国税庁次長
 ただいま長官が発言したことと重なるのですが、事務局として、実はこの国税審議会というものを考えるときに非常に悩みました。と申しますのは、本来は、国税審議会自体、法律事項を議論するということになっているわけで、その根拠はそれぞれの各分科会が所掌している法律事項、それぞれをこの場で御議論いただくと、こういうことになるのでございます。
 ただ、現場の我々から申しますと、それぞれの法律事項も背景がございまして、特に今、国税行政自体、非常に大きな転換期を迎えています。特に今回の税理士法改正もその一つでございますけれど、今までのような税務行政からかなり変えていく時期に遭遇していまして、我々も、前回もお話ししたかもしれませんが、視閲ですとか、従来であれば、どちらかといえば上から見るというのを、そうではなくて、むしろ我々が出している通達そのものが事務運営上本当にワークできるのかどうかというのを、むしろ現場に行って、見て直そうというのを作業としてやってきており、その視閲の結果も今回公開して参ります。ある意味では、検査院がやってきたようなこと以上のことを発表していくというか、我々自体見直そうという時期にいるわけでございます。そういう意味では法律事項以外も、我々の気持ちとしては、この国税審議会の場で本当は御議論をいただきたいわけです。ただ、法律上は、審議会はあくまでも法律事項に限るという規定になっておりまして、はっきり言うと悩んでおります。我々としては、各分科会で各法律事項にかかわることを御議論いただき、そこから、先ほど尾崎委員が言われたように、一部のものは国税審議会全体で議論していただかなければならない問題が出てくるので、その場合は、それぞれ法律事項でございますから、それは当然のルールとして御議論いただくのですが、我々としては、それに加えて現在、国税行政が置かれている状況というのを、折に触れてこの場でぜひ議論していただきたいと思っているわけでございます。
 特に、今の情報公開の話一つとりましても、これから情報公開が4月1日から始まりますと、多分、間違いなく不服審判所においても大変な資料要求が来る。守秘義務との関係でどこまで開示できるかというのを非常に悩んでおります。我々も、調査という観点から言えば重い守秘義務が、通常の公務員の守秘義務以上の税法の守秘義務がかかっている。その中で一体どういうように対処していくのか。いろいろな問題に実はぶち当たっておりまして、こういう場で、年に少なくとも1回か2回は税務行政を取り巻く背景をしっかり議論いただけたらと、本当は思っております。
 ただ、このあたりは、実は非常に悩ましいのは、先ほども申したとおり法律上は、審議会というのはそういう場ではないということになっていまして、法律事項をやるんだということになっているわけでございます。そのあたり、むしろ今後、会長の御裁断でどういうふうに運営していただけるのか、御相談していきたいと私どもは思っています。これはむしろ我々からの思いです。
 多分、逆にそれでは分科会と会の運営はと申せば、まさに会長の御判断ですが、やはり法律としては国税審議会が、それぞれの分科会に散りばめてはおりますけれど、国税審議会において最終的には御審議いただく格好になっていますから、各分科会長が、これはやはり全体で議論いただかなければならないという事項は、すべて国税審議会に上がってくる可能性がある。その意味では、その法律の中にはかなり守秘義務にかかわるものがございますから、そのあたりは、その時々で公開か非公開かとやる手はあるかもしれませんけれども、基本的には、多分、そこは縛っておかないと、特に税理士分科会のような事項というのはかなりナーバスな部分を含んでおりますので、という気が私ども事務局ではいたしております。

