酒税課長
続きまして、酒類行政を巡る最近の動きということで、「酒類販売業に関する懇談会」の取りまとめ、昨年の9月に行われました。酒類分科会におきましては、一通り御説明をさせていただいた内容でございますが、改めて委員の皆様方に御説明させていただきます。
この資料のほうに、取りまとめについての内容を示したペーパーがございます。酒類小売業の免許につきましては、規制緩和推進三か年計画に沿いまして、段階的に規制緩和を実施してきております。距離基準が13年1月に廃止されまして、人口基準につきましても本年9月に廃止される予定でございます。
他方、酒類販売業を取り巻く環境は、いろいろ酒類の販売管理に関する社会的な要請が高まってきている。規制緩和などによりまして、取引環境にも大きな変化が生じてきております。このような状況を踏まえまして、一昨年12月より有識者による、この懇談会を開催いたしまして、9月に取りまとめをいただいたところでございます。
その内容でございますが、1枚目にございますが、まず環境変化を踏まえた将来の酒類業の姿ということで、酒類を巡る変化。ここでは酒類の特性として、4つ掲げてございます。それから数次の規制緩和措置により、近年酒類がさまざまな店舗で販売されるようになり、低価格により販売競争も激しいと、容器も多様化しているという状況であります。それから酒類を販売する側にとっても購入する側にとっても、酒類がほかの商品と変わらない一般商品化してきていると。したがって、そういうことから未成年者の飲酒問題などといった観点から、酒類の特性のうち、特に致酔性を有するということがクローズアップされているということでございます。
それから次に酒類業の特性とあるべき姿ということですが、伝統性・地域性があり、中小企業が多い。アルコールを含む飲料で、かつ、課税物資である、この酒類の取扱業者の役割というのは今後も重要であると。酒類業のあるべき姿として消費者利便の確保に加え酒類業に対する社会的要請に適切に対応する必要性ということから、7つの項目が掲げられているところでございます。
国税庁におきましては、これまでの酒税の確保を中心とした事務運営から消費者利益の確保及び酒類業の健全な発達のため、酒類行政を広く捉えて運営体制の一層の整備を進めることが必要であるというふうに下のほうに書いてございます。
次のページでございますが、2はこれまでの規制緩和等の評価でございます。規制緩和に伴いまして、市場は活性しておりますが、一方で、販売競争が激化していると。多くの小売業者が退出している状況もございます。それから不当廉売や差別対価取引等の不公正取引を防止するため、公正取引委員会から酒類ガイドラインの発出等が行われた。未成年者飲酒禁止法は二度改正されて、強化が行われているが、これは未成年者飲酒防止の実効性が上がっていないという指摘もあり、さらに実効性を上げる必要があるということでございます。
そこで3番目に結論でございますが、小売業に関わる今後必要な手当てということで、酒類の特性や現状を踏まえ、酒税の確保に加え適正な販売管理のためという要請に応える必要があると。ここで人口基準が廃止されます15年9月に向けて、その手当てを整理して、段階的にこれを措置していく検討を求めております。
特に取りまとめのポイント(5)販売管理等の観点から売場での酒類の分離・陳列、あるいは適切な販売管理を行う者の配置。それから改良型自販機への移行、長期的には撤廃。それから小売業者に対する研修の実施。人的要件の整備等が掲げられてございます。
国税庁におきましては、4番目の酒類小売業の健全な発展のための取組を含め、これらの指摘事項に的確に対応していくとともに、取りまとめにおいてもできるだけ酒類業界の自主的な取組が必要だというふうに、いわゆる法的な措置のほかに、通達改正、告示改正、あるいは業界の指導、業界の自主的な取組と、パッケージの形で15年9月に向けて、この酒類行政に対応していく必要があるというふうにあります。
最後の一枚、社会的な要請への対応と書いてございますが、酒類業免許の人的要件の整備ということからはじまって、上から3つが法律の改正事項になりますが、酒税法の免許拒否要件に、未成年者飲酒禁止法、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律等に違反し、罰金刑に処せられた者を追加する。あるいは酒類を適正に販売管理できる者を選任する。あるいは酒類と他の商品の区分陳列を徹底させるといったようなことに加えまして、小売酒販組合の活性化支援、公正取引の確保といったような指導、自主的取組によって対応していきたいと考えているところでございます。
少し時間の関係で走りましたが、以上でございます。
会長
ただいまの酒類販売、あるいは酒税の、主として懇談会の御説明ですね。
どうぞ御自由に御質問があるようでしたら。
三屋委員
1つだけいいですか。従来型自販機と改良型自販機の違いだけ教えていただけますか。
酒税課長
従来型の自販機というのは、いわゆる普通の自販機でございます。改良型の自販機というのは、例えば、運転免許証とかお店が発行したIDカードでもって成年であるということが確認できる形のものでございます。改良型は大体1万2,000台ぐらいございまして、従来型が6万4,000台。平成8年は、18万台ぐらいありましたが、だんだん減ってまいりました。改良型はそういう形で年齢確認ができるというものでございます。
三屋委員
ありがとうございました。
会長
未成年の人はその自販機では買えないということですね、一応は。
ほかにどうぞ、御質問。
元来は人口基準と距離基準というのがあって、お酒を売っている店はある程度離れていなくてはいけない。人口の大きさによってと。
