第1節 概要

1 基本的な考え方

 広報広聴事務は、国民各層・納税者の方々(以下この章において「納税者等」という。)とのコミュニケーションを通じて、国税庁の使命である「納税者の自発的な納税義務の履行を適正かつ円滑に実現する」ことを目的としている。
 その実施に当たっては、納税者等に対して、租税の意義・役割及び国税庁の取組について広く理解を求め、申告・納税に関する法令解釈や税務手続等について、納税者の視点に立った分かりやすく丁寧な周知・広報を行うとともに、納税者等の意見や要望等を聴取し、事務の改善に努めている。
 また、国と地方公共団体の共催による広報活動を一層推進するとともに、地方公共団体が独自に行う広報活動についても積極的に協力し、国及び地方を通じた日常の広報活動が一体的かつ効果的に行われるよう配意している。
 更に、納税者等に対する広報広聴を効果的に実施していくため、関係民間団体等との連携・協調を図り、関係民間団体等が行う税に関する広報活動を、可能かつ適切な範囲内で支援している。

2 計画的な広報の実施

 国税庁、各国税局・沖縄国税事務所及び税務署で実施する広報施策を統一的な方針の下で戦略的に展開する観点から、年間の広報計画を策定し、併せて年間の重点広報項目を設定することにより、効果的かつ効率的な広報施策の実施に努めている。
 平成21事務年度以降の重点広報項目は次のとおり。
事務年度 重点広報項目
平成21 ・e-Taxの周知及び利用促進
平成22 ・e-Taxの利用促進
平成23 ・e-Taxの利用促進
平成24 ・税の役割と税務署の仕事
平成25 ・ICTを利用した申告・納税手続の推進
・消費税法の改正等
平成26 ・ICTを利用した申告・納税手続の推進
・復興特別所得税に係る周知
・消費税法の改正等
平成27 ・社会保障・税番号制度
・改正相続税法等
・ICTを利用した申告・納税手続
平成28 ・社会保障・税番号制度
・ICTを利用した申告・納税手続
平成29 ・社会保障・税番号制度
・ICTを利用した申告・納税手続
・消費税の軽減税率制度
平成30 ・社会保障・税番号制度
・ICTを利用した申告・納税手続
・消費税の軽減税率制度

3 運営体制

 国税庁広報広聴室、国税局国税広報広聴室及び沖縄国税事務所国税広報広聴官並びに広域運営の中心となる税務署に配置する税務広報広聴官を中心として運営し、税務広報広聴官は、広域運営の対象となる税務署(総務課)に対する指導や支援を行っている。
 なお、平成28年度から、国税庁広報広聴官の名称を国税庁総務課広報広聴室に変更した。

第2節 広報広聴活動

1 納税意識の向上に関する事務

(1) 税を考える週間
 納税意識の向上に向けた税の啓発活動としての広報広聴施策は、年を通じて行うこととしているが、短期間に活動を集約することで、職員の広報意識の醸成や関係民間団体等との連携・協調を促進しつつ、広報施策の訴求効果も高めることができることから、国税庁では、毎年11月11日から17日までを「税を考える週間」として、集中した広報広聴施策を実施している。
イ 「税を考える週間」のテーマ
 「税を考える週間」においては、時機に応じたテーマを設定して、各種広報広聴施策を実施している。
 平成20年度から平成22年度までは、テーマを「IT化・国際化と税」とし、国税庁ホームページ(後述2(3)参照)や国税電子申告・納税システム(e-Tax)をはじめとしたIT化及び企業や個人による国境を越えた多様な経済行動に対応した国税庁の取組を紹介した。
 平成23年度から平成27年度までは、テーマを「税の役割と税務署の仕事」とし、適正・公平な課税及び徴収の実現に向けた国税庁の取組を紹介した。
 平成28年度以降は、社会保障・税番号制度(マイナンバー制度)の本格実施や、消費税率の引上げ及び軽減税率制度の導入に係る消費税法の改正など、国民生活に関係する制度改正が行われている点を踏まえ、テーマを「くらしを支える税」として、各種施策を展開している。
ロ 取組紹介ページ
 「税を考える週間」の期間中は、国税庁ホームページに国税庁の取組紹介ページを開設している。
 このページでは、毎年度のテーマに即した情報の提供や「税を考える週間」の取組内容等の紹介のほか、「税の学習コーナー」(後述ハ参照)の紹介、インターネット番組「Web-TAX-TV」(後述2イ参照)の配信、税に対する理解を深めるための講演会・説明会資料を掲載している。

