奥村座長
 ありがとうございました。今、矢島先生がおっしゃったのはまとめ方が間違っているということではなく、報告者が報告した内容を事務局の方が論点整理されている内容について、懇談会としてその報告のどこに重点を置いてコメントしていくのか、行政につなげていくのか、今回の懇談会のとりまとめに際して、今、矢島先生のおっしゃったところをぜひ参考にしていただきたいと思います。同じような意味では相関関係とかで、多分統計的、計量的なエビデンスがない状態で内容がまとめられていることもありますので、言葉遣いについては因果関係でもって相関があると言っているのか、それともただ2つのことがたまたま同時平行的に起きていると言っているのかを、報告書では識別できているところはやっていきたいと思っておりますので、そこも今、矢島先生がおっしゃったところと似ているのですけれども、注意しておきたいと思います。
 もし、事務局の方でこの4ページのこれまで先生方がおっしゃっていることで(2)にかかわるところは、ここではないかということがありましたら御紹介いただけますでしょうか。

亀井酒税企画官
 (2)にかかわるところについては、上の方の(1)の未成年者飲酒防止のところの中で、大体のことが出てきているのではなないかと思っています。こちらについては、ヒアリングの前半の部分の内容ということであります。

奥村座長
 ここで未成年者が飲酒をしてはいけない理由について、何かエビデンスをつけた情報提供の方が効果があるのではないかという御意見がありまして、報告なさったときもそういうことが出ていましたよね。いつもいつも同じ内容でポスターが貼られても、だんだん効果が希薄化していってしまうという御意見でした。現状では、「未成年者は飲んではいけません」というようなポスターといったものには、なぜ飲んではいけないかといったことに触れたものはほとんどないのでしょうか。どこかにはそういう点について触れたポスターを貼っているというのはありますか。

前田課長補佐
 容器につきましては、同じ商品について注意表示を出荷のたびに新しくするようなことはほとんどありません。例えば「お酒は20歳になってから」とか、「未成年者の飲酒は法律で禁止されています」というふうに書かれたものが、3箇月ごとに変わるとか、1年ごとに変わるとかということはございません。
 それでお酒を飲んでいけない理由について、何らかのなぜ飲んではいけないのかというふうなものを示す必要があるのではないかということで、どういうものがあるかということですが、これは1度お配りしたのですけれども、未成年者が飲んではいけない5つの理由がありまして、脳の機能を低下させますとか、肝機能への影響、それから性ホルモンの異常とかアルコール依存症になりやすくなるからということに合わせて、最後に未成年者飲酒禁止法で禁止されていますというようなことを説明したパンフレットを作っています。
 またビール酒造組合が、中学生と高校生向けにポスターと標語を募集しておりまして、これは高校生が作ったポスターですが、お酒を飲んではいけない理由がありますよというふうなことをテーマとしたものです。このポスターは、夏休みの宿題のような感じで募集しておりまして、これで作ったものは全ての中学校それから高校にビール酒造組合がポスターとして配布しています。

奥村座長
 未成年者が飲酒をしてはいけない5つの理由のパンフレットを作られたのは国税庁ですか。

前田課長補佐
 これは国税庁酒税課が作ったものです。

奥村座長
 それ自体はどこにおいてあって、利用させていらっしゃるのですか。

前田課長補佐
 これは、国税庁が学校で行う租税教室というものがありまして、その一環として未成年者の飲酒防止についての項目があり、そこでこれを配布しております。

奥村座長
 もう少し詳しくお話いただけますか。学校とおっしゃるのは小、中、高どういう学校ですか。

前田課長補佐
 中学校、高校です。

奥村座長
 全国の中学高校全部に行っているわけではないですよね。どういうようにピックアップをなさっているのですか。

前田課長補佐
 租税教室というふうなものをやっている高校とか中学校です。

奥村座長
 それはどのくらいの割合ですか。向こうから言ってきたときに、国税庁の方で応じて講師を出しているということですか。

前田課長補佐
 はい。

奥村座長
 どのくらいの割合で提供されているのでしょうか。10校に1校だとか、都道府県で幾つだとか何かありますか。

前田課長補佐
 今手元にありませんので、後日御報告いたします。

奥村座長
 またお願いします。いずれにしてもごく一部の高等学校などに対しては、租税教室の中でそのパンフレットが配られている。ただコンビニでお酒を買われるお客さんの目の前にそれが置いてあるわけではないのですよね。

