標題のことについては、下記の理由から、貴見のとおり取り扱われるとは、限りません。
なお、この回答内容は福岡国税局としての見解であり、事前照会者の申告内容等を拘束するものではないことを申し添えます。
記
(理由)
貴社の就業規則等によれば、定年退職は満60歳に達した年の年度末とされており、確定拠出年金制度の移行月である平成21年4月に60歳に達する従業員(以下「本件資格得喪者」といいます。)は、翌年の3月31日まで退職の事実が生じないこととなりますので、別紙1−3の「事実関係に対して事前照会者の求める見解となることの理由」に記載されている参照事例(移行日が平成16年4月1日、資格得喪者である従業員が60歳に達する日が平成16年4月25日、
資格得喪者である従業員の退職日が平成16年4月30日、適格退職年金の解除一時の支払日が退職日以降)とは異なった事実関係となっています。
ところで、適格退職年金契約の全部又は一部が解除された場合には、その契約に係る要留保額は、一定の場合を除き、受益者等に帰属するものであることが要件とされているため(法令附則16 十)、本件資格得喪者に支給される適格退職年金の契約の解除一時金(以下「本件一時金」といいます。)は、確定拠出年金制度への移行に基因して適格退職年金契約が解除され、支給を受けるものと認められます。
また、本件資格得喪者の退職日が、本件一時金の支給を受けた年の翌年であることからすると、管理支配基準の観点からも退職日前に解除一時金に係る所得が実現していることは否めません。なお、この点に関し、別紙1−3の「事実関係に対して事前照会者の求める見解となることの理由」に記載されている参照事例の場合は、実際の支給が退職日以後となっています。 したがって、本件一時金は、退職に基因しない適格退職年金契約の解除一時金となりますので、所得税法施行令第72条《退職手当等とみなす一時金》第2項第4号に規定する「勤務した者の退職により支払われるもの」に該当しないこととなり、所得税法第34条第1項《一時所得》に規定する「利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得及び譲渡所得以外の所得のうち、営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の一時の所得で労務その他の役務又は資産の譲渡の対価としての性質を有しないもの」に該当すると認められますので、一時所得となります。
ただし、貴社の確定拠出年金制度移行後であっても、本件資格得喪者のみを対象とする適格退職年金契約を貴社が継続し、本件資格得喪者の退職に伴い本件一時金が支給された場合には、退職所得として取り扱って差し支えありません(所法31三、所令72 四)。
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