2 税務行政の運営の考え方

 国税庁は、前述のような任務と使命を果たし、納税者の皆様からの理解と信頼を得るため、以下のような取組を行います。

国税庁の取組

(1) 納税者サービスの充実

  • ● 納税者が自ら正しい申告と納税が行えるよう、国税庁ホームページなどを通じて必要な情報を提供します。
  • ● e-Tax (国税電子申告・納税システム) や国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」など、ICT (Information and Communication Technology) を活用した申告・納税手段の充実を推進します。
  • ● 納税者が自己の経済活動についての税法上の取扱いを事前に予測することが可能となるよう、事前照会や移転価格税制に関する事前確認に対応します。
  • ● 租税教育について、関係省庁や教育関係者、関係民間団体と連携し、その充実に向けた環境整備や支援に取り組みます。

(2) 事務の効率化の推進と組織基盤の充実

  • ● 厳しい行財政事情の下で国税庁の任務を適切に遂行するため、必要な機構・定員・予算の確保を図り、適切に配分するとともに、国民の視点に立って行政の効率化・経費の節減に努めます。
  • ● 事務処理の電子化など、事務の簡素・効率化に向けた不断の見直しを行い、特に、一時期に申告が集中する所得税の確定申告については、納税者利便の向上にも資するe-Taxの利用推進などに取り組みます。
  • ● 女性職員の採用・登用にも配意しつつ、経験や能力に応じた的確な人事配置を行い、必要とされる専門知識の一層の向上が図られるよう、研修などの指導育成策の充実を図ります。
  • ● 行政文書・情報の管理の徹底に取り組みます。

(3) 適正・公平な課税・徴収及び納税者の権利救済

  • ● 納税者の権利・利益の保護を図りつつ、悪質な納税者には厳正な態度で臨みます。
  • ● 課税・滞納処分に当たっては、調査段階において、納税者の主張を正確に理解し、その内容を客観的に吟味した上、的確な事実認定と法令の適用を行います。
  • ● 複雑化する経済取引等に対応するため情報収集体制の充実を図るとともに、資産運用の多様化や消費税の不正還付申告への対応など、経済・社会の変化に応じた重点課題を設定し、組織的に取り組みます。
  • ● 国際的な取引についても租税条約などに基づく外国税務当局との情報交換を行い、課税上問題があると認められる租税回避行為などには厳正に対応します。
  • ● 大企業の経営責任者等と意見交換を行い、税務に関するコーポレートガバナンスの充実を働きかけるとともに、その状況が良好で一定の条件を満たした大企業については次回調査までの間隔を延長し、より調査必要度の高い法人へ調査事務量を振り向けます。
  • ● 不服申立てについては、適正かつ迅速な処理を目指すとともに、より利用しやすい不服申立制度の環境の整備を図ります。

(4) 酒税行政の適正な運営

  • ● 酒類業の事業所管官庁として、酒税の保全と酒類業の健全な発達を図るため、関係省庁・機関等と連携・協調しつつ、消費者や酒類産業全体を展望した総合的な視点から、適切な法執行の確保と酒類業の振興の強化(特に輸出促進)に取り組みます。
  • ● 国際的な情報発信や国際交渉等を通じた海外需要の開拓、地理的表示(GI)の普及拡大等によるブランド化の推進、酒類製造業者等への技術支援や酒類の安全性の確保等に取り組みます。
  • ● 酒類の公正な取引を確保するため、酒類業者に対して、酒類の取引状況等実態調査を行い、「酒類の公正な取引に関する基準」に則していない取引が認められた場合、指示を行うなど厳正に対処します。
  • ● アルコール健康障害対策や資源リサイクルの推進といった社会的要請に応え、20歳未満の者への酒類販売の禁止や酒類容器の3R(リデュース・リユース・リサイクル)の周知・啓発を行います。

(5) 税理士業務の適正な運営の確保

  • ● 申告納税制度の適正かつ円滑な実現を図る上で、税理士の果たす役割は重要であることから、税理士業務の改善進歩のための団体である税理士会との連絡協調に努めます。
  • ● 税理士等による税理士法違反行為の未然防止に努めるとともに、税理士法に違反した税理士等や「ニセ税理士」に対しては、懲戒処分や告発を行うなど厳正に対処します。

(6) 政策評価と税務行政の改善

  • ● 国税庁が取り組むべき課題や取組方針、各種施策についての計画とその実施結果の評価・検証について、分かりやすくお知らせします。また、実施結果の評価・検証を踏まえ、税務行政の改善に取り組みます。

《コラム1》「税務行政の将来像〜スマート化を目指して〜」

 国税庁では、今後とも納税者の皆様の理解と信頼を得て適正な申告・納税を確保していくため、税務行政の透明性の観点から目指すべき将来像を明らかにし、その実現に向けて着実に取り組んでいくことが重要との考えの下、平成29(2017)年6月に、「税務行政の将来像〜スマート化を目指して〜」を公表しました。
 令和元(2019)年6月には、「将来像」公表から約2年が経過したことを踏まえ、これまでの間に具体的に実現した取組の紹介に加え、施策のイメージが具体化したものを、「『税務行政の将来像』に関する最近の取組状況〜スマート税務行政の実現に向けて〜」として公表しました。
 詳しくは、国税庁ホームページ(https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2017/syouraizou/index.htm)をご覧ください。

スマート税務行政の実現に向けて