第1節 税理士制度の沿革

 我が国における税務に関する専門的職業家制度は、昭和17年に戦時下の税務行政の適正な運営を図る見地から「税務代理士法」が制定され制度的に確立した。その後、シャウプ勧告等を受けて納税義務を適正に実現すること等の見地から、昭和26年に従来の税務代理士法に代えて、新たに「税理士法」が制定された。以後、昭和31年、昭和36年、昭和55年、平成13年、平成26年等に数次の改正が行われ現在に至っている。

第2節 税理士業務の適正な運営の確保

 税理士がその使命を踏まえ、申告納税制度の適正かつ円滑な運営に重要な役割を果たすためには、税理士業務の適正な運営を確保することが必要であり、国税庁では、税理士会との連絡協調を推進するとともに、税理士に対する指導・監督を的確に実施している。

1 税理士会との連絡協調

 税務行政上の施策についての理解を求める等のため、国税庁では日本税理士会連合会、国税局では税理士会、税務署では税理士会支部と協議会等を定期的に開催するなど、連絡協調する関係を構築しており、近年では、軽減税率制度、e-Taxの普及などについて、積極的に意見交換を行っている。また、税理士会が開催する研修会等への講師派遣を積極的に行っている。

2 税理士に対する指導監督

 税理士等の税理士法違反行為の未然防止の観点から、あらゆる機会を活用して税理士等に対して注意喚起を行うとともに、各種情報等から税理士法違反行為が疑われる税理士等に対しては、税理士法に基づく調査を行い、その結果、問題があった場合には、法令に基づく懲戒処分を行うなど、厳正に対処することとしている。
 なお、平成23事務年度からは、それまで税務署に配置していた税理士専門官を各国税局に集中配置し、税理士法違反行為者に対する懲戒処分やにせ税理士に対する取締りに重点を置いた事務運営に努めることとしている。

第3節 書面添付制度

 書面添付制度は、税理士又は税理士法人が申告書の作成に関し、計算し、整理し、又は相談に応じた事項を記載した所定の書面が添付されている申告書を提出した納税者にあらかじめ日時、場所を通知して税務調査を実施しようとする場合には、その通知前に、税務代理権限証書を提出している税理士に対し、添付された書面に記載された事項に関し意見を述べる機会を与えなければならないという制度である。
 国税庁においては、税務執行の一層の円滑化・簡素化を図っていくため、書面添付制度の一層の普及・定着を図る必要があることから、日本税理士会連合会と協調して、その普及等に取り組むこととしている。
 この普及策の一つとして、日本税理士会連合会においては「添付書面作成基準(指針)」を定めており、これを踏まえ、国税庁においては、意見聴取を行った結果、調査の必要性がないと認められた場合に、税理士等に対し「現時点では調査に移行しない」旨を原則として書面により通知することとしている。