酒類に関する公正な取引のための指針(酒税の確保及び酒類の取引の安定化、酒類業の健全な発達)

はじめに

  1. 1 近年の酒類市場
    • ・経営環境の変化(人口減少社会の到来など)
      ⇒酒類全体では数量ベースでの国内市場の拡大困難
    • ・酒類小売業の多様化(コンビニ、スーパー、ドラッグストアなど)
       ⇒事業者間で取扱数量や取引価格に格差
  2. 2 酒類業の健全な発達に向けた課題
    • 「量から質への転換」、「消費者の視点」、「販売管理」、「公正取引の確保」
  3. 3 酒類業組合法第84条〈酒税保全のための勧告又は命令〉の適用の可能性を踏まえつつ、「酒類に関する公正な取引の在り方」、「公正取引委員会との連携方法等」を提示
    • 公正取引の確保に向けた自主的な取組を促進

第1 酒類に関する公正な取引の在り方
( 酒税保全の観点から酒類取引の在り方を提示)

  1. 合理的な価格の設定
    1. 1 価格は「仕入価格+販管費+利潤」となる設定が合理的
       また、酒類の特殊性から妥当なものであるべき
    2. 2 酒類の特殊性に鑑みれば、顧客誘引のための「おとり商品」として使用することは不適正な慣行であり改善していくべき
    3. 3 的確な需給見通しに基づき、適正生産を行うべき
  2. 取引先等の公正な取扱い
     合理的な理由がなく取引先又は販売地域によって取引価格や取引条件について差別的な取扱いをすることは、価格形成を歪める一因
  3. 公正な取引条件の設定
     スーパー等大きな販売力を持つ者が、自己都合返品、プライベート・ブランド商品の受領拒否、従業員等の派遣、協賛金や過大なセンターフィーの負担等の要求を一方的に行う場合、又はこれらの要求拒否を理由として不利益な取扱いをする場合は、納入業者の経営を悪化させ、製造業者の代金回収に影響し、酒税保全上の問題発生のおそれ
  4. 透明かつ合理的なリベート類
     透明性及び合理性を欠くリベート類は、廃止していくべき

第2 取引状況等実態調査の実施及び公正取引委員会との連携等(国税庁の対応)

  1. 効果的な取引状況等実態調査の実施等
    1. 1 市場への影響の大きな業者に対し重点的に調査を実施
    2. 2 改善指導を行った業者についてはフォローアップ調査を実施
    3. 3 問題取引とその指導事績は可能な限り具体的に公表し、他の業者において同様の取引が行われないよう啓発
  2. 酒税保全措置
    1. 1 酒類業組合法第84 条第1 項に規定する過当競争の有無は、第1の「酒類に関する公正な取引の在り方」を参考に判定
    2. 2 酒税保全措置が必要な事態があるときは、事態解消に必要最小限の措置
  3. 独占禁止法違反等への対応
     国税局長は、酒類業者の取引に関し独占禁止法に違反する事実があると思料したときは、公正取引委員会に対しその事実を報告
  4. 公正取引委員会との連携等
    1. 1 国税庁は公正取引委員会と流通上の諸問題について協議
    2. 2 国税局に市場問題の情報を一元的に管理する担当者を配置