前田課長補佐
 はい、そこまでは行っておりません。

奥村座長
 どうでしょうかね。たばこは確かパッケージに、たばこを吸うと病気になるというようなメッセージが書かれるようになりますよね。お酒の容器にそのようなメッセージを書くことで、お酒が売れなくなってしまうと国税庁では困るのでしょうけれども、社会的要請に対してというテーマに即して、あえて振り子をそちらの方に振らせていただきます。

亀井酒税企画官
 エビデンスの関係についてお話がありましたけれども。久里浜病院の件について、ちょうど矢島先生からもお話がございましたけれども、その件については直接的に、20歳よりちょっと下の年齢の方々のことについてまで触れたということはなかったのかもしれません。例えば小、中、高といろいろと学校の授業でもやっていますので、次回までにそのエビデンスをどういった形できちんとやっているのか、なぜそういう方法によっているのかといったことについてもう一回整理をしてみたいと思います。

奥村座長
 現状の把握は1つなのですが、現状を超えてこうした方がいいというのがあればぜひ報告書に取り上げたらよいと思います。有効なメッセージを出すためにはどうしたらよいかということについては、いかがでしょうか。

須磨氏
 申し込みがあったときだけパンフレットを配るというのは非常に消極的だなと思います。本当にPRしたいのであれば申し込みがあったら出すものではないのではないでしょうか。あと、お酒を買おうとしたときに躊躇するようなものでなければならないのに、そのようなパンフレットの配布の仕方では、ある程度意識がある人しか読まないだろうと思うので、ポスターに何とか工夫して書き込むか、もうちょっと目立つような形でアピールした方がいいのではないかということが1つです。
 あともう1つは大人と未成年者を並列に考えるのではなくて、大人はやはり判断力があってしかるべきであると思います。未成年者の問題は、大人が判断力のないときにお酒とどう付き合うかという問題にもかかわると思うので、その辺の工夫が非常に大事なのかと思っています。
 それで、これはちょっとよく分からないのですけれども飲酒の数値、お酒の消費量なのですが未成年者は飲んではいけないといっても実質的に飲んでいるということが、分かっているわけですよね。未成年者がどのくらい飲んでいるかが、もし数字である程度分かるのであれば、数字目標は立てやすいのではないかと思ったのです。子供たちは、アンケート調査でも飲んでいますとはっきり罪悪感なく答えているので、やろうと思えばできなくはないのではないかというふうに思っております。

初谷課長補佐
 先ほど申し込みがあれば配布するという言い方をしてしまいましたが、具体的には租税教育推進協議会という、その地方の教育委員会とか学校などを巻き込んだ形で、税務署と一緒になって租税に関する教育をしていこうという協議会がありまして、そこで今年はこの学校、この学校と決めていきますので、どちらかというと申し込みということです。確かに話し合いをしながらやるのですけれども、やはり税務署、国税庁の方の意向と向こうの意向をすり合わせる形でやっていきますので、そういった意味では消極的な部分だけではなくて積極的にここをやりましょうという、そういうようなやり方でもやっております。詳しくは次回御説明いたします。
 それからもう1点、中学校に対しては、これも次回まとめて説明いたしますが、中学生に対するパンフレットも国税庁で作っておりますが、もちろん文部科学省の方でも薬物を含めて、パンフレット等を作って総合学習の時間を活用してそういう教育をしておりまして、実は私の子供は小学校5年生なのですが、この間も学校からお酒だけでなく、もちろんたばこと薬物全部について、こういうふうに体に悪いですよというパンフレットをもらってきておりましたことからも、政府の取組がこの活動だけということではなく、ほかにももっと広いところでやっているといえると思います。それはまた次回まとめて御報告いたしたいと思います。

奥村座長
 ありがとうございました。

本間氏
 よろしゅうございますか。先生方の発言されている次元のことではないのですが、昔の社会を考えまして、未成年者というのを20歳以下というふうにした場合、18歳ぐらいから働いている労働者としての未成年者もあるわけです。そういう人たちのことを考えますと、一概に未成年者というふうには言えような気がしてくるのです。1950年代までの話ですけれども、フランスでは肉体労働者というのは1日に3リットルの赤ワインを飲んでおり、それは手っ取り早いエネルギーと水分の補給であって食べ物と水分が一緒であったということがありました。ですから肉体的な労働に携わっている未成年者、不況みたいないろいろな天変地異がありましたから、家計を支えるような未成年者も出てくるのではないかと思うのですが、その人たちが飲むというのとやはり遊び半分でおもしろいから飲むというのとは全く区別されてしかるべきだと思うのですが、こういう人たちは仕方がないということがあってもいいというような、文言を付け加えるということはできないのでしょうか。未成年の規定について、私は非常にこだわって考えているのです。

