会長
 それでは、次の資料5でございます。御説明をお願いいたします。

徴収部長
 徴収部長でございます。
私の方から「滞納整理事務の現状と今後の課題」について、資料5でございます。1ページをお開きください。
国税が納期限までに納付されないというときには、滞納となるわけでございまして、督促状が滞納者に対して発せられます。そこの図にありますように、平成14年度に徴収決定された税額、言い換えますと納税者の方が納めるべき税額、このうち97.6%が督促状を発する前に納められたと、そういう状況になっております。
一方、滞納になりました差額の2.4%部分でございますけれども、これを平成14年度中に整理したもの、これが1.4%。それから、翌年度平成15年度に0.5%が滞納整理をされて収納されておるわけでございます。徴収決定後、翌年度末までに全体の99.5%が徴収されているということが、その図で示されております。
次に2ページでございますが、2ページの上の表でございます。折れ線グラフ、これは全税目の滞納整理中のものの額、いわば滞納残高の推移を示しております。この滞納残高につきましては、昭和40年代以降増加の一途をたどっておりまして、平成10年度末には2兆8,000億円台までに達しましたが、平成11年度以降減少に転じまして、平成15年度末では2兆228億円と、11年度以降5年連続の減少となっております。また下の表にありますように、その減少率も年々大きくなっていると、そういう状況でございます。
次に3ページでございますが、この表は全税目の中から消費税を抜き出しまして、滞納の状況を示しております。消費税滞納につきましては、従来から預り金的性格をかんがみまして、国民の皆様の信頼を損なうことがないように、その未然防止と整理促進に積極的に取り組んできているところでございます。
その結果、消費税の滞納残高は、平成12年度以降減少に転じておりまして、15年度末で5,296億円と、こちらの方は12年度以降4年連続の減少となっております。
次に納税コールセンターについて説明をさせていただきます。納税コールセンターにおきましては、各税務署で新規に発生しました小口の滞納事案、これにつきまして自動的に電話をかけまして、その電話に滞納者が応答した場合には、滞納金額等に関する情報が端末機の画面に表示されまして、オペレーターがその画面を見ながら納付の催告を行う、そういったシステムを有するものでございます。このセンターは平成14年4月から東京国税局で運用を開始いたしまして、昨年の9月からは全国拡大をしたところでございます。
その運用状況でございますが、5ページを御覧いただきたいと思います。平成14年の運用開始から平成16年12月末までに電話催告の対象となったものが約43万2,000人でございます。このうち完結に至ったのが約23万7,000人ということで、54.9%の完結率ということになっております。サンプル調査によりますと、この完結率は、従来の文書による催告に比べまして、約5倍の効果を発揮しているという結果になっております。
なお、この納税コールセンターで完結に至らなかった事案につきましては、所轄の税務署に戻しまして、各税務署において滞納整理を実施していく、そういうことになっております。
次に、資料は付けておりませんけれども、今後の徴収部の課題について2点ほど申し上げたいと思いますが、1点は改正消費税法への対応でございます。先ほど課税部長から話がありましたとおり、免税点の引き下げによりまして、今後法人、個人合わせて約180万の新規課税事業者が見込まれておるわけでございまして、これが消費税滞納の増加につながるのではないか、そういった懸念があるわけでございます。このため、私どもとしては、滞納発生の未然防止に努めるとともに、滞納となったものについては、今説明いたしました納税コールセンターを活用するなどして、効率的に滞納整理を図っていく必要があるというのが第1点でございます。
それから第2点目は、国税の徴収業務の民営化についての議論でございます。
昨年規制改革・民間解放推進会議におきまして、官業の民営化について検討が行われまして、国税の徴収業務の民営化についても取り上げられました。これに対しまして、国税庁としては、「国税の賦課・徴収というのは、国民の権利義務に直接影響を及ぼす国家固有の公権力の行使でありまして、このような公権力の行使に関する事務を民間企業に委託するということは、適当ではない。」という考え方を基に説明をしてまいりました。
その結果、昨年末の第1次答申におきましては、今後の課題として、引き続き、規制改革・民間解放推進会議において更に検討を進めるということになっております。
