〜 デジタル・ガバメント1 の実現に向けて 〜
政府全体の取組として、国民が安全で安心して暮らせ、豊かさを実感できる社会を実現することを目指し、デジタル技術の恩恵を誰もが享受できるインクルーシブな 「デジタル社会」 に向けた重点計画を取りまとめた「世界最先端デジタル国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画」が令和元(2019)年6月に閣議決定され、更に、デジタル技術を活用した行政の推進についての取組を明記した 「デジタル・ガバメント実行計画」が令和元(2019)年12月に閣議決定されました。
また、税務行政を取り巻く環境は、経済取引の複雑化・広域化や経済社会のICT化・グローバル化の急速な進展に伴い、業務が複雑・困難化するなど大きく変化しています。
こうした各種計画や環境変化を踏まえ、国税庁においては、国民・事業者の目線に立ち、利用者の負担軽減や行政運営の効率化・高度化を図るための業務改革 (BPR)2を推進することとしています。
具体的には、手続のオンライン化や添付書類の省略を推進するとともに、「企業が行う従業員の社会保険・税手続」や「法人設立手続」のオンライン・ワンストップ化3などについて、政府全体の取組方針に沿って関係府省の一つとして、その実現に向けた検討を進めています。
国税関係業務は、国民の権利義務と密接に関わっているため、そのシステムに障害が発生した場合には、国民に多大な影響を与え、税務行政に対する信頼を損なうことにもなりかねません。このため、システム機器の定期的な更新を実施するなど、システムの安定的な運用を図っています。
また、大量の納税者情報を保有・蓄積しているため、職員は職務上必要な情報しか利用できない仕組みにするとともに、納税者情報を取り扱う職員のパソコンをインターネットから物理的に分離するほか、セキュリティ監査を定期的に実施するなど、不正利用や漏えいの防止には細心の注意を払っています。
なお、e-Tax及びKSKシステムのデータを保有するコンピュータセンターについては、国際的標準規格に準拠した、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)4 を構築し、平成19(2007)年にISMS適合性評価制度に基づく認証(ISO/IEC27001・JISQ270015に基づく認証)を取得し、以降は定期的に更新しています。
さらに、令和2(2020)年には、法人番号の指定などを行うシステムのデータを保有するコンピュータセンターについても、同認証を取得しました。
KSKシステムは、全国の国税局と税務署をネットワークで結び、地域や税目を越えた情報の一元的な管理により、各種事務処理の高度化・効率化を図るために導入したコンピュータシステムです。
税務行政を取り巻く環境の変化に対応しつつ、国税庁が平成29(2017)年6月に公表した「税務行政の将来像」において目指すスマート税務行政や政府全体として取り組んでいる「デジタル・ガバメント」の実現に向けては、国税事務の基幹システムである国税総合管理(KSK)システムなど、税務行政に関するシステムの高度化が不可欠です。
このため、現在、令和8(2026)年度中の本格的稼働を目指して、新たなシステムの開発に着手しています。
国税庁は、個人の所得情報など、様々な情報を保有しています。これらの情報は厳格に管理する必要があり、情報が漏れるようなことがあれば、納税者の協力は期待できなくなり、円滑な調査・徴収等に支障が生じかねません。
このため、税務職員が税務調査などで知った秘密を漏らした場合には、国家公務員法上の刑事罰(1年以下の懲役又は50万円以下の罰金)よりも重い税法上の刑事罰(2年以下の懲役又は100万円以下の罰金)が科されることとなっています。
職員に対しては、定期的に情報セキュリティに関する研修を行っているほか、調査などに際し、質問する場所についても、プライバシーに配慮し、店舗先や玄関先はなるべく避けるようにしています。
また、国税庁は特定個人情報(マイナンバーをその内容に含む個人情報)などを取り扱うことから、マイナンバー法などの関係法令の趣旨を踏まえ、行政文書の管理状況を定期的に点検するなどにより、国税庁の保有する納税者情報を厳正に管理するよう努めています。