奥村座長
 今日は欠席されているのですが、田嶼先生はお医者さんの立場から20歳というのは、医学的に意味があるという御見解なのです。ですからそれ以下だと健康を害するのでそこは厳しく守った方がいいというお話をなさっていたのです。それで本間先生も多分、医学的に見て客観的なことが言えれば、それは20歳未満はということでくくっても、よろしいわけですよね。ドイツでは16歳からお酒を飲んでもよいというように、16歳から20歳ぐらいの間がグレーで、それでどういう理由で日本では20歳からかがはっきりしていないという状況下では、今おっしゃったようなもう少し融通の効いた扱いができないかということですね。

矢島氏
 よろしいでしょうか。今のことなのですが、私も実質的には対策の対象年齢というのは小、中、高であると多分現実的にはそう思うのです。18歳以上で大学生だとか、18歳以上で働いている人に対しても同様な対策をしようと思ったら、恐らく必ず失敗するのであって、常習飲酒未成年者の問題でやはり問題になるのは高校生までと私自身は思っています。

奥村座長
 大学の現場からは、矢島先生と同じ御意見をお持ちの先生方も多いと思いますね。この間も新聞に大々的に報じられていましたが、一部の大学ではアメニティーとして、夜になると町を見下ろしながらお酒が飲めますというラウンジができて、学校案内のパンフレットにも書いてありますという状態ですので、それを1年生2年生に利用してはいかんというようなことはとても現実的には言えないという現状があります。
 それから何か選挙権との関係だというお話と、あと医学的な観点からというお話があって、一方アメリカでは21歳で引き上げたという動きがあるということで、もうそれぞれ各国で、歴史的な事情、価値観の違いなどのさまざまな事柄からいろいろと決まりが違ってきているわけです。

山下氏
 私も個人的には、18歳が一つの境なんだろうなという気がしています。ヨーロッパのどこで聞いたのかちょっと記憶がはっきりしないのですが、やはり下げるとその下の1、2年の世代というのは、なぜ1、2年上の人はいいのに俺たちは駄目なのだと、また飲酒をその辺りで誘発するというそういうイタチごっこが生ずるという話をどこかで聞いております。ですから18歳まで下げると今度、なぜ高校生はいけないのかということを必ず彼らは言うようになる。そこら辺が健康に悪いからということで切れるかどうかということかなと思います。

奥村座長
 先どういう形で望ましい行動をとっていただくかというのが、法律から自主規制からあるいは情報提供からいろいろなのですが、確認なのですけど自動販売機については日本の場合には自動販売機でお酒を売るのはだんだん減ってきていますよね。それで、このかかわりでどういうプロセスを経て減ってきたのか、もう一度整理をしていただけますか。

前田課長補佐
 では自動販売機の関係について整理ということで時系列のような感じでお話をいたします。まず自動販売機のみの酒類販売業免許を付与しない、というような措置を昭和48年から実施しております。
 次に自動販売機による酒類の深夜販売の自粛、夜の11時から翌日の朝5時までですけれども、これを指導したのが昭和52年からでございます。
 それから平成元年になりまして、酒類自動販売機について、表示事項を義務付けております。それは未成年者の飲酒は法律で禁止されている旨を表示しなさいとか、販売管理者とかの販売停止時間等のものでございます。これは平成元年からです。
 それから平成6年10月の中央酒類審議会の中間報告でアルコール飲料としての酒類の販売等のあり方についてというのが出ております。これはだれでも買えるような自動販売機は撤廃すべきであり、技術的革新が行われて未成年者が排除されるというものであれば認めるというような方向がでました。これを受けまして全国小売酒販組合中央会がその当時の現行の酒類自動販売機を平成12年5月までに撤廃するということを決議いたしました。これは平成7年5月でございます。これを受けまして国税庁としても酒類自動販売機にかかる取扱指針というのを策定しまして、現行の酒類自動販売機についての撤廃を支援すると、改良型機以外の設置をしないようにという指導を平成7年からやっております。
 なおこの全国小売酒販組合中央会の決議でありますけれども、罰則があるとかそういうものがありませんで、自主的な取組というところでございます。それ以後、新たに酒類の小売業免許を付与する場合は、自動販売機を設置しないようにという指導をしております。
 それから平成10年5月から自動販売機の撤廃がどのくらい進んでいるのかというふうなことを公表していくということで、酒類自動販売機の撤去状況を調査してその結果を平成10年9月から毎年公表しています。
 それから平成13年12月に、科料から罰金になったという未成年者飲酒禁止法の一部改正でございますけれども、そこで関係省庁、警察庁と厚生労働省と国税庁が共同いたしまして、酒類小売業者に対して改めて未成年者のアクセスを防止するように改良された酒類自動販売機以外の酒類自動販売機の撤廃、及び設置した改良型自動販売機の適切な管理ということを指導しております。
 それで自動販売機が平成8年3月に18万5,800台あったものが、平成15年3月改良型機ではないもの、従来型機と言っていますが、これが5万3,600台まで減りました。改良型機と言われるのが1万4,400台。徐々に減ってきているということでございます。