会長
 今までの御議論かなり錯綜しまして、ほかにもし短い時間ですが、追加的に意見があれば。
 今、いろいろ行政サイドでも言っておりました点を含めますと、要するにですね、各分科会ではかなり守秘義務に属するのは間違いないんで、したがって、それを受けて全体としての審議会で、議題として何が出てくるかは必ずしも今の段階で予測可能ではないのですが、かなりの程度の場合によっては、今までは不服審判に正式にかかったケースはないわけですけど、世の中かなり動いておりますから、いろいろなケース出てくると思いますので、そういう点を含んで、かなり守秘義務的な要素を含んだものがここに出てき得るという御理解のようだと思いますが、ということであればですね、一応、ここに書いてあるって言うことで、非公開とするということでよろしゅうございますか。そういうふうにさせていただいてよろしゅうございますか。とりあえず原案どおりということで、ただし、今申しました点は、ここでかなりいろんな議論があったっていうことは、十分今後の運営について考えるべき点があると思いますので、その点は配慮していただくようお願いしたい。
 あとは、分科会のそれぞれの議事規則でございまして、国税審議会議事規則案を御承認いただける方は、手を挙げていただきたいと、どうぞ。
 どうもありがとうございました。全員承認ということで。
 それではですね。今の規則案を承認いたしましたということでございます。
 それからあとはですね。分科会の議事規則につきましては、一つのポイントは、議事の手続その他の審議会の運営に関する必要な事項のうち、分科会の招集手続等重要な事項は、国税審議会に諮って定めることとした。ですから、分科会の招集その他の手続について、ここでお諮りすると言うことであります。それから、これは先ほども説明がありましたが、会長が認めた場合に限り、各分科会の議決をもって審議会の議決とすることができるということでありまして、ですから分科会で議論したことがどの程度、ここでもう一度議論するか、あるいは全体にわたるいろんなポリシーの問題かな、そういうことも含めてその点については、分科会の議事でそのまま認め、非常に技術的な問題とか、先ほど尾崎委員が言われましたように、試験委員の選定とかその他の件もですので、これはほとんどもう問題なく分科会に多分お願いするということになっておりますが、その辺のところで、分科会だけではない、この審議会の議決とすべきことがあればここでお諮りするということでございますが、それぞれの分科会の議事規則案につきましては、時間がだいぶ過ぎましたが、ちょっと御説明ください。どの点がそれぞれ少し違ってるか、あるいはほとんどそう違わないのか簡単に御説明ください。

総務課長
 はい。承知いたしました。
 資料の番号としては5番でございますが、参考資料3の方に3つの分科会の議事規則をまとめて、対比しながらまとめさせていただいておりますので、そちらの方を御覧いただきたいと思います。参考資料の方の3番でございます。
 簡単に御説明申し上げますと、一番左の国税審査分科会の方では、第1条で会議の招集、どういう場合に招集するかと、審議会令で定められた事項以外にも、そういう招集する場合があるということになってございます。1ページお捲りいただきますと、第2条におきまして、先ほど御審議いただきました国税審議会議事規則の規定を準用しますという形になっておるわけでございます。
 あとは、真ん中の税理士分科会につきましては、試験の関係と懲戒の関係がございますので、若干詳しく書いてございます。第2条で試験委員及び懲戒審査委員の推薦の話、第3条で試験委員の人員、4条で懲戒審査委員の人員、それから、5条におきまして懲戒処分の審議、第6条におきまして懲戒審査委員の審査、そして先ほどと同じように、第7条で国税審議会議事規則の準用という形になってございます。
 それから、右側の酒類分科会の方につきましても、基本的には構成は同じでございますが、2条におきまして部会の設置、部会の議決に関する規定を付けてございます。そして、第3条で部会の人員ということを定めまして、あとは準用規定という構成になってございます。
 以上でございます。

会長
 只今の参考資料3ですね。これは分かりやすいと思いますが、それぞれの分科会の規則でございますが、基本的には公開については先ほどのを準用するという。それ以外は、やっぱり税理士分科会というのは、非常にやる仕事がはっきりと規定されてるという感じですが。
 この規則について、何か御質問御意見ございませんでしょうか。
 これも、先ほどと同じ手続ですが、事務局から御説明いただきました参考資料3の対照表の各分科会の議事規則案を承認いただけますでしょうか。承認いただけます場合は、挙手でお願いいたします。
 それでは、各分科会の議事規則案を承認いたしました。
 これで、フォーマルの議事は終わったんですが、あとは、時間がかなり過ぎましたんで大変恐縮ですが、確定申告について何か一言だけ御説明いただくことがあれば、ごく短時間でよろしいですが。