私どもとしては、国税の徴収業務が民営化された場合の税務行政に与える影響等について、繰り返し説明をしていくことといたしておるところでございます。
徴収部からは以上でございます。

会長
 どうもありがとうございました。
それでは引き続き資料6でございます。

岡本審議官
 私の方から資料6と7を続けて御説明させていただきます。
資料6は「酒類業界の現状と今後のあり方」という大きな見開きのものがございますので、これを御覧いただきたいと思います。今まで御説明したような国税庁の仕事の税務行政というのとは、ここは少し違いまして、いわば酒類産業行政ということでございます。一つの国税庁の大きな柱として酒類業界の健全な発展ということがございまして、これに関しての我々なりのビジョンといいましょうか、現状分析と今後のあり方を一覧表にしてみたものです。
資料の左の方が現在与えられている外部の要因、それから現状、そして右の方に行くにつれてどういう対策が考えられるか、その結果、一番右の方でどういう将来像の方に向かっていくべきかというような形に整理したものでございまして、酒類産業、それも川上から川下まで、製造、卸、小売とそれぞれの業態がございます。我々常にこういう問題については、大きな視野を持って、幅広く川上から川下まで状況を把握し、対応していきたいというふうに思っているところです。
一番左のところにあります社会情勢の変化、健康志向の高まりとか食生活の変化、少子高齢化、経済的な要因もいろいろ変わってきております。こういう中で酒類業界が、メーカーの段階においても、流通の段階においても、いろいろ問題を抱えるに至っているわけです。
時間の都合で細かくは触れませんけれども、例えば製造をとってみますと、低コスト、低価格のお酒が増加してきているという品質の問題が一つあろうかと思います。
それから同じメーカー間においても、巨大なメーカーもあれば、零細ぜい弱なメーカーも併せて存在する。一方で供給過剰の体制、過剰供給があり、そして過度の競争なども行われている分野もあると、そういう状況が流通の方にも、そして小売の方にもいろいろと影響してきている。
さらには、消費者の段階においても、例えばレストランにおいてお酒の実際の販売管理などがきちっとされているだろうか、販売店においてもその点はどうだろうか、消費者はそれに対して品質価格面で不満や疑問を持っていないだろうか、というようなことが問題意識として挙げられるかと思います。
そういうことに対して、行政だけでは解決のつく問題ではありませんし、業界も行政も併せてだと思いますけれども、例えば製造段階において、より付加価値の高い品質のいい製品をつくっていく必要があるのではないか、そのための研究や、酒類総合研究所などにおける技術指導なども、もっともっと拡充していく必要があります。
さらには、例えば実際に売られているお酒をきちっとチェックしていくことも必要だろうと、さらに、消費者に向けた品質基準など、消費者に分かりやすい表示をしていくことが大切だと思います。また、産地が、例えば清酒や焼酎などについて言うと、どこどこの生産のものという地理的表示などを、きちっと付け加えていくということも大事な情報の一つではないだろうかと思います。
一方では、過剰設備の解消や公正取引も重要な問題であります。それから輸出を振興していくことも一つの有効な策だろうと思います。これについては、後ほど一言触れさせていただきます。
それから中ほどに製造、卸、小売それぞれ共通のサクセスストーリーやリーディングケースの提供などもございますが、業界全体として、その一つ下の方では、例えば一般酒販店においても品質管理やサービスの向上を図っていただく必要があります。業界全体として未成年の飲酒防止や販売管理体制をきちっとしていくというような社会的責任というのでしょうか、社会的要請への対応もきちっとしていく必要があるだろうと思います。この点は、後ほど昨年1年間ほどかけて懇談会などが開かれて、そこでの取りまとめもございますので、もう一度簡単に触れさせていただきます。
そして、消費者に一番近いところの飲食店や消費者サイドというところですけれども、やはり料飲店でのお酒のサーブの仕方、管理の仕方も、もう少し改善の余地があると思いますし、最終的に消費者にきちっとした的確な情報が伝わることが重要だろうと思っております。