奥村座長
 アメリカの教科書を見ていますと理論と理論の間に今のようなお話が具体例で入っているコーヒータイムという欄があって、すごく分かりやすく説明されています。そのコーヒータイムのように、分かりやすい大変いい事例を御紹介いただいたのですが、今の御説明で「指導」という言葉遣いを使っていらっしゃるときはどういうふうに位置付けたらいいのですか。法律で禁止されていますというところと、全く民間に任せておいて、すべて民間がやってくれていますという間にあるのですか。

前田課長補佐
 法律で例えば撤廃しないと罰則があるとか、免許を取り上げられるとかそういうものではなく、指針によってこういうふうな未成年者飲酒防止のためにということで、あくまでも強制力がない指導でございます。

奥村座長
 金融の方の世界では、きちっと活字で書いていただくか、後はもう全部自由にしろというのが、アングロサクソンからの要求で次第に日本もそうなってきています。
 そうすると、今おっしゃったような指導でもってさっきの未成年者への対応や健康との関わりについて、進めていく余地もまだ酒類業についてはあると考えてよろしいでしょうか。

前田課長補佐
 それは指導の部分で業界の方と例えば行政の方と一緒になってやっていこうというふうなことは、十分できるのではないかと思います。
 先ほどちょっと例で言い忘れたのですけれども、妊産婦の飲酒は胎児に影響がありますよというふうな話が、この報告の中で出たのですけれども、これは業界というよりも個々の業者の自主的な取組で、今発泡酒だとかビールだとか徐々に妊産婦の飲酒は、という話の部分は業界の中で入ってきております。

奥村座長
 水谷先生からお教えいただきたいのですが、今の自動販売機の昭和48年から平成13年までのプロセスを経て、実質的には識別できないものについては減ってきているのですけど、そういう行政指導的なことは、水谷先生はどういうふうに評価されますでしょうか。

水谷氏
 私はそういう指導なんかはいいのじゃないかと思います。こと細かに経営はどうなるというように、この後にも出てきましたけれども、例えば品質はどうあるべきだとか、そんなのは企業に任せておいていいと思います。ですが、法律で禁止されてはいないけれども、こういう方が望ましいという程度であればやっていいのじゃないでしょうか。それにとどめた方がいいのではないかと私は思います。本当に法律で書いてしまってやらなければならないとなったら、これは大変ですからという感じを私は思っておりますがいかがでしょうか。

奥村座長
 ほかの先生方。井岸先生いかがでしょうか。

井岸氏
 今のお話で規制という言葉にちょっととらわれて、その規制ということをやれば全て経済コストがかかるというような解釈はちょっと違っているのじゃないかなと、規制にもいろいろあるのじゃないかなと、今のその指導とかそういう表現になっていますけれども、ここで社会に対して対応のあり方を要請するというのは、そういった意味で使われているのかなと私は解釈いたしました。ですから、法に全部載せてそれで経済コストがかかるような仕組みにするかどうかというのは、必要であればやらなければいけないことだと思うのです。それ以外に放置しておけばもっとより経済コストがかかってしまうと、国民の負担が重くなるというのであったら法律に書くべきだと思いますけれども、そうでない場合には、広い意味での規制という言葉が当たるのかどうか分かりませんけれども、社会的にいろいろそういった指導なり要請なりというのはあって当然ではないのかなと私は考えておりました。

