(1)改正消費税法の定着に向けた取組み

 平成15年度(2003年度)の税制改正により、消費税に対する納税者からの信頼性、制度の透明性を高める観点から、事業者免税点制度1の適用上限の3,000万円から1,000万円への引下げ、簡易課税制度2の適用上限の引下げなどの改正が行われました。これらの改正は平成16年(2004年)4月1日に実施され、個人事業者については平成17年(2005年)分、法人の事業者については平成16年4月1日以後開始する事業年度から適用されています。国税庁は、この改正消費税法の対応を税務行政の最重点課題の一つと位置付け、制度の円滑な定着に向けて広報、相談、指導といった各種施策を重層的に実施しています。
 特に、事業者免税点の引下げにより、個人・法人を合わせて約180万の新たな課税事業者が生じることが見込まれていますが、その多くは事業規模の小さな個人事業者となっています。国税庁では、こうした事業者の方々にまずは消費税法の改正内容を知っていただき、課税期間が始まる平成17年1月からの記帳や書類の保存を適正に行っていただけるよう各種媒体を活用した広報、説明会の開催、記帳の仕方の説明や記帳指導機関の紹介などを行っています。また、関係民間団体の皆様には取引先の事業者の方々に記帳の必要性などを周知していただく、「一声運動」の推進をお願いしています。
 国税庁は、今後も引き続き、制度の周知、説明会の開催、期限内に納付を行っていただくための納税資金の積立や振替納税の利用を推進するなど、新たに課税事業者となる方々が平成17年分の確定申告期において消費税の申告と納税を適正に行っていただけるよう、広報・相談・指導といった各種施策のきめ細やかな実施に努めていくことにしています。

図3 消費税の免税点の引下げに伴う課税見込者数

(平成16年12月末現在)

消費税の免税点の引下げに伴う課税見込者数のグラフ


  1. 1 事業者は消費税の納税義務がありますが、消費税が課税される売上高が1,000万円(改正前3,000万円)以下の事業者は納税義務が免除されています。これを事業者免税点制度といいます。
  2. 2 消費税の納付税額は、売上に対する消費税額から仕入等に含まれる消費税額を控除して算出することが原則ですが、消費税が課税される売上高が5,000万円(改正前2億円)以下の事業者は、売上に対する消費税額に業種に応じた一定の仕入率を乗じて簡易に消費税額を算出することができます。この制度を簡易課税制度といいます。

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