納税者の自発的な納税義務の履行を、適正かつ円滑に実現します。
国や地方公共団体は、国民の生活に欠かすことのできない公共サービスを提供するため、さまざまな行政活動を行っています。そして、その活動のために必要な経費を賄う財源が税金です。公共サービスが税金によって円滑に提供されるよう、日本国憲法は国民の義務の一つとして納税の義務を定め、国税庁は、税金を徴収する任務を負っています。
国税庁の使命は、納税者の自発的な納税義務の履行を、適正かつ円滑に実現することにあります。国税庁では、国民から負託された責務を果たすために、広報活動や租税教育など納税者が納税義務を理解し実行することを支援する活動(納税者サービス)や、善良な納税者が課税の不公平感を持つことがないよう、納税義務が適正に果たされていないと認められる納税者に対し、的確な指導や調査を実施することによって誤りを確実に是正する活動(適正・公平な税務行政の推進)により、内国税の適正かつ公平な課税の実現を図っています。併せて、酒類業の健全な発達ならびに税理士業務の適正な運営の確保に努めています。
国税庁は、これらの取組に当たっては、その責務について納税者である国民の理解と信頼を得ることが重要であると考えています。このため、これらを分かりやすく取りまとめた「国税庁の使命」1を職員に示して事務の遂行を図り、さらに、国民に対して公表しています。
使命:納税者の自発的な納税義務の履行を適正かつ円滑に実現する。
● 上記使命を達成するため国税庁は、財務省設置法第19条に定められた任務を、透明性と効率性に配意しつつ、 遂行する。
税理士がその使命を踏まえ、申告納税制度の適正かつ円滑な運営に重要な役割を果たすよう、その業務の適正な運営の確保に努める。
● 上記任務は以下の行動規範に則って遂行する。
● 高度情報化・国際化等の経済社会の変化に的確かつ柔軟に対応し、また、納税者のニーズに応えるため、税務行政組織及び税務行政運営につき、不断に見直し・改善を行っていく。
平成20年度の国の収入(一般会計歳入予算)は年間83兆613億円です。そのうち53兆5,540億円が租税及び印紙収入で、そこから税関からの税収分や日本郵政株式会社からの印紙収入分を除くと、国税組織の税収分は46兆9,709億円(約88%)となります。
また、所得税、法人税、消費税で税収分の約8割を占めています。
平成20年度の国税庁予算額は7,227億円で、その大半を人件費が占めています。近年は、特に事務の効率化や納税者サービスの向上に重点を置いており、国税総合管理(以下「KSK」)システムをはじめ、IT(情報通信技術)関連費の比率が高まっています。
国税庁の定員は、昭和40年代後半から昭和50年代は5万2,000人台で推移しました。その後、平成元年に消費税が導入されたことなどに伴い定員が増加しましたが、平成9年度にピークとなり、平成18年度までの9年間に1,000人を超える定員が減少しました。
平成19年度からは、定員増加に転じ、平成20年度の国税庁定員は5万6,216人となっています。
昭和50年度 | 平成9年度 | 平成20年度 | (参考) 平成20年度÷昭和50年度 |
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予算(億円) | 2,360 | 6,548 | 7,227 | 306.2 % |
定員(人) | 52,440 | 57,202 | 56,216 | 107.2 % |
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7,327 | 20,023 | 23,616 | 322.3 % |
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1,482 | 2,793 | 3,005 | 202.8 % |
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117 | ― | ― | ― |
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― | 2,521 | 3,701 | ― |
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8,926 | 25,337 | 30,237 | 339.7% |
※ 平成20年度の所得税確定申告数は、平成19年分の計数です。
平成20年度の法人数は、平成19年6月末の計数です。
は、消費税課税事業者等届出書提出件数です。なお、平成20年度は、平成20年3月末の計数です。
(参考)は、昭和50年度を100としたときの平成20年度の割合です。
国税事務を行う組織として、国税庁の下に、全国12の国税局(沖縄国税事務所)と全国524の税務署があります1。
国税庁では、高度情報化の急速な進展、経済社会の国際化などに対応するため、さまざまな取組を行っています。
平成19年度においては、特に、国税電子申告・納税システム(e-Tax)などITを利用した申告・納税の推進や、国際化への対応に向けた取組を行うとともに、行政コスト削減のため、事務の簡素化・効率化を推進してきました。
国税庁では、申告・納税の際の納税者の利便性の向上を図るため、e-Taxや国税庁ホームページにおける「確定申告書等作成コーナー」など、ITの活用を推進しています。
e-Taxについては、平成18年3月に決定した国税関係手続の「オンライン利用促進のための行動計画」(平成19年3月改定、以下「行動計画」といいます。)に沿って、利便性の向上などに取り組みました。
また、確定申告書等作成コーナーについても、納税者のニーズを踏まえ、より利用しやすいものとなるよう、操作手順書を作成し、ホームページに掲載するとともに、所得税の確定申告書の作成に際して、はじめてご利用になる方でも簡単に入力ができる機能などの追加を行いました。
各国の税制の差異や租税条約の違いを巧みに利用して租税負担を軽減する国際的租税回避スキームが問題となっています。こうした国際取引を利用した脱税や租税回避に対しては、あらゆる機会を通じて取引の実態把握を図り、課税上問題があると認められる場合には、綿密な税務調査を行い、厳正に対処しています。
海外に所在する関連企業との取引に伴う移転価格の問題については、「参考事例集」の公表により運用の明確化を図るなど移転価格税制の適正・円滑な執行に取り組んでいます。
また、各国間の課税ルールの違いによる二重課税リスクを排除するため、国際取引について各国共通のルールの整備が重要であり、税務当局間の国際会議へ積極的に参加しています。このほか、租税条約に基づく相互協議事案の適切・迅速な処理、開発途上国に対する技術協力にも積極的に取り組んでいます。
「簡素で効率的な政府」を実現するため、各府省において、「行政効率化計画」や「業務・システム最適化計画」などを定め、行政の効率化を一層徹底していくこととしています。
国税庁においても、税務行政を取り巻く環境が変化する中で、新たな課題にも積極的に取り組みながら、変化に柔軟に対応した効率的な事務運営を行うため、事務処理や関係システムを不断に見直していく必要があります。このため、事務の簡素化・効率化、経費削減などのさらなる最適化を図る観点から、平成18年3月に「国税関係業務の業務・システム最適化計画」(平成20年5月改定)を策定しました。具体的には、内部事務の一元化、税務相談の集中化、システム関係経費の削減、公共調達の透明性を確保するため、KSKシステムのオープンシステム化1の推進などの施策を進めており、行政コストの削減を図っています。
そのほか、業務の一部をアウトソーシングするなどさまざまな取組を行い、事務の簡素化・効率化を推進しています。