そういう対策をいろいろ川上から川下まで打っていくことによって、右にありますようなメーカー段階においても高付加価値、高品質のいわゆる品質のいい酒類がつくられ、適正な経営戦略の下に出荷されていくこと、量から質への転換を図っていただくことが流通段階においても、それぞれ本来の機能をきちっと生かしていくことのきっかけになると思いますし、最終的に消費者に正しい知識とともに安全な酒類、高品質の酒類というものが提供されていくということが望ましいのではないかというふうに考えているわけです。こういう考え方の下に、なるべくきめ細かな対応を行政としても、それから業界にもお願いをしていこうというのが我々の今の酒類産業行政の概要でございます。
1枚めくっていただきますと、資料と同じように大きな紙ですけれども、特に清酒の輸出ということに絞ってまとめてみました。先ほども輸出の振興とありましたものの、一つのケースということで御覧いただければと思います。
そもそも日本酒というものの輸出割合は、今のところ、ほんの数%で大変小さなものでございます。しかし、皆さんも御承知のようにアメリカなどで日本食、特にすしなどのブームが起きているというこういうものを逃すことはありませんので、併せて日本食に一番ふさわしい日本のお酒をセットで輸出していくということが、大変望ましいことだと思います。輸出は金額、数量においても着実に伸びておりますけれども、まだまだ数としては少ない。ただ、中でもやはり米国への輸出がかなり多くなっておりまして、2番目の米国でのマーケットの分析というところを御覧いただきますと、大きな円グラフに国別の清酒の割合が書いてございますけれども、アメリカにおいてはアメリカ産の清酒というのが6、7割を占めている。これは日本の現地法人などが造っているものが大半とは聞いておりますけれども、いわゆる現地産の比較的安いお酒でございます。
これに対して日本から輸出したものは、プレミアム酒というふうに評価されておりまして、割合としてはそう多くはありませんけれども、きちっとした評価を得ているところであります。こうしたところを今後どんどん拡充していく、伸ばしていくということが重要だろうと思います。
ちなみに韓国や中国、台湾というふうに日本の次に清酒の輸出元になっておりますけれども、特に最近はアメリカなどにおいては韓国産の安い清酒なども急に伸びてきているというふうに聞いております。そういう意味では、国酒である日本の清酒も安閑としていられない状況だというふうに言えようかと思います。
そういうことに対して、我々としても積極的にできることを手助けしていこうということで、現地のマーケットの分析を含め、いろいろな見本市と、それから公的な大使館ルートを通じての日本酒の紹介と、それから輸出向けに輸出企業に対して日本酒の輸出の手引を作るなど、そういったこともやっていきたい。ないしは酒類総合研究所による輸出の清酒に対する品質保証制度なども考えられるのではないかということで、いろいろ検討しているところであります。
一つめくっていただきますと、話は変わりますけれども、先ほども社会的要請というところで一言触れました、酒類販売業等に関する懇談会というのを昨年行っておりましたが、未成年の飲酒防止等適正飲酒についていろいろな御提言をいただいて、その取りまとめをここに併せてお付けしております。
ちなみに、今日、委員でおられる田嶼委員もこの懇談会のメンバーに入っておられまして、いろいろと御意見をいただいたところであります。
社会的な要請、未成年の飲酒防止ということについて、参入規制で対応することは難しいのですけれども、いろいろな措置を考えていく必要があるだろうということで、関係各省にもいろいろ声をかけながら、現在この取りまとめを受けた対応策を検討しているところでございます。
御参考までに、関東信越国税局が4月13日に埼玉のスーパーアリーナで、関東信越国税局管内の6県の地元のお酒のきき酒会というのを予定しております。これも地域の地酒を振興する我々の一つの対策ということなのですけれども、委員の方々で御関心のあります方は是非お出かけいただければ、一声国税庁の酒税課にでもお声をおかけいただければ、また詳しく御紹介をさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。
それから、引き続き資料7の方に移らせていただきます。最後のテーマで、KSKについてということでございます。
KSKにつきましては、冒頭、次長の全体の説明の中でも若干触れられておりますが、御承知のとおり国税総合管理システムの略なのですけれども、全国の国税局、税務署をネットワークで結んで国税の債権管理等の情報処理、事務処理を一元的に行っているコンピュータシステムでございます。今日はそのKSKシステムの調達、契約などの見直しの取組と、国税庁のシステムにおける情報のセキュリティについて簡単に御説明させていただこうと思います。