課税部長
 課税部長の村上でございます。
 本日から所得税の確定申告が始まっておりますので、私どもの確定申告に対する取組について簡単に御説明させていただきたいと思います。
 一応、資料をお配りしてあると思いますが、ここに確定申告期間が書いてございますが、所得税は今日から、消費税につきましては、今年は4月2日まで、3月31日が土曜日でございますので、贈与税につきましては2月1日から始めておるところでございます。
 大変恐縮でございますが、2ページ目をお開きいただきたいんでございますが、2ページ目に確定申告、昨年なり過去3年間の状況を表示しております。所得税の確定申告、11年分、11年分というのは昨年の確定申告でございますが、11年分の1番下の欄、計の欄を御覧いただきたいわけでございますが、2千万件の確定申告が大体提出されています。もちろん、毎年社会経済情勢も違いますし、税制改正の影響を強く受けますので、提出状況が違いますが、逐年増加傾向にあるということでございます。特に、上から3つ目にございます、還付申告。今還付申告が特に増加傾向にございます。所得税の税額のある申告っていうのは減税の影響もございまして、近年あまり伸びておりませんが、還付申告は、着実に増えているようです。現在税額のある申告書よりも還付申告の方が相当多くなっている現状にございます。
 以下、所得税の確定申告の所得金額とか申告納税額が次の表に書いてありまして、3つ目の欄は消費税の確定申告、これは個人事業者の消費税の確定申告でございますが、一応、個人事業者の場合、ここにございますように59万件ほど申告が出されております。そのうち納税申告は57万、還付は1万5千件くらいでございます。これ一応簡単な係数でございますが、やはり、確定申告というのは納税者の方々が一番税に関心を集める時期ではないかと考えております。したがいまして、我々といたしましては、税務に対する理解と信頼を確保していくためには、この確定申告事務を円滑に乗り切っていくことが非常に大事だと考えておりますので、国税庁・国税局・税務署一丸となって、この事務に尽くしているところでございます。また、最初のページに戻っていただきたいのでございますが、いくつかの取組、確定申告に向けての取組をレジュメにさせていただいておりますが、最初は自書申告の推進・定着と書いてございます。従来ややもすると納税者の方が税金に不慣れだということもございまして、職員の方が代書、代わりに書くという意味でありますが、マンツーマンでお会いしてお話をお聞きして書く。そういう形でやっていたのでありますが、一昨年くらいから、納税者の方が御自身で確定申告書を書いていただくと、ただ、分かりにくいところがあれば職員が助言させていただくと、そういった形での自書申告の推進に努めているところでございます。この自書申告の推進は、分からないところは我々アドバイスさせていただいているわけでありますが、納税者の方々自らやはり書いていただくという行為を通じて税の仕組みを理解していただくと。それこそが真の納税者サービスではないかという考えで進めているところでございます。
 今は、所得税のことを申し上げましたが、本年から土地や建物を売った場合、売却した場合、これは譲渡所得と言っておりますが、譲渡所得につきましてもできるだけ御自身で書いていただく。譲渡所得についての自書申告も進めているところでございます。やはり、単に書いてくださいというだけでは不十分でございますので、(2)自書申告のためのサポートと書いてありますが、幾つかの例を挙げておりますが、納税者の方々が自書申告をしやすいように我々の方でもいろいろ工夫をさせていただいております。例えば、申告書の書き方であるとかそういった情報を分かりやすく提供するということを考えております。インターネットで国税庁のホームページがありますが、確定申告情報、そういうところにアクセスしていただくといろいろ分かるようになっておりますし、携帯電話からもタックスアンサーホームページにアクセスできるようになっております。さらには、いろいろな様式であるとか申告書の書き方というのを作っておりますが、できるだけ見やすいような形でやらしていただいております。さらに加えまして、3番目のタッチパネル、これは銀行のATMと同じでございますが、画面を見ながらタッチしていけば自動的に申告書がプリントされるという機械でありますが、そういう機械もかなりたくさん入れておりまして、ただ難しい申告書はダメでありますが、給与所得者の方であるとか公的年金受給者の方、そういう比較的簡単な申告の還付申告を対象としております。また、贈与税の申告につきましても、今年からタッチパネルで申告できるような形で機械の増設を図っているところであります。さらに加えまして、4番目、還付申告センターと書いてありますが、通常、申告書は当該納税地を所管する税務署に出していただくというのが法律上の仕組みになっております。ただ、サラリーマンの方々等が休みの日に申告書を出したくても、休みの土・日は税務署が閉まっておりますので、勤務の合間を見て近くのところで申告書を出せればという御要望がございますので、そういう方にお答えする形で税務署と違うところで、例えば、東京局の場合でいいますと、東京駅、品川駅といったところで申告書の受付、あるいは申告用紙の交付を行っているところであります。これはすでに還付申告でございますので、2月14日で終了いたしておりますが、なお、東京駅の還付申告コーナーには、申告書のアドバイスのために東京税理士会の税理士の先生方に御協力をいただいておるところであります。こういった還付申告センターを昨年までは29カ所であったわけでありますが、今年は納税者サービスの向上のために全国51カ所に拡大しているところであります。以上、簡単でございますが確定申告関係の説明を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

