5 確実な税金の納付

(1) 自主納付態勢の確立

 申告された国税は、国庫に納付されて初めて歳入となります。平成15年度は、税務署に申告された国税等の課税額(徴収決定済額)約44兆7,600億円に対し、年度内に納められた税金は約44兆3,300億円であり、その収納割合は99.0%でした(なお、滞納整理等の実施により、平成16年度末までには、その収納割合は99.5%に達しています。)。
 国税は、納税者が自ら申告し、その税額を自ら納付書に書き入れて申告期限までに納付することになっています。したがって、誤って納付期限を過ぎてしまうことがないよう広報に努めるほか、継続的に申告・納付を行う個人事業者には、預貯金口座からの振替納税が利用できることを案内しています。平成16年からは、e-Taxによって自宅や事務所で国税の納付手続ができるようにするなど、納税者サービスの向上に努めています。
 また、前回、納期限を過ぎて納付した納税者には、あらかじめ文書で期限内納付を呼び掛けたり、誤って期限を過ぎてしまった納税者等には、督促前に電話で連絡するなど、滞納の未然防止に努めています。

●国税の滞納整理状況

国税の滞納整理状況


(2) 滞納圧縮への取組

 滞納とは、国税が納期限までに納付されず、督促状が発付されたことをいいます。平成16年度末時点の滞納税額は約1兆8,673億円となっています。
 滞納を放置することは、納期限内に国税の納付を行っている大多数の納税者との間に不公平をもたらし、申告納税制度が目指す自主申告・自主納付という原則を揺るがしかねないことから、納税者の個々の実情も踏まえた上で、厳正・的確な滞納処分に努めています。
 国税が納期限までに納付されず、督促状による督促を行い、さらに、必要に応じて文書や電話等により納付を促しても、なお納付されないときは、財産の差押え等を行います。しかし、納税者が災害や病気、又は経済的事情による休廃業等、一時的に納付が困難な場合には、納税を緩和する措置として、分割での納付を認めるなど、納税者の実情に即した対応を行います。
 国税庁は、平成11年以降、滞納の圧縮を当面の最重要課題の一つと位置付け、組織を挙げて滞納発生の未然防止に取り組むとともに、滞納整理に当たっては、預り金的性格を有する消費税の滞納と大口・悪質な滞納に対して優先的・重点的な取組を行い、また、新規に発生した滞納事案については、納税コールセンターを活用するなど、効率的に整理促進を図っています。その結果、年度末時点の滞納税額は、平成11年度以降6年連続減少しています。
 また、滞納処分の執行を免れる目的で、財産を隠ぺいしたり処分するなどの特に悪質な滞納者については、捜査当局に対し、国税徴収法第187条の滞納処分免脱罪による告発を行っています。

●租税滞納額等の推移

租税滞納額等の推移


(3) 納税コールセンター

 納税コールセンターでは、コンピュータシステムにより自動的に滞納者へ電話をかけ、税務職員が、端末機画面に表示された滞納者情報を参照しながら、納付の催告を行っています。平成16年度の催告対象事案28万8,000件のうち、17万8,000件(約62%)が完結等に至っており、滞納整理の効率化に役立っています。


(4) 効率的な債権債務の管理

 納税申告や還付申告によって、国税の債権債務の管理業務が大量に発生します。この債権債務を、的確かつ効率的に管理するため、昭和41年からシステム化を図ってきました。平成13年にKSKシステムが全国の税務署に導入され、統一されたシステムで債権債務を管理しています。
 また、税金の収納については、所得税を中心に年間約4,000万件の納付があります。これまでは、その大半が金融機関の窓口で納付されていました。この大量に発生する収納を効率的に処理するため、申告所得税及び消費税の磁気テープ交換による口座振替、いわゆる振替納税1を導入して事務作業の合理化を図るとともに、日本銀行による納付書のOCR処理など金融機関や日本銀行との連携によって合理化を図ってきました。還付金の支払いについても、各税務署から書面で振込処理を行っていましたが、平成13年に磁気テープによる還付金振込処理のペーパーレス化・集中化を開始し、平成18年秋頃からオンラインによる振込みを行うことを予定しており、効率的かつ迅速な処理を進めています。
 国税債権債務の管理は、課税と徴収の要となるものです。今後とも、システムの高度活用により、迅速かつ的確な処理を行い、納税者に対する還付金の早期還付に努めるなど、サービス向上を図っていきます。


  1. 1 振替納税は、納税者があらかじめ指定した金融機関に、税務署から納付書を送付して預貯金口座から引き落として納付するという方法によって行われます。納付書を大量に金融機関 に送付する必要がある場合には、この事務を効率的に行うため、金融機関に口座振替のためのデータを記録した磁気テープを送付し、口座振替の処理を行って、その結果を送付した磁 気テープに記録して返却してもらうという処理を行います。
  2. 2 OCR処理(光学式文字認識処理)とは、納付書に記載された文字を電子データに変換することをいい、これによりペーパーレス化を図ることができます。

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