取組紹介ページのトップ画面(平成30年度)

取組紹介ページのトップ画面(平成30年度)

 なお、講演会・説明会資料については、平成24年度に大幅にリニューアルして内容の充実を図っており、平成26年度からは「消費税の仕組」、平成27年度からは「社会保障・税番号制度(マイナンバー制度)」、平成28年度から「税を考える週間の歴史」を追加するなど、時宜に応じた改訂を行っている。
 更に、税の啓発活動の裾野を広げる観点から、平成28年度からは、大学生、専修学校生、企業家等の幅広い層に対する取組の充実を図るため、社会人等向けに視覚的に分かりやすい資料をスライドにした講演会・説明会資料の簡略版「くらしを支える税」を作成した。

講演会・説明会資料(平成30年度)

講演会・説明会資料(平成30年度)

簡略版「くらしを支える税」(平成30年度)

簡略版「くらしを支える税」(平成30年度)

ハ 各国税局・沖縄国税事務所及び税務署における取組
 「税を考える週間」の期間中は、全国各地で講演会・説明会、国税モニターとの意見交換会、税に関する作文の表彰などを行っているほか、税理士会や、青色申告会、法人会、間税会、納税貯蓄組合、納税協会等の関係民間団体等においても、税金展、資料展示、講演会など活発な施策を実施している。
(2) 租税教育の推進
 国民が国の基本となる租税の意義や役割、申告納税制度の意義などを正しく理解し、社会や国の在り方を主体的に考えることは、納税に対する納得感の醸成と民主国家の維持・発展にとって重要である。
 このような健全な納税者意識を養うことを目的として、国税庁では、租税教育は、学校教育を中心に社会全体で継続的かつ段階的に取り組むことが必要であるとの考えの下、次代を担う児童・生徒等に対し、関係省庁、教育関係機関及び関係民間団体等と緊密に連携・協働して、租税教育の充実に向けた環境整備や支援を行っている。
イ 租税教育推進協議会の運営
 租税教育の推進のための環境を整備し、租税教育の充実を図るため、国税当局、地方税当局、教育関係機関、関係民間団体等を構成員とする租税教育推進協議会(以下「地方租推協」という。)を設立し各種施策を行っており、都道府県単位で47会、市区町村等単位で726会が設立されている(平成31年3月末時点)。
 地方租推協では、租税教育推進施策として、租税教室等の開催、租税教育用副教材の作成・配付、学校教育関係者等を対象とした研修会の開催等を行っている。
ロ 租税教室等の開催
 教育関係機関との連携により、児童・生徒等を対象とした社会科教育の一環として、税務署等からの講師派遣による租税教室・講演会を開催している。
 なお、平成30年度には、延べ9,203人の国税職員を講師として派遣している。
ハ 租税教育用副教材の作成・配付
 学校教育における租税教育を充実するため、都道府県単位の地方租推協では、小学生及び中学生を対象とした租税教育用副教材を作成し配付している。
 国税庁においては、租税教育用ビデオを制作し、各国税局・沖縄国税事務所及び税務署に配付している。
 また、国税庁ホームページの「税の学習コーナー」においては、小学生以上の各年代に応じて学ぶことができるよう、税の仕組みなどを分かりやすく解説した情報や租税教育用ビデオ、ゲーム、租税教育用教材等を掲載しており、平成26年3月には、タブレット端末からの閲覧も意識した画面構成にするなどのリニューアルを実施するとともに、高校生向けの学習ページを追加した。
 更に、国税庁ホームページにおいて配信しているインターネット番組「Web-TAX-TV」では、平成26年3月に中学生向け、平成27年3月に小学生向けの税の学習番組(動画)を作成・配信した。
ニ 学校教育関係者等を対象とした研修会等の開催
 各国税局・沖縄国税事務所においては、財政や租税に関する理解を深め、社会科等の授業において教員自らによる租税教育の実施につながるよう、社会科担当の教員等を中心に、租税や税務行政等に関する情報を提供する研修会、セミナーなどを地域の実情に即して実施している。
ホ 高校生の税の作文募集
 国税庁では、昭和37年度以来、全国の高等学校の協力を得て「税に関する高校生の作文」の募集を行っており、募集作品の中から優秀作品を厳選し、表彰している。
 応募数は年々増加しており、平成30年度には全国1,810校から21万9,163編の応募があった。
 平成27年度からは、高校生が税について考え、自らの意見を表現する内容となるよう、作文のテーマを、「税に関すること」から「税の意義と役割について考えたこと」に変更した。
ヘ 租税教育推進校等の表彰
 平成3年度以来、児童・生徒等に対する租税教育の推進及び租税教育推進のための基盤整備等について、特に功績のあった学校、教育委員会及び関係民間団体等を表彰することで、租税教育の一層の充実を図っている。
