分科会長
 それでは最後の議題になると思いますが、事前照会に対する文書回答について。

課税部長
 資料3−3をお開きいただきたいと思います。必ずしもそれほど大きな制度という話ではなくて、単なるトピックスみたいな話なんですが。従来より納税者の予測可能性を高めるために、各種施策をやっております。
 一番基本的には、文書に書いてありますが、法令解釈通達。これは法律の解釈を示したもので、たくさん発遣しております。それ以外に、一般的な解釈ですが、個々の取引について、税務当局に対して年間数百万件照会をされます。そういうのは口頭で回答をしているわけであります。
 ただ、従来から一部文書による回答も行っております。それは例えば証券業協会から、こういう商品について、これは課税になるかならないか。どういう所得になるかとか、そういうものですね。例えば、このようなものは協会全体に影響しますから、その協会はその回答を受けて、傘下の企業全部に通達を出すとかしていて、このような文書回答も一部やっていたわけであります。
 一方、昨年来、ノーアクションレターというのが話題になりました。これは主として金融庁、経済産業省に関係するものでありますが、IT関連で新しい事業をする前に、それが法律に抵触するかどうか、事前にノーアクションレターを出して回答をもらうと。そういう世の中全体の動きがありましたので、我々はそういうノーアクションレターの世界とはちょっと違うのでありますが、従来からも一応文書回答も行っておりますので、文書回答手続を整備しました。それを公表いたしまして、本年9月3日から、そういう方法で文書回答を行っております。
 1ページ以下に書いてありますが、あくまで文書回答は、特定のAさんと当局の関係というのではなくて、多数の納税者、要するに同種の取引で、こういうケースはこういう課税になるということを回答するわけですから、あくまでも公表することを目指しています。国税庁ホームページにも掲載をいたします。したがって、質問された方のお名前、どういう案件、これは全部公表いたします。そういう趣旨であります。
 実際、2ページ目に、具体的にどういうケースか1から5まで書いてありますが、1は、全く架空の話では困るということですね。全く架空の話では答えようがないものですから。
 それから、2番目は、やはり特定のAさんというだけではちょっと困ります。そういう取引が一般的・普遍的に見られる取引、皆さん方の参考になる必要がありますから、そういった取引であること。
 3番目は、我々はそれを見て検討をいたしますので、必要な書類を出していただく。
 それから、4番目は、あくまでも内容は公表いたします。公表して、国民の皆様に知っていただくわけでありますが、そういうのに同意していただく。
 それから、申告前に行うこと。申告後に出していただいてもちょっと困りますから。
 そういったことを行っているところであります。
 現在までのところ、十数件問い合わせが来ておりますが、実際に文書で回答したのは、これができてから2件です。
 1つ代表的な例は、従来、企業の再建支援、金融機関の債権放棄が寄付金課税になるかどうかということについて、個別の照会がたくさん寄せられております。東京国税局調査部などが窓口になるのですが、そういった再建支援の延長上なんですが、本年春の緊急経済対策を受け、私的整理に関するガイドラインというのが作られました。これはA銀行、B銀行が何々企業に対してというのではなくて、一般的なガイドラインですが、そのガイドラインに基づいて策定された再建計画による債権放棄等の税務上の取扱い、そういう文書照会がきておりますので、我々は文書でそれは差し支えないということで回答をして来ておりますし、それは国税庁のホームページに載せております。
 あと1件は、民事信託というのがあるのですが、それが従来の土地信託と扱いが同じかどうか。同じということなんですが、そういう問い合わせ。これは三井不動産からの照会事例ですが。
 今、正式に回答したのは2件だけですが、順次処理が終われば回答していきたいと思います。
 以上であります。

分科会長
 ありがとうございました。只今の事前照会に対する文書回答についての説明に対して何か御質問、あるいは御意見ございませんでしょうか。

宮崎委員
 これはホームページに直接照会して、ホームページで回答するということはないのですか、そういうことは。

課税部長
 それはちょっと難しいですね。照会というのは、本当に数百万件も来ているんですね。1対1のケースであれば、別に文書で回答する必要はないわけですね。数百万件に文書で回答するとすると我々はほかの仕事が何もできませんから。皆さん方に知っていただく必要があるものについて、あくまで我々は文書回答を行う。だから通達まではいかないのですが、若干それに近いものなんですね。
 したがって、やはりそこには慎重を要しますから、事実関係を確認する必要があります。あくまで具体的な事例に即して。基本的には具体的な、これの課税とか、そういう直接ではなくても、一応具体的な課税に関して御照会していただいていますから、具体的に来ていただいています。いろいろ説明をして、これだったら納得だということをやっておりますので、ちょっとダイレクトというのは少し難しいですね。

分科会長
 何かほかに御質問、あるいは御意見ございませんでしょうか。

 (「なし」の声あり)

分科会長
 ほかにございませんでしたら、予定された議題はこの辺で終わりたいと思いますが、何かこれ以外に、議事全般につきまして、御質問、御意見がございましたらどうぞ。

 (「なし」の声あり)

分科会長
 それでは予定の時間の範囲ですが、ここで議事を終わらさせていただきたいと思いますが。どうも私は、最初どうも失礼いたしました。
 それでは、今日の国税審査分科会を終らせていただきます。どうもありがとうございました。

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