先ほどの紹介にありましたように、17年度末までに国税庁も業務・システムの最適化計画を策定することにしているのですけれども、もう既にそのための第一歩ということで、KSKシステムの見直しのための刷新可能性調査というものを行いまして、その結果を踏まえて、この資料にございますようなKSKシステムの見直しということを行っております。
現状というところが、もう既にどんどん変わっているところですけれども、上の方がこれまでの状況と考えていただいて、今年度に入ってからこの見直し後というような下の方に移ってきているわけです。
細かいところは省略させていただきますけれども、全体として、このKSKシステムは、ベースとなります既存のセンター機器にいろいろな端末機器などが付属しておりまして、ソフトウエアの開発も併せて行っているという状況できたわけです。見直しの一つ目ですが、オレンジのところにプロジェクトマネージメント業者というものがあります。
これは、いわば外部の専門家の立場で国税庁の発注側の立場に立ってシステム全体のあり方などについていろいろアドバイスをしていただくという業者でありまして、一般競争入札により昨年9月に導入しました。特に今年から来年度にかけては、KSKシステムのセンター機器のうち、ホストコンピュータについてリプレースを行います。この進め方についてですが、一方では、今も確定申告が行われておりますように、日々いろいろな納税者からの申告の受付、処理をしながら他方でこうした大がかりなホストコンピュータのリプレースをしていくという大変重要で難しい作業ですけれども、そういうものを円滑に進めていくことができるようにということで、このプロジェクトマネージメント業者というものに入ってもらっています。また、それ以外にもシステム全体をいろいろな面からチェックしてもらっているわけです。
それから二つ目には、真ん中のこの既存センター機器というのが非常に大きなウェートを占めておりまして、従来は随意契約できたわけですけれども、これにつきましては、中核となる部分はやむを得ないにしても、それ以外の部分をできるものからオープンシステム化していくということです。その上で随意契約ではなくて、むしろ一般競争入札に付していくということを行っております。また、既存センター機器のうち本体のホストコンピュータについては、昨年度一般競争入札を実施して契約をしたところでございます。
それから3番目には、この調達の単位を細分化したり、機器やソフトウェアの汎用製品化を図りまして、できる限り競争入札の対象範囲を広げていこうということを考えております。できるところから実施しているわけです。
このような努力もありまして、ちなみに、このホストコンピュータをリプレースいたしますと、年間ベースで見れば、従来の機器の借料が平成15年度で230億円弱かかっておりましたけれども、リプレースが完了した後の平成18年度のベースで見ますと150億円未満ということで約80億円、35%程度のコスト削減が図られるということになっております。こうした努力をそれぞれきめ細かに今後もしていくこととしております。
最後のページでございますけれども、国税庁のシステムにおけるセキュリティの概要について御説明をさせていただきたいと思います。
国税庁のシステムは、納税者の皆様の重要な情報を扱っておりますので、何よりも信頼性の確保ということでセキュリティをきちっとすることが大切です。現状では職員がシステムを使用する際は、一番上のところですけれども、それぞれユーザーIDと暗証番号によりまして利用資格をチェックしますとともに職員の所属している国税局や税務署、それから担当業務に応じて業務上必要なデータ以外は参照できないような制限的な仕組みになっております。
さらに、KSKシステムにおいて管轄外のほかの局署のデータを参照するというような必要がある場合には、管理者の事前の承認を受ける必要がありますほか、職員が参照したデータへのアクセス記録をきちっと保存しておりますので、何か問題があれば事後的に監査ができるということでセキュリティの確保に十分配慮しているところであります。
それから、外部へのデータの流出防止策ということで、パソコン自体に盗難防止策を講じたりフロッピーでの情報の持ち出しや、出力を制限しています。また、万が一に備えて操作記録を保存して万全を期しているところでございます。
以上でございます。

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