったのか。  一公募案件に対して29者の申込みがあり、その全ての申込者と契約しているため、応札者数29者と表示したものである。

【抽出案件について(東海財務局)】契約金額が高額で落札率が高く、落札率が低い案件を抽出

意見・質問 回答
  • 契約件名 : 千種西住宅外2住宅11建築改修工事
  • 契約相手方 : 株式会社前田工務店
  • 契約金額 : 83,790,000円
  • 契約締結日 : 平成23年8月8日
  • 担当部局 : 東海財務局
 
 耐震改修工事に係る設計図に設計を行った業者名の記載があるが、同者に設計業務を委託したのはいつか。  平成17年である。
 6年前の設計をもとに今回の耐震改修工事を実施しているが、設計から工事の実施までには同程度の期間を要することが一般的なのか。  設計は耐震診断の結果を踏まえて平成17年に行ったが、耐震改修が必要な住宅は複数あり、計画的に工事を実施している中で、本工事は今年度の実施となった。
 設計から工事の実施までの間に、建築技術の進歩等により費用対効果に優れた新たな工法が生まれることが考えられるが、6年前の設計をもとに工事を実施せざるを得ないのか。  工事の実施に当たっては、設計業者に対して現時点においても、費用対効果の観点から最も有効な工法であることを再確認している。
 本工事の落札率は60.1%と低く、また、応札者7者の入札金額は全て予定価格を下回っているが、予定価格はどのように積算したのか。  刊行物や業者見積を基に実勢単価を適正に把握し、施工に必要な単価を積み上げて予定価格とした。
 当局では毎年計画的に合同宿舎の建築改修工事を実施しており、同じ考え方のもとに予定価格を積算している。
 その中で、今年度の他の建築改修工事では、応札者9者のうち予定価格を下回る金額で入札したのが6者という事案もあった。
 本工事には、耐震改修や屋根防水、外壁改修といった複数の工種があるが、金額としてはどの工種の割合が高いのか。  工事全体としては、屋根防水工事及び外壁改修工事の割合が高い。

【契約一覧表について(東海財務局)】

意見・質問 回答
●案件番号7
「下田住宅外1住宅11〜15維持管理業務委託」
 
 本業務の応札者は1者であるが、何か理由はあるのか。  本件は下田市内にある合同宿舎の管理人業務であるが、下田市という地域性に加え、合同宿舎内に管理人事務室が無いことから、入札参加業者が少なかったものと考える。
 前回の入札はどのような状況であったのか。また、前回の落札者は今回と同じ業者か。  前回は平成19年度に入札を実施したが、応札者は2者であった。また、落札者は今回と同じ業者である。
 今回の入札結果を踏まえ、次回は発注方法の見直しを検討し、1者応札の解消に努めたい。
意見・質問 回答
●案件番号1
「萱場住宅外9住宅11建築保全業務」
 
 本件は、どのような業務内容か。  本件は合同宿舎の建物及びその付帯施設等について、建築基準法に基づき一級建築士等の有資格者が定期的に点検を行う業務である。
 落札率が低いが、何か理由はあるのか。  本件のように特定の物を買入れたり製造したりするものではなく、人件費のみが発生する業務の場合、落札率が低くなる傾向がある。
 実際に建物を点検する者の習熟度によっては、例えば、本来問題のある箇所として報告されるべき事項が見落とされることが考えられる。
 そのような事態を防止する手段はあるのか。
 一つの手段として、業者に対しては全ての点検項目についての現況写真を撮影するよう求めており、当局は点検結果に係る報告書の中でその内容を確認している。
意見・質問 回答
●案件番号19
「平成23年公認会計士試験(論文式)会場借上」
 
 「公募により募集を行ったところ、応募者がいなかった」とあるが、公募はどのような方法により行ったのか。  一般競争入札と同様、当局庁舎前の掲示板に公告書を掲示するとともに、ホームページによりその内容を周知している。
 応募者がいなかった理由は何かあるのか。  大学の中には、学業を優先させるため等の理由から、外部への施設の貸与には消極的なところがあると聞いている。
 施設の貸与に消極的なところが多い等の理由で、公募を行っても応募者がなく、随意契約によらざるを得ないのであれば、最初から特定の者と随意契約により契約を締結することはできないのか。  公認会計士試験の実施に係る会場の借上げに当たっては、契約の競争性及び透明性を確保するため、公募を行うこととされている。
 契約価格の競争による相手方の選定を許さないことから随意契約により契約を締結しているにもかかわらず、落札率が100%ではない理由は何か。
 随意契約により名城大学と契約を締結するのであれば、同大学から聴き取った価格を予定価格とすればよいのではないか。
 予定価格は、特定の施設の借上げを前提としたものではなく、施設の規模や設備等の条件を満たす複数の大学や民間の会場施設から価格を聴き取って積算したものである。
 そのため、予定価格と実際の契約金額には乖離が生じることもある。
 予定価格の範囲内であれば、名城大学より高い金額で契約を締結することが可能ということか。  何らかの理由により名城大学が契約の締結に応じない場合、他の大学等から施設を借上げることとなるが、契約金額は名城大学から借上げた場合より高くなることもあれば、反対に安くなることもある。