奥村座長
 よろしいでしょうか。次の(3)へ移ってよろしいですか。

神崎氏
 ほとんど欠席して申しわけありません。もう出た問題かもしれませんが、ここでの大人の規範意識とか教育というのは、誠にこれは具体性を考えると難しいことに相違ないのですが、文言を入れるかどうかは別としまして、この会の趣旨は酒類小売業者というところが大きな柱となっておりますが、私は居酒屋のような飲酒機会の提供業者にも、啓発を助けてもらわなければいけないと思います。
 それでまだ末端のことかもしれませんが、私は盛り場というものを趣味としても学問としても対象としておりまして、私が知る限り、最近、居酒屋へ子連れの女性が入ってくるようになりました。これは10年前にはなかった現象であります。ファミレス的になっておりまして、しかも未成年者の中でも幼児であります。ですから幼児が将来どうなるかということを考えるとやはりこの影響は一度議論しなければいけないのではないかと、そうすると飲酒店、特に居酒屋ですが一時期「入れ墨の方御遠慮ください」、「げた履きの方御遠慮ください」という表示が出ました。これは業界の自主的な反応だったと思いますが、しかし警察当局はそれなりの指導をなさっていることも聞きました。ですから、飲食店の監督官庁が協力の上で、未然に未成年者の飲酒機会の拡大を防ぐ対策が必要ではないかと思います。
 ですから私とすれば、1箇所でいいから、飲酒機会の提供業者というものを扱っていただきたいと思います。

山下氏
 先ほど指導で十分効くかどうかという話で、結局自主的なルールを守らないような、アウトサイダーがどのくらい出てくるかということの実態をどう見るかということだと思うのです。酒販業者について言えば、製造業者も酒販業者の組合、自動販売機を製造しているメーカーなどが関係しているところで、だんだんと機械を減らす方向へ行っているという、それは指導が効いているということだと思います。
 新規の参入が現れて、そこら辺の実態はあまり変わらないと考えていいのか、もううちではそこら辺の自動販売機を様子見で設置するとかそういうことはまずないだろうと思っていいのかという辺りと、今神埼先生がおっしゃったようなレストラン系、居酒屋系のようなことを考えるとまさにアウトサイダーの固まりであって、それは何か指導でというのはまず無理だと思うのです。その辺りをどう考えるのでしょうか。

前田課長補佐
 新規の業者としては、さまざまな方が入ってこられているのですけれども、大きいのはスーパーマーケットとコンビニエンスストアです。
 もともとコンビニエンスストアというものは、自動販売機を店先に置いて、そこでお客様に購入してもらうというものではなくて、店内で買い物をしてもらおうというものなので、酒の自動販売機はほとんど置いていないと思います。スーパーの店内に自動販売機が置いてあるというのもまずないでしょう。もちろん新規業者の方に対し、こちらから改良型も含めて自動販売機はやめてくださいという指導をしていますけれども、トラブルがあったというふうな話は今のところ聞いておりません。酒は店の品物の一つとして売りたいということですから、自動販売機で売るより、店内に陳列する方がという意識があるのかもしれません。

奥村座長
 極端なケースかもしれませんけれども、居酒屋のようなところで自動販売機を置くことは可能ですか。

前田課長補佐
 酒税法では、お酒を販売するときには税務署長から免許の交付を受けなければならないとなっております。ただし例外が二つあります。
 まず一つ目は、製造免許を持っている酒類製造者が自分で造った酒は、酒類小売業免許がなくても販売することができます。もう一つは、酒場や飲食店等のように、もっぱら自己の営業場内において飲ませるというもので、この場合も酒類小売業免許は要りません。ただし、飲食店等については、厚生労働省の飲食店の営業許可が必要になります。
 そこに自動販売機を置いた場合に、そこで買ってテイクアウトをする人があるとすれば、酒場という自己の営業場で飲ませるということにはならなくなります。そうしますと酒類の小売業免許が必要となりますが、現在、販売の主要形態が自動販売機だけという場合には、酒類小売業免許は与えておりません。
 ただ、現実問題として、居酒屋等に自動販売機を置くとすると、多分、ほかにつまみとかも持ち帰り用に対応することになり、単価も少し高くなってくるのでどうかなと思うのですが、そこら辺はどうでしょうか。

奥村座長
 今のような場合で、居酒屋さんで2本買ってきて、1本はそこで飲むけれども1本は持ち帰るというケースはあり得ますね。

亀井酒税企画官
 ただお酒の自動販売機につきましては、ビールメーカーが自動販売機メーカーと一緒になって開発してきたのですが、最近ではビールメーカー自身が、自動販売機の開発をもうやめておりますので、新たな販売拠点に自動販売機が設置されるということは、もうほとんどないのではないかと思います。

奥村座長
 はい、分かりました。いずれにしても指導の効果についてはフリーライダー、アウトサイダー的な人たちがいるかどうかも、かぎになってきますのでその点についても触れなければならないと思います。
 それでは(3)の酒類小売業者の方へ移らせていただきます。

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