会長
 確定申告関係は、私が言うのもなんですが、だいぶサービスの水準が向上してきたという感じがしてます。
 ほかに、もし特に御質問なければ、大変恐縮ですがもう一つ残っておりますので、先に進めさせていただきます。
 それは、税理士制度が今現在変わりつつあるんですが、その点について、説明資料7でございますが、ごく簡単に御説明いただければ、税理士制度の改正です。

総務課長
 説明資料の7に税理士制度の見直しの一枚紙がございます。
 現在、主税局におきまして具体的な法案の作成作業等行っているところでございます。背景といたしましては、昭和26年の制定の後、前回昭和55年に大きな改正をした後、20年間改正がないまま今日に至っておるということで、経済社会のいろんな変化に伴いまして、税理士制度に対する国民のニーズも複雑化・多様化していると、そういう時代の状況を背景とした見直しでございます。
 柱といたしましては、ここに書いてございますように3つございます。規制緩和の要請に応える、納税者利便の向上に資する信頼ということ、信頼される税理士制度を確立すると、その3点を中心といたしまして、ここに細かく書いてございますような改正を今準備中ということでございます。時間の関係もございますので、個別には御説明を省かせていただきますけれども、1点だけ、国税審議会に関係する部分について、若干御説明させていただきたいと思います。2番の試験科目の免除制度の見直しということでございますが、税理士資格の取得の要件に関しまして、その公正性を高めるという趣旨で改正を考えておるわけございますが、それに関しましてまず一つは、修士の学位取得につきまして、その学問領域を試験科目に相応するものに限定するという方向で作業をいたしております。そしてその実効性を担保するために、当該学問領域の確認というものを国税審議会に、具体的には税理士分科会になろうかと思いますが、お願いしたいと考えておるわけでございます。それから、税務官公署職員の試験科目の免除に係る指定研修(2)の方でございます。これにつきましても、その内容につきまして、国税審議会の方で検証していただきたいというふうに考えてございます。税理士法の改正法案につきましては、まだ、法制局等で作業中でございますので、国会にはこれから提出し御審議いただくということになっておりますが、平成14年4月1日から施行できればというふうに考えてございます。以上でございます。

会長
 只今の御説明で、要するに試験のやり方が変わるということで、税理士分科会あるいは国税審議会が了承するということがあると思いますが、その辺の仕事が新しく制度が変わるということで付け加わるということじゃないかと思いますが、只今の税理士制度の見直しにつきまして、御質問又は御意見ございませんでしょうか。

辻山委員
 直接は関係ないんですけれども、長官からも新しい審議会におきまして税理士分科会の役割が増すという御発言がありました。また今回の税理士制度の改正を受けて、税理士分科会の所掌事務が増えるようです。従来3人でやってきたんですけれど、会議として少し人数がバランス上少ないのかなという感じがしております。今後の検討事項にしていただければと思いますが、よろしくお願いいたします。

会長
 そうですね。分科会の人数3人は少し少なすぎるんじゃないかということで、増員の御希望がありましたので、検討していくと。
 どうぞ。

国税庁長官
 今の分科会長のお話で、私どもまた御相談しながら検討させていただきます。

会長
 予定の時刻を大幅に超過いたしましたが、大変どうも議事の不手際で恐縮ですが、ここで閉会させていただきます。
 議事要旨及び議事録の公開につきましては、先ほどの議事要旨を公表し、議事録はできる限り早く公表させていただくという手続をとりたいと思います。
 その前に委員の方々に御発言の内容を確認させていただくという手続がありますので、よろしくお願いいたします。それでは、だいぶ時間が超過いたしましたが、ここで閉会いたします。
 どうもありがとうございました。

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