酒税課長
さようでございます。距離基準というのは、例えば100メートル、150メートルという間隔以上でもってお店を開店しなければいけない。これは13年1月に距離基準は廃止されたのでございます。人口基準というのは、平成10年から規制緩和が始まっておりまして、当時は1,500人に1件の割合で免許を出して、今は1,100人に1件ということです。この基準が15年9月から廃止されるというのが閣議決定で決まっているところでございます。
会長
何かここで。
幸田委員
私は、小売組合の役員をやっているわけですが、大変最近苦情が多いです。というのは、なぜ中学校や高校の近くでお酒の販売所があるのか。お父さんがアルコール依存症で困っている、入院している病院の隣に販売場があると。大変我々に苦情が来ているのです。ただし、これは私たちがやらせているわけではなくて、国税庁がそこに認めているわけですから。お酒というのは本来不便性のある商品であって、買う側も売り場の一定の不便性のある商品だという認識は、日本はなかなか希薄化されていますよね。そういう点でも大変な国家的な損失が、私はできているのではないかなというふうに思っておりますので、国税庁も一生懸命対応していただいているわけですけれども、酒税の保全だけではなくて、やはり社会的な面をもう少し強調していただきたいと。国税庁に文句言ってくださいと私は言っていますけれども。
酒税課長
委員がおっしゃるような御趣旨もよく分かりますし、それから外国においても確かにアメリカの一部の州で教会とか医療施設、学校のエリアに対する基準を設けるところがあります。ただその点についてはどういう形で、既に既存の業者の方もいらっしゃいますし、そこにどういう設置基準を営業の自由との関係で設けるかというのも、大変難しい問題になりますので、慎重に1つ検討課題として考えていきたいと思います。
幸田委員
それから我々の側から言ってはいけないのですが、自動販売機はやめたほうがいいですよ。改良型だろうが従来型だろうがやめて、ハワイでさえお店の営業が6時から11時半と、あとはそれ以上はやっていないということがあるんですね。やはりそこまで徹底しないと中途半端なことをやっていると、置いていいのか置いてはいけないのか分からないようなことだったら、これは置き得、やり得になってしまいますので、是非もう置かないなら置かないという、長期的だとか言わないで、悪いから長期的には撤廃するということなのだから、今すぐ撤廃すればいいんですよ。
酒税課長
それは幸田会長からそういう話が出て、大変心強い気持ちでございます。アクションプログラムを実は業界の皆さん方と今検討中なのですが、確かにいきなり撤廃するという考え方はありますが、1つはそれが零細な小売業者の方の経営につながっているという面も実は考えなければならない。7年の5月に小売中央会が、従来型を撤廃し、設置する場合は改良型とするという決議をしました。平成8年が18万台だったのが、今や6万4,000台と残存率が35%。今後2万2,000台撤廃する予定になっている。これも小売中央会はじめ業界の皆さん方のいろいろ御努力の成果でございます。これをさらにどういうスケジュールで今会長が言われたように加速していくのかというようなことを十分また業界とも御相談させていただきたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
会長
お酒というのは、かなり文化的にいろいろほかの国と比較しても、少しこれは脱線ですが、かなり違いがあって、アメリカでもやはりドライステイトというのはそれなりにあるわけですし、とにかくやはり国によって、それから酔っ払った人に対するパーセプションも、国によってかなり違っている。日本はやや寛容なほうですよね。
幸田委員
この間も、新大久保でありましたよね。酔っ払った人を救出しようと韓国の人と、それから日本人が救出に行ったんですけれど、救出できなくて、その3人とも亡くなってしまったというところで、またここで、一時その新大久保ではお酒を売らないと。ここまた最近、今度は売ると。そういうようなことが簡単にぱっとすぐ変わってしまうという、やはりそういう危険なところにも、長距離列車に乗ってそれで行くというのならわかりますけれど、通勤途中で一杯ラッシュのところでお酒を販売するというのは異常ではないかなという気がします。これは売る側から本当はそういうことは言ってはいけないのですけれどね。ぜひそういうことも考慮にお願いしたいと思います。
会長
何かほかに。酒類行政について何か御発言、御質問ございませんでしょうか。
それでは今まで議論しましたことに関連する話、あるいは税務行政、その他の問題でも結構ですが、御発言あるいは御質問ありませんでしょうか。
それでは一応皆さんの御発言あるいは御質問が、今までの議題について十分な議論をしたというふうに考えさせていただきますので、この辺のところで本日の審議会は終らせていただきたいと思います。
それから、議事につきましては、本日の議事要旨と議事録の公開ですが、国税審議会議事規則にのっとりまして、まずは簡潔な内容の議事要旨として公表し、議事録は完成次第公表させていただきたいと思います。議事録につきましては、公表前に皆様の御発言内容に誤りがないかを確認させていただきたいと思います。議事要旨の内容等については私に一任させていただけますでしょうか。
本日は非常に活発な御議論がありまして、ある意味ではフランクな御議論がありました。議事録、議事要旨の作成及び公開、あるいは議事録の公開については、以上のような形で取り扱いをお願いしたいと思います。
それでは第4回の国税審議会をここでもって閉会させていただきます。どうも本日はありがとうございました。