ト こども霞が関見学デーへの参加
 「こども霞が関見学デー」は、文部科学省をはじめとした各府省庁等が連携して、子供たちを対象に業務説明や職場見学などを行うことにより、親子の触れ合いを深め、子供たちが夏休みに広く社会を知る体験活動の機会とすることを目的とした取組であるが、国税庁は平成12年度から参加している。
 平成18年度からは、子供たちに税に対する理解を深めてもらうため、東京国税局東京上野税務署に設置している租税教育用施設「タックス☆スペースUENO」において、クイズ、ゲームなどを活用した体験型のプログラムを実施している。
チ 租税教育を取り巻く環境の変化への対応
 平成23年度税制改正大綱(平成22年12月16日閣議決定)において、納税環境整備の一環として「租税教育の充実」が初めて盛り込まれ、①小中学校段階だけでなく、社会人となる手前の高等学校や大学等の段階における租税教育の充実、②租税教育を担う教員等に対する意識啓発、③関係省庁及び民間団体が連携して取り組むことが明記された。
 また、平成28年6月の公職選挙法等の改正により、選挙権年齢が18歳以上に引き下げられたことを受け、主権者教育の重要性が高まってきた。
 更に、平成29年3月に小学校、中学校、平成30年3月に高等学校の学習指導要領が改訂され、小中高の全ての段階において、「主体的・対話的で深い学び」(いわゆる「アクティブ・ラーニング」)の視点からの授業改善が推進されることとなった。特に、高等学校に必履修科目として新設された「公共」においては、現実社会の諸課題に関わる具体的な主題を設定し、他者と協働して主題を追究したり解決したりすることができるよう指導をすることとされており、その現実社会の諸課題の一つとして、「財政及び租税の役割」が盛り込まれるなど、租税に関する記述の充実が図られた。
 国税庁では、これらの租税教育を取り巻く環境の変化に対応するため、学校教育関係者のニーズを踏まえ、関係省庁、関係機関、関係民間団体等と連携・協働して、租税教育の一層の充実に向けて取り組んでいる。
(イ) 租税教育推進関係省庁等協議会の設立・運営
 平成23年度税制改正大綱を受け、関係省庁が連携・協調して租税教育の充実に向けて取り組んでいくことを目的に、平成23年11月16日に国税庁、総務省、文部科学省を構成員とする租税教育推進関係省庁等協議会(以下「中央租推協」という。)を発足させた(日本税理士会連合会が賛助会員として参画)。
 中央租推協では、租税教育の充実に向けた基本方針、効果的な支援策を協議し、合意に至った基本方針等を地方租推協の活動等に反映させ、租税教育の更なる充実を図ることとしているほか、次のような施策を実施している。
A シンポジウムの開催
 教員や租税教育関係者(以下この章において「教員等」という。)に租税教育の必要性や重要性について考え、理解を深めてもらうとともに、その実践方法に関する情報の共有を図ることを目的として、平成25年10月に第1回租税教育に関するシンポジウムを開催(平成29年8月まで5回開催)した。
B 租税教育の事例集の作成
 平成27年4月、教員等の意識啓発を図ることを目的として、全国で行われている租税教育の優れた取組事例などを基に、「租税教育の事例集~租税教育の充実に向けて~」を作成し、各国税局・沖縄国税事務所、教育委員会、地方公共団体、一般社団法人教科書協会等に周知・配付するとともに、国税庁ホームページの「税の学習コーナー」に掲載した。
C 教員等向け研修会への講師派遣
 教員等に対する税の啓発活動を支援するため、平成30年8月、東京国税局主催のセミナーに講師を派遣した。
(ロ) 文部科学省への要望
 昭和38年以来、歴代長官から文部事務次官(平成13年以降は文部科学事務次官)宛に、租税についての教育を充実するよう要望してきており、昭和43年に小学校の学習指導要領に初めて「納税の義務」が記載され、現在では、小中高の学習指導要領に「租税の意義と役割」等が盛り込まれている。また、学習指導要領を受けて、小中高の全ての教科書に租税に関する記述がされている。
 平成29年3月及び平成30年3月の学習指導要領の改訂に当たっても、租税に関する記述の更なる充実に向けて、長官から文部科学事務次官に対して要望を行った。
(ハ) 教科書編集者への働きかけ
 教科書及び指導書の記述について、租税への理解がより深まる内容となるよう、文部科学省と連携を図り、平成25年4月に一般社団法人教科書協会を通じて、教科書編集者に対して租税教育に関する説明会を実施した。
 また、平成29年5月から6月には小学校「社会」を、平成30年6月には中学校「公民」を、令和元年6月には高等学校「現代社会」、「政治・経済」の教科書編集者に対して情報提供を行った。