【抽出案件について(名古屋税関)】契約金額が高額で落札率が低い案件を抽出

意見・質問 回答
  • 契約件名 : 電子複写機の賃貸借及び保守契約一式
  • (平成23年10月1日〜平成28年3月31日)
  • 契約相手方 : 株式会社アイ・イーグループ
  • 契約金額 : 7,295,872円
  • 契約締結日 : 平成23年8月4日
  • 担当部局 : 名古屋税関
 
 契約金額のうち機器借料が非常に安価であるが、仕様を満たしているか。
 また、安価な理由があれば、説明願いたい。
 納入された機器は、大手メーカー製のもので、当方の仕様を満たしている。
 また、安価な理由は、契約相手方へのヒヤリングによると、社として何としても落札する意気込みで参加し、大量仕入れ等によるコスト削減に取り組んだ結果と考えられる。
 毎月の支払はどのようになるのか。  毎月一定額の機器借料に使用枚数に応じた保守料金を加えて支払うため、毎月の支払金額は変動する。
 仕様書に「連続複写速度33枚/分以上」等の記載があるが、仕様はどのように決定したか。
 また、これらの仕様により入札への参加を制限していないか。
 業者へのヒヤリング等により、現在一般に流通している標準的な機器のスペックに基づき仕様を決定した。
 したがって、この仕様により、入札への参加を制限することにはならないと考えている。
 仕様書に「引取り機器は受注者の責任で確実に処分し、転売しないこと」との記載があるが、転売(下取り)を認めた方がより安価となるのではないか。  更新対象の機器は古いため、複写の際のデータが機器に残る。
 転売を認めると当該データ(機密情報等)が漏洩する可能性があるため、これを禁止したものである。
 なお、仕様書においては、別途「引取り機器のHDDを物理的に破壊すること」を特記している。
 仕様書に「納入機器はHDD内残存データを消去、若しくは暗号化する機能を有すること」としており、矛盾するのではないか。  最新機器は、HDD内にデータを蓄積することなく都度消去、若しくは暗号化するものが主流であるため、納入機器の仕様に盛り込んだ。
 過去の機器には、HDD内にデータが蓄積されているため、確実な処分(HDDの破壊等)を規定した。
 では、今回納入された機器の更新時には「転売等を行わないこと」の規定がなくなり、より安価になる可能性があるとの認識か。  納入業者又はメーカーに確認の上、情報漏えいの可能性が皆無であれば、当該規定の削除(転売の容認(下取り))を検討する。
 更新対象とした機器は、故障して使用できないため、廃棄(更新)するのか。  必ずしも故障したものばかりではないが、耐用年数を経過して老朽化、機能低下等がみられることから、更新したものである。

【契約一覧表について(名古屋税関)】

意見・質問 回答
  • ●案件番号2
    「ハイブリッド乗用自動車(ワンボックス又はミニバンタイプ)の購入 2台」
  • ●案件番号5
    「ハイブリッド乗用自動車(ハッチバックタイプ)の購入 3台」
 
 自動車の調達について、契約一覧表の案件番号2が2台で700万円、案件番号5が3台で560万円とあるが、1台当たりの金額、目的の違い等について説明願いたい。  5台ともハイブリッド車で、案件番号2は8人乗りのワンボックス又はミニバンタイプ、案件番号5はハッチバックタイプとして調達した。
 ハイブリッド車であること等から、若干高額となったものであるが、国の調達方針が環境配慮のため、原則としてハイブリッド車とされていることから、それに従って調達している。
 なお、使用目的は、いずれも主に検査、調査又は捜索のための多人数職員等の輸送である。
 自動車の調達について、購入契約と賃貸借契約があるが、違いは何か。  買取りは12年又は走行距離10万キロメートルで更新し、賃貸借は5箇年契約としている。
 税関では、安全・安心な社会づくりのため「社会悪物品の密輸阻止」を行う使命があり、港湾地区での外国貿易船や船員に対する張込、尾行、船内検査等の監視取締、犯則嫌疑事件に係る内偵調査、張込、尾行、情報収集等の業務を行っている。
 これらの業務では、税関職員であることを秘匿する必要がある場合もあり、使用する車両も登録番号をできる限り秘匿し、税関の車両であることを悟られないように注意して運用している。
 しかしながら、年数の経過と共におのずと悟られてしまう場合もあることから、これらの車両をできるだけ早いタイミングでの更新が可能な、賃貸借契約で対応している。
 契約金額には、下取り車の価格も含まれているか。
 また、下取り車の金額はどのように算出しているか。
 契約金額には、重量税を除き全て含まれている。
 なお、下取り車の価格は複数の業者に車両の年式、走行距離等を明示してヒヤリングするなどして算出している。