2 税に関する知識の普及と向上に関する事務

(1) 確定申告期広報
 所得税及び復興特別所得税、贈与税並びに個人事業者の消費税及び地方消費税の申告・納税期限の周知、閉庁日対応に関する情報の提供、国税電子申告・納税システム(e-Tax)の利用勧奨を中心として、毎年12月から翌年3月末日までの間、確定申告期広報を実施している。
 確定申告期広報の実施に当たっては、著名人によるパブリシティのほか、ポスター、テレビCM、新聞・インターネット広告等を効果的に組み合わせて広報展開を図っている。
 また、国税庁ホームページに「確定申告特集ページ」を開設し、確定申告に関する各種情報や、国税庁が提供している各種サービスに誘引するための各種広報施策を実施している。
 なお、国税庁が提供しているサービスには、画面の案内に従って金額等を入力すれば、税額などが自動計算され、申告書等を作成することができる「確定申告書等作成コーナー」や、インターネットで国税に関する申告や納税、申請、届出などの手続ができる「国税電子申告・納税システム(e-Tax)」などがある。

特集ページトップ画面(平成30年分)

特集ページトップ画面(平成30年分)

(2) 各種媒体を活用した広報
 納税意識の向上と税知識の普及を図ることを目的として、国税庁、国税局・沖縄国税事務所及び税務署においては、効果的・効率的な広報展開が図られるよう各種広報媒体を活用している。
イ インターネット番組「Web-TAX-TV」
 インターネット普及の状況や、予算の効率的な執行の観点から、平成17年に国税庁ホームページにインターネット番組「Web-TAX-TV」を開設し、税に関する動画を配信している。
 Web-TAX-TVでは、国税庁の取組や仕事をドラマ仕立てで紹介する「取組紹介番組」や、確定申告における税の取扱いや手続を紹介する「税務手続番組」など、令和元年6月末時点において、60本を配信している。
 なお、Web-TAX-TVのアクセス件数は、平成26年度に約86万回であったが、スマートフォンやタブレット端末の普及に伴い、同時に番組を配信している後述のYouTube「国税庁動画チャンネル」による視聴へシフトしてきていることから、平成30年度は約20万回となっている。

取組紹介番組:国際課税に関する取組の現状と今後の方向~富裕層PTの展開~

取組紹介番組:国際課税に関する取組の現状と今後の方向~富裕層PTの展開~

取組紹介番組:税のプロフェッショナルを目指して

取組紹介番組:税のプロフェッショナルを目指して

ロ YouTube「国税庁動画チャンネル」
 平成21年度に新たな情報提供ツールとしてYouTube上に国税庁専用の「国税庁動画チャンネル」を開設した。
 「国税庁動画チャンネル」では、Web-TAX-TVで配信している番組のほか、租税教育アニメビデオ、「税を考える週間」や確定申告期に各国税局・沖縄国税事務所及び税務署が実施した著名人によるパブリシティの模様など、令和元年6月末時点において、102本の動画を配信している。
 なお、「国税庁動画チャンネル」の再生回数は、平成22年度は約6万回であったが、年々増加して、平成30年度は130万回を超えている。

国税庁動画チャンネルバナー

国税庁動画チャンネルバナー

ハ SNS等の活用
 情報提供ツールの更なる充実を図るため、平成23年1月から試行としてTwitterに、国税電子申告・納税システム(e-Tax)のイメージキャラクター「イータ君」になぞらえ、国税庁公式アカウント「イータ」を作成した。
 試行当初は、確定申告期の広報に関連する情報発信(ツイート)をしていたが、平成23年3月に発生した東日本大震災を受けて、震災関連の国税庁からのお知らせや、国税庁の取組に関する報道発表に連動したツイートなども行うようになったことから、国税庁のツイートであることを明確にするため、平成25年6月から公式アカウントを「@NTA_Japan」に変更して本格運用に移行した。
 また、平成26年度からは、ツイートに「#」(ハッシュタグ:検索用キーワード)や画像を添付して検索を容易にするとともに、発信回数を増やし、平成27年度からは、国税庁ホームページのトップページにTwitterのリンクを設置するなどして、フォロワー数の増加を図っている。
 なお、令和元年6月末時点のフォロワー数は、約8万人となっている。
ニ パンフレット・リーフレット
(イ) 暮らしの税情報
 「暮らしの税情報」(パンフレット、リーフレット)は、納税者等の事情に応じた税務手続ごとに、税法、記帳、税額の計算方法など、実務上必要な最新情報を平易な表現で分かりやすく掲載しているものである。これらは、税務署に備え置くほか、納税者等との相談や、各種説明会等で配付している。
 なお、平成18年度から作成していた「税の手続ガイド」は、平成22年度に「暮らしの税情報」に統合した。

暮らしの税情報(平成30年度版)

暮らしの税情報(平成30年度版)

(ロ) 点字広報誌「私たちの税金」
 目の不自由な方のために、所得税を中心とした税に関する身近な情報を掲載した点字広報誌「私たちの税金」を作成し、税務署に備え置くとともに、様々な場所で閲覧・貸出ができるよう、全国の点字図書館、一部の公立図書館、盲学校、視覚障害者支援施設などに配付している。
 また、国税庁ホームページにも点字用のダウンロードファイルを掲載している。
 なお、平成25年度からは、音声CDも作成し、点字図書館などに配付するとともに、国税庁ホームページに掲載している。
(ハ) 国税庁レポート
 国税庁レポートは、国民に対する行政の説明責任を果たすため、国税庁が抱えている課題と取組・その実績を説明することを目的として、日本語版・英語版を毎年作成している。
 写真や図、計数やグラフを用いて、納税者等に「分かりやすく」「見やすい」記載に努めるとともに、広く納税者等の縦覧に供するため、国税庁ホームページに掲載している。

国税庁レポート2019(表紙)

国税庁レポート2019(表紙)

(3) 国税庁ホームページの管理・運用
 平成10年11月に開設された国税庁ホームページ(https://www.nta.go.jp)は、身近な税の情報や国税庁の業務内容等の情報を提供するだけでなく、「国税電子申告・納税システム(e-Tax)」や「確定申告書等作成コーナー」といったICTを活用した納税者サービスの窓口としての機能及び納税者等からの意見・要望を聴取する広聴窓口の機能を有するなど、広報広聴媒体の中核となっている(平成30年度アクセス件数3億3,283万件)。
 このため、国税庁ホームページによる情報の提供等に当たっては、「利用者の視点に立ち、誰もが必要な情報に容易にアクセスできるホームページ」を念頭に、掲載情報の充実、利用者の利便性向上を図っている。
 平成25年12月には、閲覧端末の多様化への対応及び災害発生時の情報発信手段の確保のため、携帯電話等用サイト(https://www.nta.go.jp/m/)を開設した。
 また、平成29年度には、「Webサイト等による行政情報の提供・利用促進に関する基本的指針」(平成27年3月CIO連絡会議決定)等に基づき、国税庁ホームページのリニューアルを行い、情報の入口を分かりやすくするために情報分類を整理したほか、スマートフォン等の閲覧端末の多様化に対応した画面サイズに合わせて自動的に表示を調整する機能(レスポンシブWebデザイン)を採用するなど、一層の利便性の向上を図った。
イ メール配信サービス
 利用者の利便性の向上を図るため、平成17年1月から「国税庁ホームページ新着情報配信サービス」を、同年7月から「メールマガジン配信サービス」を開始した。
ロ ウェブアクセシビリティ対応
 国税庁ホームページは、高齢者や障害者を含めて、誰もがホームページ等で提供される情報や機能を支障なく利用できること(ウェブアクセシビリティ)に配意しており、日本産業規格(JIS)が定めたウェブアクセシビリティの基準「JIS X 8341-3(高齢者・障害者等配慮設計指針-情報通信における機器、ソフトウェア及びサービス-第3部:ウェブコンテンツ)」及びJIS X 8341-3に基づきウェブアクセシビリティの向上を図るため総務省が作成した手順書「みんなの公共サイト運用ガイドライン」に基づき運用している。
 また、平成25年3月に「国税庁ウェブアクセシビリティ方針」を定め、目標とするJIS X 8341-3の適合レベルを設定しており、平成26年度及び平成30年度に、ウェブアクセシビリティへの対応状況を確認する試験(JIS X 8341-3に基づく試験)を実施し、その結果を国税庁ホームページで公表するなど、目標達成に向けた取組を行っている。

3 広聴に関する事務

(1) 国税モニターの運営
 国税に関する納税者等の意見・要望等を収集し、事務運営の改善に役立てるなど、納税者利便の向上に資するとともに、国税に関する情報、資料等を提供することにより、税務行政に対する納税者等の理解の向上を図ることを目的として、昭和46年度から国税モニター制度が運営されている(令和元年度354名)。
 なお、インターネットの普及に伴い、国税庁ホームページ等への意見・要望等やパブリックコメントの募集、インターネットを利用したアンケートの実施など、納税者等から直接意見・要望等を聴取する環境が整ってきたことから、平成25年4月から、国税モニターの委嘱対象者を広報広聴や租税教育等に精通した者とし、設置税務署数やモニター数、委嘱事項等の国税モニターの運用を見直した。
(2) 窓口等における意見・要望等の集約
 平成12年度から、広聴機能の充実を図る見地から、従来の税モニター制度を活用した国税に対する意見・要望等の聴取に加え、広く納税者等からの国税当局の窓口やホームページに寄せられた意見・要望等を集約し、関係部署において、納税者利便の向上や事務運営の改善に資する体制を整備している。
 また、納税者等の視点に立って、双方向のコミュニケーションを図るといった観点から、納税者等から寄せられた意見・要望等のうち、改善を予定しているもの又は既に改善を実施したものについては、国税庁ホームページにおいて、具体的な取組状況を定期的に公表している。

4 報道に関する事務

 国税庁においては、昭和24年8月から、国税庁記者クラブ(財務省財政研究会の分室という形で、主に社会部記者によって構成されており、令和元年6月時点で14社が加盟している。)に対し記者発表・資料提供を行っている。
 また、税務関係専門誌の国税記者クラブ(令和元年6月時点で9誌8社が加盟、クラブ室名は「国税潮見坂クラブ」)に対しても、国税庁記者クラブと同様に記者発表等を行っている。
 なお、各国税局・沖縄国税事務所及び税務署においても、各国税局・沖縄国税事務所や県レベルでの課税事績の記者発表等を行っている。
 記者発表においては、各税目の課税事績、調査事績、税務統計などの情報を提供し、主管部長等が説明を行っている。
 更に、マスメディアの情報伝達力を積極的に活用し、国税当局の取組、特に調査や滞納整理といった、適正・公平な税務行政に関する取組を的確に納税者等に伝えることにより、その信頼と理解を獲得し、納税コンプライアンスの向上につなげていくといった積極的な情報発信にも努めている。

5 部内広報紙の発行

 国税庁においては、主として国税庁の方針、情報等を国税庁、各国税局・沖縄国税事務所及び税務署の職員に周知させ、円滑な事務運営を図ること等を目的として「国税広報」を発行している。平成17年度までは紙媒体による作成・配付であったが、平成18年度以降は、電子媒体で作成している。
 また、各国税局・沖縄国税事務所においても、情報共有・伝達のための広報紙を電子媒体で作成している。